26.5.13

フィオナさんのお花レッスン

以前にフラワーアレンジメントに関する雑誌のお仕事をしていたときに、取材させていただいたフラワーデザイナーのフィオナ・デ=リスさんから、何年かぶりにお電話をいただきました。

フィオナさんのことを最初に取材させていただいたのは、かれこれ10年近く前のことで、当時彼女は私の住んでいる町に小さなお花屋さんを持っていたのでした。その後、華麗なるキャリアチェンジをされて英語教師の資格をとり、留学生に英語を教えるかたわら、やはりお花への情熱を捨てきれず、英語学校のオプショナルの授業として、ちょっと前からお花のレッスンを行っている、とのこと。一度見に来ませんか、と誘っていただいたので、さっそく見に行ってきました。

フィオナさんのお花は、自然の持つ風合いを大切にしたナチュラルでどこかワイルドかつオーガニックなスタイルが特徴です。今回もそんなフィオナ流の花づくりをみせていただけるに違いない、と、いざ、北ロンドン、マズエル・ヒルにある「エクセル英語学校」へ。

まずは、バケツに入った花材を前に花の名前を英語で学んでいきます。

本日の生徒さんは、ひとり。日本人女性の学生さんです。英語留学として、3週間の予定でロンドンにやってきて、最終週にフラワーのコースを1週間オプショナルでとることにしたのだそうです。

それでは、フラワー・アレンジメントができていく様子を時系列で、写真で追っていきましょう。

花瓶に活けるアレンジメントにもかかわらず、フィオナさんの手にはオアシスが…。

フィオナさんの指示にしたがって、プスプスとオアシスにナイフをさしていく生徒さん。

オアシスをナイフで刺すのは、次のステップで水を吸い込ませやすくするため。 水を「吸い上げる」=「Soak up」など、使える英語表現もあわせて学んでいきます。

まずは、花を縁取るコケやシダなどのグリーナリーをテーブルの上に広げてみます。

花を後回しにして、まずは、グリーンを使って、花を飾るためのベースをつくっていきます。

まずは「パープルリーフ」を丸めて、花瓶に沿うように入れていきます。
こうすることで、花瓶の表面にパターンを作ると同時に、
あまり美しくない茎の部分をカバーすることもできるのです。

次に、この花瓶の上部に水をたっぷりとしませたオアシスを入れて、グリーナリーを挿していくためのベースを整えます。

三角形をつくるために、中央を高く、そこから角度をつけて
挿していく方法を説明するフィオナさん。

グリーナリーのベースができあがったら、いよいよ花を活けていきます。葉っぱや花が、地面からどのような方向に生えてきたのか、それをまず見極めることが重要、とフィオナさんは言います。植物は自然のものなので、その流れをいかす、というのが大切なのだそうです。そこで、ひとつひとつのグリーナリーを見て、その植物が成長してきた方向に向かうように活けていきます。

花の大きさのバランスをみつつ、活けていきます。

ここでも、それぞれの花の数は、「Odd Number(奇数)」か、「Even Number(偶数)」か、など、英単語の勉強を交えた質問が飛びます。動きのあるアレンジメントをつくるために、偶数ではなく、奇数の花を使うことが、ひとつのポイントになるそうです。

いよいよ本日の主役であるアジサイが登場。

この日、用意されたお花を全体的に見て、フィオナさんと生徒さんとで話し合って決めた、「本日の主役」となる花がアジサイ。これを最も生かせる場所に配置します。

いよいよ配置を決定。オアシスに挿します。

袋からごろごろと木の枝とコケがでてきます。

フィオナさんのスタイルは、常に自然を意識して、ただ色や形が美しい花を使うだけでなく、ハーブやコケ、木の枝や葉など、自然の素材をふんだんに使うこと。この日も脇に置かれていたビニールの中身が気になっていたら、そこからごろごろと木の枝とコケが出てきました。

枝をポイントとして、正面にとりつけます。

さらに、美しく垂れ下がるコケを、花瓶の縁取りのように挟み込んでいきます。

フィオナさんらしい、美しいコケづかい。

たれさがるコケのテクスチャが美しいです。

最後に、足りない部分を補うように、グリーンや脇役の花を入れて、整えていきます。

最後の仕上げです。

ということで、スタートから約1時間半、ナチュラルなテイストを保ちながらもとっても華やかな、大きなアレンジメントができあがりました。

生徒さんも大満足のできあがりです。

この日のレッスンではこのほかに、さらに小さなアレンジメントをひとつ作成。今回の生徒さんの場合は、午前中の一般英語のコースをとりながら、午後のお花のオプショナルコース1週間3回のレッスンで、フラワーマーケットの見学、ブーケ2つの制作、そしてこの日アレンジメント2種の制作と、盛りだくさんの内容だったそうです。

エクセル英語学校では、このように、英語を学びながら個人のニーズに合わせて、オプショナルのお花のコースも1週間からアレンジ可能なので、短い留学期間でもちょっと違うことも挑戦してみたい、という方には最適かもしれません。

特にフィオナさんのお花のセンスは、私も大好きで、また彼女のレッスンでは、生徒さんの自主性を大切にしながら的確なアドバイスをしてくれるのを拝見して、私までとってもすてきな見学時間をすごさせていただきました。

エクセル英語学校のウェブサイト
http://www.excelenglish.co.uk

10.5.13

試験に出ないふたつのこと。

まずは問題です。これ、なんだかわかりますか?

ヒントはこの茎の形状でしょうか。

ちょっと近づくと、こんな感じです。

とんがってます。

正解は、チャイブのつぼみです。

昨日、に行って、私がスペースをお借りしている「畑の大家さん」からいただいたのです。「サラダにつぼみを散らすとおいしいのよ」と。ネットで検索してみると、つぼみもさることながら、お花を使ったサラダや天ぷらなどいろんなレシピが。チャイブの葉っぱは、前々から大好きでしたが、お花やつぼみが食べられることは、ぜんぜん知りませんでした。

平日の畑は、人も少なくて、ただただ鳥の声と風の音がするばかり。ふだんは臆病もので、人にあまり近づかないロビン(ご存知ない方のために、ロビンというのはこんな鳥です。一晩中貧乏な家族が凍えないようにと、羽をパタパタさせて、風を送って火を守ったので、胸が赤くなったと言われている、と聞いたことがあります。けど、これは諸説あるらしい)が、やたらと近くにやってきます。

気がつくと、長靴のすぐ横にいたり、土に振り下ろした鍬のすぐ近くをうろうろしていたりして、ハラハラしてしまいます。なんだって、こんなに近くに来るのかしら、とよぉぉぉく観察してみると、くちばしになにやら不気味なものくわえています。

足がいっぱいついた小さい虫とか、にょろにょろ蠢く小さなミミズとか。

正面から見ると、なにやら動く口ひげをたずさえた、エルキュール・ポアロか、サルバドール・ダリか、という感じですが、これその場で食べるわけじゃなくて、できるだけいっぱいくわえようとしているみたいで、ひどいとき(すごいとき、と言うべきか)は、4つくらいいっぺんにくちばしにくわえるのです。よくも器用に、前にくわえている虫を落とすこともせずに。

そして、これ以上もう、くわえられない、っていうくらいの量になると、ぱたぱたーっとふたつ隣の畑の小屋の裏に消えていきます。どうやら、雛に与えるために、虫のいっぱい出そうな耕し中の土のまわりをうろうろしては、せっせと運んでいる様子なのです。

「畑の大家さん」によると、もう少し雛が育って、大きくなってくると、もっと大きい虫を選んで運んでいくのだそうです。「まだきっと小さなベイビーなのね」と。それにしても、あんなかわいい顔して、口からにょろにょろ虫を出している姿は、まぁ、クリスマスカードには不適切ですね。

畑に行くと、生活にあまり役に立たないかもしれないけれど、興味深いことをいろいろ学べます。








4.5.13

紙の本の贅沢時間。

電子書籍の便利さは捨てがたいのですが。

私のデスクの左端には、常時、読んでいる途中の本、次に読まなければと思っている本が、かなり高く積み上げられています。いま数えたら35冊。英国が地震のない国でよかった(いまのところは)。

とはいえ、最近は、私もKindleを愛用していて、以前よりも紙の本を読むことが少なくなりました。旅行のときなど、限られた荷物のなかで、Kindleをひとつもっていけばいいのは、代え難い便利さですし、また、海外在住者にとってはいちいち高い送料をかけて、日本から本を取り寄せるよりも、経済的に、そして瞬時に手元に読みたい本がやってくる電子書籍は、10年前から考えたら奇蹟のような存在です。

それでも、読みたい本に限って、電子書籍になっていないことがいまだ多く、なんだかんだで、この本の塔が低くなることはありません。今週末、英国は月曜日がバンクホリデーで3連休なので、これを読み出したら、絶対ほかのことができなくなるに違いない、ということで、がまんしてきた禁断の果実に、ついに手を出しました。

紙の本の読書は、電子書籍の読書よりも贅沢だなぁと感じます。それは、そこにかけられている物資や労力などコストの違いということもありますが、なによりも紙の手触りや、インクのにおいといった五感に訴えてくるものが大きいと思います。

また、電子書籍で本を読み始めたときに、軽い衝撃を覚えたのは、本が「突然終わる」ということでした。それは、コンテンツとしての内容が突然終わるわけではなく、なんというか、あとどのくらい残っている、という明確な感覚のないままに夢中に読み進めているうちに、突然「はい、おわりっ」と言われる感覚なのです。

もちろん、Kindleも下の方をちゃんと見れば、「残り何パーセント」とか、聞いてもいないのにご丁寧にも「読み終わるまであと何分」とか、出ているのですが、本を夢中になって読んでいるときというのは(私だけかも知れませんが)、そんなことは見ちゃいないのです。それで、最後のページで、突然にバサッと切られるような、「えっ、おわり??」という感覚があるのかな、と思いました。

この感覚を体験して初めて思ったのが、私たちが紙の本を読むとき、通常、ページをめくるたびに、左手から右手へと一枚一枚紙の重みが移行していく、これって、実は無意識のうちに、お話の終わりへと向かっていく心の準備を促しているのではないか、ということです。特に気に掛けていなくても、残り数ページになったら、ああ、もうすぐ終わりなんだなと、否応なしに意識する。なるほど、こんなふうに終わるんじゃないかな、という、考えをめぐらせる。それは、2時間ドラマを見ているときに、1時間半経過したら、そろそろ種明かしでしょう、と準備する感覚と似ているかもしれません。

そんなふうにして、読書は目を通じて、脳にいき、あとは脳の中で完結するもの、と思っていたら大きな間違いで、読み手がページをめくる指と、手首と腕にかかる重みとで、もっと物理的に本をとらえ、そしてこの物理的信号をもとに、思いのほか能動的に起承転結を受け入れる準備をしているんだなぁ、と。あまりに身近なアクティビティで、改めて考えることもしませんでしたが、読書って実は、目と頭だけでしてるんじゃないんだな、と思ったのです。

これからの時代、紙の読書は、ますますラグジャリーなものになっていくのでしょうか。一抹の寂しさを覚えます。

2.5.13

クイズはお好き?

チームごとにテーブルを囲んで。


「英国人の紅茶好き」ほど、世の中には知られていないかもしれませんが、英国人は「クイズ好き」です。

多くのパブが、クイズナイトを設けていて、週に一度、そこかしこのパブでクイズ大会が行われています。チームで参加することが多く、たいてい、ひとり1ポンドとか2ポンドとかの参加費を払って、チームで1枚解答用紙をもらって、司会者が読み上げる問題の答えをその用紙に書き込んでいき、最後に回収されて採点され、1位のチームにはドリンクとか、賞品とか、はたまた賞金が贈られます。

というわけで、普通のパブクイズとはちょっと違いますが、英国ジャパン・ソサエティが主催する「日英パブ・クイズ」に参加してきました。

ジャパン・ソサエティはこれまでにも何回かパブクイズを開催していて、日本に関する問題、英国に関する問題を日本語と英語で交互に読み上げられるので、チームは日本語が分かる人と英語が分かる人の混合チームでなければいけません。今回は、鹿児島日英協会の方々が来英中ということで、どうやら、鹿児島に関する問題も多く出題されるもよう……。

鹿児島日英協会の方が、ユーモアたっぷりに英語でご挨拶されました。

顔写真がずらーっと50並んだ用紙が配られ、その人の名前を書いていく「写真問題」からはじまり、今回も英語と日本語で交互に問題が読み上げられる日英の一般問題もあり、チーム内で、日本語のわからない人がいたら、みんなが一斉に小声で通訳したり、はたまた、日本語と英語だけでなく「とんち」を要する問題も。例えば、いくつか並んだ写真や絵から探検家の名前をあてる、という問題がこちら↓。

● + 湖の写真 シャツのイラスト 

で、答えは「マルコ・ポーロ」といった具合。湖の写真を見て、湖の音読みが「こ」であることがわからないと答えられないので、日本語の知識も必要になるというわけです。

この探検家あて問題のなかから、傑作だったものを皆さまにも一問。

「鐘は、鳥ですか?」

さて、これ、探検家の名前なのですが、おわかりになりますか〜?
(答えは最後に)

向こうに見えるのは「写真問題」の問題用紙。見たことあるのに誰だっけ〜?というのが多いのです。

3時間ほどの死闘(大げさですが)の結果、我がチームは、14チーム中6位。はぁー、難しかったけど、おもしろかったです。

企画してくださった皆さま、問題を作ってくださった方々、ありがとうございました。次回も楽しみにしています。

配られた「祭」手ぬぐいを額に奮闘する皆さん。

<クイズの答え>
鐘は、鳥ですか?

Is a bell a bird?

イザベラ・バード(イギリスの女性旅行家。ウィキペディアはこちらからどうぞ