24.12.15

Peace on Earth

去年と同じですが、オックスフォード・ストリートはなかなかイルミネーションがきれいです。

すっかりブログもご無沙汰してしまいました。
今年ももうあと1週間。皆さまにとっては、どんな年になりましたでしょうか。

私はなんとなく、「すごく編んだ」という印象の年でした。

世界はざわざわと落ち着きませんが、2016年はどんな年になるのでしょうか。

Peace on Earth.
あなたのもとにも、すてきなクリスマスと麗しき新年が訪れますように。

ウェストミンスター・カウンシルとエロスも「メリー・クリスマス」と申しております…。






30.10.15

加藤節雄さんの外務大臣表彰受賞と栗拾い。

半月ほど前の話になりますが、日頃から仲良くしていただいている、フォトジャーナリストの加藤節雄さんが、今年の外務大臣表彰を受賞され、その表彰式に呼んでいただいたので、大使公邸に行ってきました。

外務大臣表彰は、「多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し,我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で,特に顕著な功績のあった個人および団体について,その功績を称えるとともに,その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としています」(外務省のウェブサイトより引用、句読点もそのまま……点じゃなくてカンマなんですね)とのこと。

加藤さんは、1970年代から現在に至るまで、日本祭りの前身となるイベントの開催に携わったり、在英邦人向けのコミュニティペーパーの編集をしたり、コーンウォールにある陶芸家バーナード・リーチの工房の再建や、またハマースミス公園内の日本庭園の復活に奔走されたり、と、長きにわたって日英交流に貢献されてきたので、今回の受賞も当然といえば、当然なのです。

林大使(右)から加藤さん(左)に表彰状が手渡されます(写真提供:日本大使館)

表彰状はこんな感じです(写真提供:日本大使館)

加藤さんは、忘れな草プロジェクトの実行委員のひとりでもあり、私がこの企画に携わるきっかけをつくってくれた人でもあります。また写真クラブでも指導していただいたりと、日頃からお世話になっている方が表彰されたことは、私にとってもとても嬉しいことでした。

この表彰のあと、加藤さんのお人柄が表れた、とてもほのぼのとした和やかなパーティーが行われました。火曜日の昼間だったのですが、ついついそのまま帰るのが惜しくて、大使公邸の近くのパブへと流れ、平日昼間から飲み屋でわいわい、という贅沢な午後を過ごしたのでした。

そして先週末は、そんな加藤さんに同乗させていただき、栗拾いに行ってきました。

まだ、ちょっと時期が早かったのか、落ちそうで落ちない栗がたくさんあり、加藤さんとうちの夫と私の3人で、長い棒きれをもって、ばしばしと木を叩いてちょっと小さめの栗をたくさんたくさん集めたのでした。外務大臣表彰を受けても、こうして一緒に棒をもって遊んでくださる加藤さん、大好きです。おかげさまで、とても楽しい週末でした。

棒きれの行使と努力の甲斐あって、たくさん栗がとれました。

ということで、いまは、夜ごと栗剥き作業の真っ最中です。剥いた栗は冷凍庫へ。こうして、一年分の栗をためこむのは、ちょっと冬眠前のリスのようですね。




7.10.15

トマトのぽっ。

葉っぱもすっかり秋の色です。


ロンドンもすっかり秋。
畑の収穫も、最後の力を振り絞ったかのような小さなカボチャが収穫時期を待つのみ、というところになりました。

畑しごと3年生の今年も、いろいろ学ぶことが多い夏でした。
今年ははじめて、いただきものの苗でトマトを栽培してみました。
トマトは日本の家庭菜園やベランダ菜園でも、人気の野菜ですよね。

たわわに緑の実がなっていました。

最初はとても調子がよく、どんだけトマトがとれるのかしらん、とわくわくしていたのもつかの間、気づいたらこんなことに……。

茶色くなってるっ!!

どうやら「レイト・ブライト」というトマトの疫病にかかってしまったようです。
本やネットで調べてみましたが、この病気にかかると、もう打つ手はないらしく、対処法のところには「None. Destroy fruit」という、身も蓋もない指示。

どうやら、この病気にかかったら、プラントごと抜き取って、ほかの植物に感染するのを防ぐのが大切なようです。場合によっては「近隣の畑にも影響を及ぼす」という恐ろしい情報に、エイヤッとすべてのトマトを抜き取り、ネット情報の指示通り、熱で病原菌を焼くために、ブラックシートを上からかぶせて固定しました。

グリーンのトマトはすべてこのときに収穫したのですが、病原菌の餌食になった、半分くらいは残念ながら廃棄処分に。

トマトはヘタの部分を下にして置いておくと、プラントから刈り取ったあとでも、ちゃんと熟する、というこれまたネット情報を頼りに、新聞の上にならべておくこと1週間ほど。

少しずつピンクに。

ひとつ、ふたつ、と少しずつピンクに色づいてきました。ぽっと色づいている感じがかわいいのです。

大きいものから赤くなっていくのかな。

毎日、次はどれが赤くなるかなーと楽しみにしつつ、熟したものから食べつつ、毎日過ごすことはや1ヵ月。とうとう、最後の7個になりました。

このちいさな緑の2コが赤くなる日はくるのでしょうか。

疫病の被害は受けたものの、トマトもそこそこの量をおいしく食したので、まぁ、成功といってもいいでしょうか。来年は疫病予防をしっかり対策しつつ、またトマトに挑戦したいと思います。

27.9.15

はじめてのサパークラブ。

90年代後半から、この15年から20年の間に、英国の食文化はずいぶんと様変わりしたように思います。

フランスをはじめとするヨーロッパはもとより、東洋の国々にまで修行に行った英国人シェフの台頭、ミシュランの星付きレストランも急カーブを描いて増加、それまでほんのわずかな数しかなかったお料理番組や、世間一般に顔の知られているスターシェフが、数え切れないほどに増え、一般家庭でのお料理熱も上がり、スーパーマーケットを彩る食材の種類も劇的に増え……といった具合で、「まずい英国」は、すでに過去のお話。

すっかり外食慣れした英国の人々は、さらに新しいものを求め、ここ最近の動きとしては、期間限定でテスト的にオープンするポップアップ・レストランと、ロンドン中心部に次々と生まれるストリート・フード・マーケット、そしてもうひとつ、新しい外食の形態「サパークラブ」が挙げられると思います。

「サパークラブ」とは、ご存じの方も多いかと思いますが、一般的な定義としては、「レストランではない会場で、イベント的に行われる、有料の着席型食事イベント」といった感じでしょうか。事前に予約が必要で、通りすがりで参加できる、というものではないので、どこか秘密めいた匂いがして、とても気になっていました。

そんなときに、なんと、友人ご夫婦がサパークラブを開催するとのお話。この機会を逃してなるものか、とばかりに、お知らせをいただいたその日に即日予約をしました。

会場となったのは、北ロンドン、ケンサル・ライズにあるワイン屋さん。お知らせには6時から、とあったので、6時ちょうどにお店に到着、さっそく会費を支払って、店内をぶらぶら。

今回のサパークラブは、私の友人ご夫婦ユニット「hifumi(一二三)」によるお料理5品と、それぞれのお料理に合うワインをこちらのワイン屋さんが選んで提供する、というもの。お食事とワインのセットで55ポンド、私のようにお酒を飲めない人のために、一応ワインなしお食事のみで35ポンドという価格も用意されていて、ありがたい限りです。

ワインの並ぶショップの後ろのほうには、長テーブルに20人分の席が用意されています。ディナーの前にはおつまみ的な和風カナッペがいろいろと。

前菜は、レンコンのはさみ揚げ柚胡椒、味噌や青のりビスケットとクリームチーズ、
出汁とオニオンでマリネされたプチトマト。どれもどんどん食べてしまいそうで自制心が肝心。

小規模な集まりなので、知らない同士がお酒を飲みながら、自己紹介しあったり、ワインの話をしたり、世間話をしたり、とてもリラックスした雰囲気。

7時になって、いよいよ着席。お待ちかねのワインとお料理の登場です。前述のとおり、私はお酒が飲めないので、ワインに関してご紹介できないのが残念ではありますが、お料理はこんな感じです。

(左上)冷たい出汁ゼリースープと夏野菜。すり身のお団子が美味。
(右上)崩したお豆腐のごまドレッシング和えと季節のフルーツ。
フレッシュなイチジクがお豆腐の優しい味のなかから出てきて、嬉しい驚き。
(左下)鶏の南蛮漬けと夏野菜。一番上に載っているのは、パリパリの昆布。旨みのかたまりです。
(右下)押し寿司とお新香。玉子焼きのお味が絶妙で感動的。
お寿司と一緒出された揚げなすの入った柚味噌のお味噌汁も絶品でした。

最後には、和風パンナコッタのデザートもありました。こちらもたっぷりサイズで、お腹は大満足。ほうじ茶のパンナコッタに黒蜜、抹茶のフィナンシェが添えられていました。




最後にhifumiオリジナルのワインバッグをおみやげにいただき、ちょうどお食事の前にこのワイン屋さんで買った瓶詰めのオリーブオイルを入れて帰りました。

近くに座った人たちと、たくさん興味深いお話ができて、お料理もおいしくて、お腹もいっぱいになって大満足、とてもすてきな夕べでした。

英国食文化が発達したのは、おそらく喜ばしいことなのでしょうけれども、それと同時に最近の「おしゃれ」レストランでは、すでに意味をなすのかなさないのかわからないような高級食材や、これまた意味をなすのかなさないのか疑問なくらい凝った調理法やデコレーションで、一食100ポンド、150ポンドもまったく珍しくないご時世。

自分で野菜を育てるようになって、特に思うところでもあるのですが、懲りすぎない、オネストな調理による、素直においしいお料理を、正当な値段で食べたい、という、気持ちが強まる今日この頃の私。いろんな意味で自分の身の丈に合わない、流行のレストランに挑戦するよりも、友人や自分の気になる人が丁寧につくったお料理をいただけるサパークラブを、今後も探索してみたいなー、と思っています。


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25.9.15

ズッキーニのポタージュ

ロンドンはすっかり秋の空気。すでにフリースを着て生活しています。
いよいよ、畑も夏の収穫期を終えるか終えないか、という季節になりました。

とはいえ、まだ冷蔵庫のなかには夏野菜の山。
今年の夏も、かなり収穫できました。

毎週末、こんな感じで収穫できました。

今年はキュウリがいまいちな年でしたが、そのほかは、まずまず、でした。
毎年、こんなふうに、うまくいかない野菜と、特別にうまくいく野菜があるのですが、そんななかで、過去3年間、コンスタントにばかみたいにうまくいく野菜がズッキーニです。

今年は、普通の緑のズッキーニに加えて、黄色い丸いタイプと、薄いグリーンのホワイト・ズッキーニも育ててみましたが、どれも大成功でした。

ズッキーニといえば、英国では「コジェット(Courgette)」と呼ばれています。英国にとってズッキーニは、(名前から察するに)フランスからやってきた野菜なのでしょうね。対して、日本では「ズッキーニ」と呼ばれていることを考えると、こちらはイタリアからもたらされたのでしょうか。

なにはともあれ、毎年、消費が収穫に間に合わず、夏の間、我が家の冷蔵庫のなかは、ズッキーニの山・山・山。サラダで、お好み焼きにして、フリッターにして、スチームして、揚げ浸しにして、酢漬けにして、カレーで、ありとあらゆる方法で、毎日毎日、食卓に上がるのがズッキーニなのです。

そこで、ズッキーニを大量消費できるレシピをいろいろ聞いて回っていたところ、このブログにもたびたび登場している友人Mちゃんが教えてくれた「ズッキーニのポタージュ」が絶品で、ぐびぐび(擬音ちょっとおかしい?)いってしまうおいしさなので、ご本人の許可をもらったうえで、ここでご紹介します。

材料:
<ポタージュ>
★ズッキーニ 大1個(市販の普通サイズなら3本ほど)
★白たまねぎ 半分
★じゃがいも 1個(10cm程度のもの)
オイスターマッシュルーム
◎水 250ccくらい
◎ブイヨン 1個(味はなんでも)
◎ベイリーフ 2枚くらい
酒 大さじ2(白ワインでも)
牛乳 100ccくらい
塩 少々
コショウ 少々

<クルトン>
バゲット お好きなだけ
塩 少々
オリーブオイル 適量
にんにく 2房くらい
ローズマリー あれば

作り方:
<ポタージュ>
1)★を適当に切って(薄めに切ると時短に)、鍋にオリーブオイルを加えて中火で炒める
ジャガイモが透き通り始めたら酒を加えてアルコールを飛ばす

2)中火のまま◎を加える(水は、具材の高さの半分くらいが目安)
全体に火が通って、菜箸で簡単に崩せるくらいまで中火で煮る

3)ベイリーフを取り除いてブレンダーで撹拌後、裏ごしして鍋にもどす

4)オイスターマッシュルームを入れて軽く煮立たせる。牛乳を好みのゆるさになるまで投入
塩、コショウで味を整えて出来上がり

<クルトン>
1)バゲットを薄めに切ってオーブン用トレーに並べる

2)にんにくをすったものを混ぜたオリーブオイルを刷毛で塗る

3)塩とローズマリーを上からふりかけて180度のオーブンで5分〜10分程度。
(色がつき始めたらすぐに焦げるので、きつね色になってきたらオフにして予熱で調理)


マッシュルームなし、ですが、本当に本当においしかったです。クルトンも最高!

夏の名残を惜しみつつ、ズッキーニのスープ、どうぞお試しください。

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19.9.15

編み物イベント、Yarn the City

まだ9月、日本だったら晩夏、と定義づけたい時期なのに、ロンドンではもうフリースを着たり、暖房を入れないいけなかったりするくらい、寒い秋の日が続いています。

たった2週間前は、まだあったかかったのになぁ……と過ぎ去ってしまった夏を惜しみつつ、その「まだあったかかった」2週間前に出かけた「Yarn in the City」の「ポップアップ・マーケット」というイベントについてちょっとご紹介したいと思います。

ポップアップ・マーケットのサインが出ています。

つい先月、取材させていただいた毛糸屋さんで、教えてもらったのがこの「Yarn in the City」というイベント。メインのイベントは、「The Great London Yarn Crawl」という毛糸屋さんのハシゴ・ツアーなのですが、気づいたときには、すでにこちらのチケットはすべてソールドアウト。そこで、その一環で開催されるポップアップ・マーケットに行くことにしたのです。こちらも入場料が10ポンド(当日)と有料なのですが、イベントの収益はRefugeという家庭内暴力の犠牲となった女性と子どもを救うチャリティに寄付されるとのこと。会場となったのは、チェルシーのタウンホール(町役場的存在)です。

入場料を払って中に入ると、おおお、クラフト好きにとっては、心躍る風景が。

まるで舞踏会の会場に使われそうなスペースに毛糸屋さんがずらりと並んでいます。

こういうところに来てしまうと、ついつい財布のヒモが緩みそうなところを、ググっとがまん。ふだんお目にかかれないような、手染めの小さなブランドなどが商品を並べていて、やはり、ついつい毛糸を触っては、いいなぁ、ほしいなぁ、という気持ちになってしまうのです。

染めただけで紡いでいない羊毛も。手つむぎ、私もいつかやってみたいです。

簡単には買わないぞーと思っていたのですが、同じ色は出せない、という手染めのまだら模様の毛糸(ベイビー・アルパカ、カシミア、シルクの混紡)を触っていたら、あまりにも気持ちがよくて、ついに財布を開いてしまいました。

ここで、ついに散財。

昨年、お仕事でご一緒させていただいたニットデザイナーの三国万里子さんが、ツイッターで紹介していらして、私も思わず即買いしてしまったのが、編み込み模様とカラーのアイデアが満載された「Stranded Colourwork Soucebook」という本。

そしてこの本の作者である、Knitsonik(ニットソニック)ことフェリシティ・フォードさんも会場でお店を出していらして、思わず、プチ興奮。

フェリシティさんと、彼女の美しきパターン見本の数々。思わずうっとり。

シェットランドニットで、カーディガンなどあきをつくる際には、ぐるぐる輪に編んだあとに、空き部分をハサミで切って開くスティークという技が必須らしいのですが、いまだ勇気も機会もなく、編んだものにハサミを入れるという恐ろしい体験をしたことがない私。フェリシティさんのストールに並んでいた本のなかに「コースターとマグカップウォーマーをつくりながら、スティークを学べる」という本があって、思わず即買いです。

この秋冬は、ぜひスティークをマスターとまではいかなくとも、ある程度できるように練習してみようと思っています。

さて、前述の私がつい買ってしまった手触りうっとりの毛糸は、玉ではなくかせで売っていたので、あー、糸巻きしないとなぁーーと思っていたら、なんと、かせを玉に巻いてくれるサービスを、「編み物とかぎ針編み協会(Knitting and Crochet Guld)」のストールで提供していました。

こんな風に糸を巻いてくれます。

こちらの協会も、興味深い編み物イベントをいろいろ行っているようなので、一度参加してみたいなーと思っています。

さて、この日の会場には、魅力的なショップにまじって、ちょっとしたイベントが開催されていました。一般のニッターさんたちが小さな「メモリーバッグ」を編んで、そのなかに思い出を書いた紙を入れて、展示する、というもの。テーマはメモリー(記憶・思い出)で、私たちが編み物をできるのも、編み方を記憶しているから。なにかを思い出しながら編み物でメモリーバッグをつくって、体験をシェアしましょう、というイベントです。

こんなふうにたくさんのメモリーバッグが展示されていました。

なかにはけっこう手の込んでいるものもありました。

スパンコールをあしらったものもあり、かわいらしかったです。

この日は、この編み物イベントの前に、お気に入りのジャム屋さんの取材があったので、いつになくお買い物をしてしまった日でした。

この日の戦利品です。

そして家に帰ったら、なんと秋に植えつける予定の、種ニンニクが届いていました。

4種類の異なるニンニクが詰まったバラエティパック。これを房をばらばらにして植えつけます。

編み物に、ニンニクに、やっぱりもう秋なんだなーという感じです。
皆様もお風邪など召しませんよう。

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22.8.15

キューカメロンとはなんぞや?

ロンドンは、肌寒い日が続いたかと思えば、急にカッと30度くらいまで気温が上がったりと、毎日なにを着たらよいのやら、街ゆく人も、ダウンを着ている人がいるかと思えば、はだか一歩手前といった人もいて、なかなか悩める毎日なのです。

とはいえ、自然の世界は忠実に「夏ですよね?」という反応を見せてくれていて、畑も、先月あたりから、いよいよ収穫のシーズンです。

今日は、中国人の畑のご近所さんがプラムとニラをくださったので、特に豊かです。

畑に到着するごとに、カボチャが増えてないかなー、大きくなってないかなー、ズッキーニが巨大化してないかなー、とわくわくしながら、パトロールしてまわるのですが、そのなかで、気にしているもののひとつが、上の写真の中央やや左側のつぶつぶです。

スイカ模様の指先大の野菜です。

英国では「キューカメロン」という名前で種が売られていて、昨年のコーヒーモーニングで知り合った日本人女性が絶賛していたので、これはぜひ試してみなければと、植えてみたものです。

キュウリやズッキーニのように、小さな花の下の部分がぷっくりと大きくなっていきます。

Wikipedia情報によると、「マウス・メロン」とか、「メキシカン・サワー・ガーキン」とか、「メキシカン・ミニチュア・ウォーターメロン」などと呼んでいる地域もあるようです。

「キューカメロン」の名前のとおり、見かけは「スイカ(ウォーターメロン)柄」で、なかみはちょっとライムがかった「キュウリ」の味です。

割ってみると、こんな感じ。まさにキュウリです。

このキューカメロン、なんと多年草だそうで、実をつける期間が終わったら、適当なところで切って、根っこを掘り起こしてコンポストに入れて、物置などに保管しておけば、翌年春にまたにょきにょきと伸び出すのだそうです。ついでに調べてみたら、トマトも本来は多年草らしく、条件が整えば越冬するとのこと。地中海沿いなどの温暖な場所だったら、外でも越冬できるのでしょうか。

最近「自然農」の本を読んでから影響を受けてしまい、なるべく雑草を取り除かない、なるべく耕さない方法を試しているため、かなりぼうぼうのワイルドな風貌になっている私の畑ですが、雑草の隙間から、ぽこっと一昨年以来植えていないはずの春菊が出てきたり、いつの間にかパセリが顔を出していたりして、なかなか楽しい発見があります。

1年で一番たのしい季節。あと1、2ヵ月は続きそうです。

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29.7.15

夏なので、髪を切ってみた

ロンドンは、すでに夏が終わってしまったかのような、ちょっと肌寒いくらいの日が続いていますが、数週間前にびっくりするような夏日が1〜2週間ほど続いたことがありました(哀しいかな、過去の話)。

「夏日」というものを、すっかり忘れて久しい昨今、唐突に襲ってきた熱気にバテバテになってしまい、「ああああっ、背中の髪が暑いっ!!」と癇癪を起こし、髪を切ることにしました。


暑い!といっても、このくらいの長さでした。

とはいうものの、日頃から、人体から発生されるもの、例えば汗とか涙とか、排泄物とか、ジムで運動して生成されるエネルギーとかを、むざむざと無駄にするばかりでなく、ゴミになったり、水に流したり、むしろ自然の役に立たない方向で処理していかざるをえないことに、なにかジレンマを感じていました。

どうせ切るのなら、転んでもタダでは起きない、というか、なにか有効活用できないかと思っていたところに、Facebookで友人が切った髪の毛を日本で寄付したとのこと。さらに別の方が英国でも「リトル・プリンセス・トラスト」という団体が、同じように髪の毛の寄付を募集していることを教えてくれました。

リトル・プリンセス・トラストは、がん治療で髪の毛を失った子どもたちに、ナチュラルヘアで作ったウィッグを提供している団体だそうです。

そこでいつもお世話になっているスタイリストさんにあらかじめメールでご相談したところ、ご協力いただけるとのこと。

17センチ以上の髪の毛を受け付けてくれるとのことでしたので、私の場合、後ろ髪の一部のみですが、あらかじめゴムでブロック分けして結んでから切ってもらいました。

後ろ髪がすっきりしました。もう暑くない(気候も暑くない・涙)

切っていただいた髪の毛をジップつきのビニール袋に入れて、パッド付きの封筒に入れて、送ります。

たいした量ではありませんが、役に立つことを祈って。

2週間ほどたったある日、メールでサティフィケートが届きました。



この話を17歳の姪っ子(カーリーのロングヘア所有)にしたら、「髪の毛を切って人にあげるなんて、信じられない!! 絶対イヤ!」と言われました。私にしてみたら、髪の毛なんて「どうでもいい」とは言いませんが、短かろうが長かろうが、あまり意に介すところではないのですが、年頃の子どもたちにとっては、死活問題にも値するくらい、大切なもののようです。

だからこそ、きっと私のように「意に介さない」にもかかわらずいっぱいある人間から、「死活問題に値する」にもかかわらず不運にも失ってしまった人間に、こうして(ほとんどなんの努力もなく)引き渡せるものが、まだこの世にあるということは、喜ぶべきことなんだろうなぁと思いました。自分がただ生きていることに、ちょこっとでも意味を見いだせる、数少ないもののひとつではないかと。

この夏、髪の毛を切られる方も多いと思いますが、もしもご興味があったら、ぜひ、リトル・プリンセス・トラストのウェブサイトものぞいてみてください。スタイリストさんいわく、こういうリクエストをするお客さんはちょこちょこいるとのこと。いつもお願いしている美容室で、応じてもらえる可能性も高いです。

※追記:
私の友人が日本で寄付した団体は、こちらだそうです。ご参考までに。
http://jhdac.org/


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9.6.15

ウェールズのお菓子、バラ・ブリス。

「バラ・ブリス」というウェールズのお菓子をご存知でしょうか。

ドライフルーツのたっぷり入ったフルーツケーキなのですが、どちらかというと、薄力粉でつくったパンのような感じです。

バラ・ブリス、こんな感じのケーキです。

4月にウェールズの義理の弟家族の家を訪れた際に、義理の妹がつくってくれて、「おいしい、おいしい」と絶賛したら、彼女のノートからレシピを書き写してくれました。

2年前から我が家では、夫の健康上の理由から、飽和脂肪酸と塩分を摂りすぎないようにしています。そんなわけで、バターは御法度の食品となり、おからのケーキなど、バターを使わないスイーツのレシピを日頃から集めていたところ、バラ・ブリスは思いがけない朗報でした。

義理の妹が書いてくれたレシピは、さすが英国風のパウンド型2本分。そこで、半量にしたうえで、ちょっとアレンジをしてみたので、以下にご紹介します。うちの夫と同じように、健康上の理由でバターやクリームを控えているけれど、たまにはケーキが食べたい、という方には、おすすめです。

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バラ・ブリスの作り方(パウンド型1本分)

<材料>
●ミックスドライフルーツ 220グラム
※私は、ゴールデンサルタナ160グラムと、レーズン60グラムを使いました。
●ブラウンシュガー 80グラム
※黒糖がベストらしいですが、うちになかったので、私は三温糖を使いました。
●紅茶(ちょっと濃いめに出したもの) 150ml
●セルフライジングフラワー 225グラム
(または薄力粉220グラムに、ベーキングパウダー小さじ2を混ぜたもの)
●シナモンパウダーとジンジャーパウダー 合わせて小さじ1/2
●たまご1個

① 紅茶の入ったボウルにブラウンシュガーとドライフルーツを入れて、一晩ひたす
② セルフライジングフラワーとシナモンパウダーとジンジャーパウダーをまぜて、①のボウルに入れてゴムべらで混ぜる(少しぽろぽろの状態になります)
③ ②のボウルに、軽くほぐしたたまごを加えて、生地をまとめる
④ ③をベイキングシートを敷いた(またはバターやサラダ油を塗った)パウンド型に入れて、160℃に余熱しておいたオーブンに入れて1時間焼く
⑤ 焼き上がったら型から外して網の上で冷ます

こんな感じに焼き上がりました。


冷めたらスライスして、バターやマーガリンをちょっぴり塗って食べると美味です。
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ひとつだけ食べるつもりが、ついつい手が出てしまいます。

うちに帰ってから調べてみたら、「バラ・ブリス」というのは、ウェールズ語で「斑点のあるパン」という意味なのだそうで、確かにスライスしてみると、ドライフルーツが斑点のようです。

ドライフルーツの斑点が。

よかったら、ぜひお試しください。

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2.6.15

「忘れな草プロジェクト」のお話。

縁あって、2013年の秋からお手伝いしている、英国日本人会(Japan Association)主催の「忘れな草プロジェクト」のウェブサイトがアップされたので、ぜひご紹介したいと思います。

このプロジェクトは、戦後1950年代後半から1985年くらいまでの間に、日本から英国に移住した在英邦人にビデオインタビューを行い、アーカイブしていく、というものです。

「忘れな草プロジェクト」のウェブサイトより。サイトからビデオ・インタビューも見られます。

もともと、発起人のウィリアムズ モモコさんが、2001年の英国ジャパン・イヤーの一環で、戦前英国に住んでいた日本人、というテーマで写真展を企画した際に、当時どんな日本人がいたのか、まとまった資料がまったくない、ということに気づき、今記録をとっておけば、50年先100年先に記録として役にたつこともあるのでは、という発想から始まったプロジェクトです。20世紀の後半から21世紀の英国に、こんな日本人がいたんですよ、私を忘れないで、という気持ちを込めて、「忘れな草プロジェクト」と名づけられました。

これまでに三十数人の方にインタビューを行い、編集作業、字幕制作が完成したものから順番に、5分程度のショートバージョンのインタビュー動画をウェブサイトにアップしています。

1950年代に船で英国にやって来て、50年以上英国に暮らしている90代の女性や、60年代にシベリア鉄道でやってきて起業した人々など、実にさまざまな在英生活の先人たちが、貴重なお話をしてくれています。

海外に住んでいると、自分の将来像が見えづらくなったりするものですが、これだけ多くの人たちが、後姿を見せてくれているのだなぁと、インタビューに同行するたびに勉強になることばかりです。

学校でも、本を読んでも教えてもらえないことが、いっぱいつまったプロジェクトですので、ぜひウェブサイトにてインタビュー動画をご覧いただければと思います。

また、プロジェクトでは常時、編集作業をはじめとする制作作業にご協力いただけるボランティアを募集しています。ご興味のある方は、ぜひ、ウェブサイトのお問い合わせページから、ご連絡ください。

忘れな草プロジェクト
http://wasurenagusa.org.uk/

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29.5.15

レストランで食べる異国玉子がけごはん。

日本人にとっては、なじみ深い玉子がけごはん。
英国では、サルモネラ菌を危惧する声が高く、あまり生タマゴを食べる機会はありません。

が、それでもどーしても誘惑を断ち切れず食べてしまうのが、ペルシャ料理店での玉子がけごはんです。

タマゴをお願いすると、こんなふうに黄身だけ持ってきてくれます。

生タマゴをご飯にかけるのは、日本だけかと思いきや、イランでもご飯に黄身をかけるのは定番のようです。

温かいライスにちょっぴりのバターをのせて、生タマゴの黄身とスマックという名前の日本の「ゆかり」に似た赤い粉状のハーブをかけて、まんべんなくかきまぜてから、もりもりと。

ロンドンで、ちょっと変わり種の異国玉子がけごはんが食べたくなったら、ペルシャ料理のお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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21.5.15

4月の出来事。


フォレスト・ディーンのシモンズ・ヤット

さて、薄れつつある記憶をひもときつつ、4月の出来事。
4月の第3週末は、フォレスト・ディーンからウェールズに行ってきました。
ホビットっぽい雰囲気の田舎の村で、のんびりとした数日間です。

えらくあやうげな橋。

一度に6人までしか渡れないので、人数を数えてたもとで待ちます。

ウェールズのナッシュ・ポイントと呼ばれるあたりです。

ナッシュ・ポイント・ライトハウス。

周囲には牛が草を食むのどかな風景。

と、この週末旅行はなかなか楽しい時間ではありましたが、それよりなにより記憶に残っている4月の出来事といえば、やはり何年かぶりでパスケースをなくしたことです。

キャッシュと、カードや定期券は一緒に持つべからず(カードや定期券だけのほうが戻ってくる可能性が高い、という親の考えがあったようで)、という我が家の家訓を誠実に守り続けている私。イースターマンデーの休日にハムステッドヒースの近くを散歩していたところ、現金以外のカード類が入っているパスケースをごっそりすぱっと気前よく落としてしまったのです。

入っていたのは、オイスターカード、クレジットカード数枚、銀行のカード、ジャーナリスト組合のプレスパス、クライアントさんのオフィスのエントリーパス。

落として2時間ほどで気づき、すぐにカード類を止めると同時に、歩いた道をずーっと引き返して、落とした場所もなんとなく検討がついたので、探してはみたものの、やはり見つからず。

カード類は再発行をすべて依頼して、パスケースも前回と同じものを……と思いきや、製造中止になったのか、見つからず。似たようなものも見つけることができず、紛失2日後の水曜日、結局ウェブサイトを介して、台湾のデザイナーさんにオーダーメイドで希望のサイズでつくってもらえることになりました。ほっと一安心。

と、そこで。
パスケースをオーダーして、Paypalでお支払いをした約2時間後に一通のメール。

あなたのパスケースを拾いました。間違いないようでしたら、送るので住所を教えてください、とのこと。

なんと!

見つけた場所というのは、まさに私が検討をつけていた小路。連絡してくださったのは、某出版社にお勤めの編集者で、同業者でした。

右が戻ってきたパスケース。左が台湾から送られてきたもの。

私がカード類の入ったパスケースをごっそり落としたのは、これで2度目。前回は、アーチウェイ駅の公衆電話(懐かしい)の上に置き忘れ、なぜかその日のうちにホルボーンの駅に届け入れられていたのです。今回と同様、まったく触られた形跡がなく、クレジットカード類の並び順までそのままでした。

ということで、いまのところ、なくしたパスケースが戻ってくる率は2勝0敗。
とりあえず、我が家の家訓は守っていこうと思っています。

<オマケ>

シモンズ・ヤットにて。これはゼンマイ? もしかして食べられる? わかる方、ぜひ教えてください。

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3.5.15

3月の出来事。

3月は、ここに行ってきました!

うかうかしているうちに5月になってしまいました。
驚くべきことに、3月4月とまったく更新なしの、超怠惰ブログにもかかわらず、読みに来てくださった皆さま、心からありがとうございます。

さて、今さらではありますが、この空白期間を振り返ってみようかと思い立ちました。
ということで、まずは3月から。

3月は、定期でいただいている雑誌編集のお仕事に加えて、日本の不動産会社さんが発行している会員誌の企画ページのお仕事をいただき、わたわたしているなかで、20年前にロンドンで知り合った仲良しの友人が、2年ぶりに日本から遊びに来てくれて、一緒にアムステルダムに行ったのでした。

写真を撮ろうとするたびに、中央のレンブラントの肖像画をいちいち顔認識する私の律儀なiPhone。


アムスといえば、やはり美術館めぐり。ちょうど国立美術館では、レンブラントの後期展が開催中で、ロンドンのナショナル・ギャラリーですっかり見逃していた私は、ホテルのインターネットとプリント設備を利用させてもらい、現地でオンライン予約しました。

とても美しい空間です。

最後にアムスに来たのは、もう相当昔、ひょっとしたら15年近く前でしょうか。ずいぶん覚えているのと様子が違うような気がしていたら、2013年に大改装工事を終えてリニューアルオープンした(「るるぶ」情報)とのこと。「名誉の間」は、ため息がでるほど美しくて、いつまでもここにいたい、むしろ住みたい、と思うくらいでしたが、期待のレンブラント後期展は、どこからこんなに人がわいてきたのか、と思うくらいの混雑ぶりで、一点一点ちゃんと見学することができませんでした(涙)。

この国立美術館を含め、ミュージアム広場にあるゴッホ美術館や市立美術館も見学したのですが、美術館めぐりのなかでちょっと拾いものだったのが、今回初めて訪れたエルミタージュ美術館アムステルダム別館でした。

グループ・ポートレート展の会場。右側にちらりと写っているのがデジタル版の「夜警」です。

グループ・ポートレート展が開催されていて、見事な絵画の数々とともに、デジタル版の動くレンブラントの「夜警」があり、口を開けてぼーっと観てしまいました。ミュージアム広場から外れているせいか、人も少なく、のんびりじっくり観ることができて、元養老院だったというこの建物(「るるぶ」情報)をうろうろと堪能しました。

チャペルの一角。展示物がない部屋も美しいのです。

養老院だった頃のチャペルや、キッチンも見ることができます。


こちらはキッチン。17〜18世紀のものだそうです(「るるぶ」情報)。

置かれている石けんも古めかしいのです。

2泊3日の駆け足の旅行でしたが、よくしゃべり、よくしゃべり(笑)、よく歩いて、充実した旅でした。

追って、4月の出来事も近々アップしたいと思います。

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