13.9.17

新刊のご報告

CREA Travellerの最新号と、最近発売になったeat TOKYOのレシピブックです。

ここ2週間ほどの間に、2冊、お仕事をした新刊が届いたので、ちょっとご報告です。

英国好きの方なら、もうチェックされているかも、ですが、CREA Travellerの最新号は、英国特集号です。カンタベリーやウィンチェスター、デヴォンなど、内容盛りだくさん。私の大好きなルイスもフィーチャーされています。

CREA Traveller最新号では、ロンドンのクラフトについて書かせていただきました。

私も、ロンドンのクラフトについて20ページ、クラフト感溢れるホテルについて4ページ、取材と執筆を担当しました。上の写真のなかの、カップとグラスも今回取材させていただいた作家さんの作品です。

現在、陶芸が大ブームの英国。いままでになく、つくる側も使う側も「手仕事でていねいにつくられたもの」に対するポジティブな意識が高まっているように思います。私も今回インタビューさせていただいた作家さんたちから、インスピレーションをたっぷりいただいたので、自分のささやかな趣味へと活かしたいなーと思っています。

さて、もうひとつは、写真と編集を担当した英語の和食レシピ本です。

はじめて和食に挑戦する非日本人の方には、おすすめです。

こちらは、ロンドンとデュッセルドルフに店舗展開している和食レストラン・チェーン、eat TOKYOさんのレシピ本で、はじめて和食に取り組む非日本人の方に、簡単においしくつくっていただけるように、eat TOKYOさんのシェフの方とご相談しながら制作しました。レシピだけではなく、和食材に関する解説もなるべく幅広く網羅したつもりです。

はじめて、おこがましくも1冊丸ごと写真も担当させていただき、昨年秋は毎週eat TOKYOさんにお邪魔して、お料理を撮影しました。私の未熟な写真技術をデザイナーさんに補っていただき、とてもすてきな仕上がりになったと思います。

いずれも、どこかで見かけたら、ぜひぜひお手にとっていただけると嬉しいです。

20.7.17

足し算、引き算。

年の初めには、今年こそもっと頻繁にブログを更新しよう、と決意するのに、そんな決意は豆腐よりも脆いものです(フー。ため息)。

ずいぶんご無沙汰しているうちに、畑からはズッキーニ、キュウリ、ズッキーニ、ししとう、ズッキーニ、トマト、ズッキーニ、赤タマネギ、ズッキーニ、ビーツ、ズッキーニ、なす、ズッキーニとものすごい量の収穫物が。

とにかくズッキーニの量が半端なく……。


それは菜園中、いずこもおなじ風が吹いているようで、みんなズッキーニの消費量と収穫量のバランスに格闘している、みたいです。

私たちの菜園には、とれすぎた収穫物や園芸用の不要品を交換するためのスワップテーブルがあります。
ある日のスワップテーブルには、巨大なズッキーニが3つ……ここに私もさらにひとつ足しました。
なぜかCDとか、パスタとかアイロン(!)を置いていく人もいます……。

そんなわけで、最近は日が長いのをいいことに、夕方の6時半頃に仕事を(むりやり)終えて、畑に出勤して、収穫したり草むしりしたりしています。

さて、ここからはちょっと算数の問題のようなのですが、今日の出来事を書きます。

いつものように、夕方の6時過ぎに家を出て、近所のトルコ系のパン屋さんに行き、畑で食べようと思って、パセリとチーズの入ったいわゆる総菜パンとパンオショコラを買いました。そうしたらお店のおばさんが、それぞれのパンを白い紙袋にひとつずつ入れながら、「ほかにもパンあげるからもっていきなさいよ」と、買ったパンとあわせて、バゲットを2本(大&小)を白いレジ袋に、中東のゴマペースト、タヒーニが練り込んである甘いパンを白い紙袋に入れてくれました(ふたつ買って、3つもらったわけです)。

畑に着いて、とりあえず腹ごしらえをと思って、買った総菜パンをひとつ食べました(ひとつ消費)。

収穫したり草むしりしたり、忙しく作業をして、一休みするか、と荷物を置いておいた椅子のところに戻ると、白いレジ袋がひとつ地面に落ちていて、その先に空っぽの破れた白い紙袋と、タヒーニ・パンの入った白い紙袋が落ちていました。むむ、カラスの仕業か、と思いつつも、タヒーニ・パンが無事だったので、そのままレジ袋に戻しかばんのなかへ。

ん? むむむ? パンオショコラがない!!!

畑仕事をしている間に、カラスにお弁当を盗まれるなんて、「まんが日本昔話」のなかだけの話かと思っていたら、この大都会ロンドンでもこんなことが起こるとは。頭の上で「カアカア」と鳴いているカラスに、「おまえか、おまえなのか??」と心のなかで問い詰めましたが、もちろん答えは得られず。

バゲットはさすがにでかすぎるのか、手つかずのまま。
かごのなかのレジ袋が破れているのは、奴の仕業です。

ふたつ買って、3つもらって、ひとつ消費して、ひとつ盗まれた。
これは算数的にはプラスと考えてよいでしょうか。

そんなまさに「鳶に油揚げをさらわれた」日ではありましたが、今日もまた収穫物はずっしり。
先日アンティークショップで買ったばかりのこのバスケット、壊れる日も近いような気がします。



24.5.17

土さえあれば。

ここ1週間ほど、ロンドンも最高気温が20℃なかばという、気持ちのいい日が続いています。
すっかり日が長くなって、夜9時過ぎまで明るいので、6時くらいまでに仕事を終えて、水筒にお茶を入れていそいそと畑に向かいます。

ようやくほとんどのスペースに、ほぼ仕込みが終了しました。

畑もようやく緑色に変わりつつあり(雑草も含め、ですが)、いよいよ畑から食卓へ、少しだけですが持ち帰れるようになってきました。

畑が近くなったこともあって、晩ご飯で使う材料をひょいと取りに行けるようになったのが嬉しいです。
この日は、鮭と合わせるためのスイスチャードとカボロネロ(イタリアのケール)、ディルを収穫。

英国では、春先の収穫物があまりない時期を「ハングリー・ギャップ(おなかぺこぺこの隙間期間、という感じでしょうか)」と言いますが、ようやくハングリー・ギャップも終わりかなーというところです。

ということで、ちょっと絵日記風に現在の畑の様子を。

温室用トマトは、大きな鉢に移して2日後にさっそく一番花が。
植え替えを待っていたのかもしれません。

露地植えのトマトも定植2日後に開花!

そら豆は、赤い花をつけるユニークな品種だったので、隣近所の注目の的。
ミツバチも大好きのようで、まわりをぶんぶんしています。

今年の春に根っこを植えた1年目のアスパラガスは、1本も収穫せずに、翌年以降のためにエネルギーを根にためるべし、とのこと。そのままにしていたらアスパラの先っぽが枝分かれして、小さな花が咲きました。

盛り上がったところから箒のように生えているのがアスパラガス。
1年目は1本も取ってはいけないとのことで放置。小さな黄色い花が咲いています。

ハーブをたくさん植えたいなーと思い、種から育てたラベンダーやタイムも
小さいながらも元気に育っています。

もう少ししたら定植できるかな、という感じです。
小さいけれど一丁前にラベンダーの香りを振りまいています。

こぼれ種から大きくなったマリーゴールドも、畑のいたるところで花を咲かせています。

今年の春は、山椒の木(雄と雌の2本)も仲間入り。昨年は1つしか花が咲かなかった柚子の木にもたくさんの花がついたので、ひとつくらいは実になってくれるといいなーと思っているのですが……どうなることやら、です。

ジャスミンのような香りがする柚子の花。こちらもミツバチの好物のようです。

自然は、人間の世界の物騒なニュースもどこ吹く風で、とどまることなく決まった方向へと変化していきます。そこにはとてもシンプルなルールがあり、学ぶところの大きい今日この頃です。

4.4.17

発芽率におののく。

温室のなかである程度大きくしてから、外に出します。

ロンドンはずーっと寒い日が続いていたのですが、3月中旬、唐突にそして気まぐれに春がやってきて、一気にあたたかくなりました(今日はまたちょっと寒いですけど)。

3月の頭くらいから、少しずつ野菜の種を苗床に仕込み始めたのですが、まったくもってどうしたことでしょう! ぼかすか芽が出てきて、まさに嬉しい悲鳴を通り越して絶叫状態です。

柚子の木にも小さなつぼみがたくさんつき始めました。今年はひとつくらい果実がとれるでしょうか。

温室に置いているブルーベリーも花が咲きました。実になるのが楽しみです。

前回のポストで書いたとおり、今年は6メートル × 25メートルの畑をひとりで使えるので、いままでのようにケチケチせず、そら豆も袋に入っていた種をひとつ残らずまいてしまうなど、かなりの大盤振る舞い。

去年は寒かったせいか、どの野菜もこの季節の発芽率がとても低かったので、いっぱいまいたって、みんな芽が出るとは限らないし、と、トマトもししとうもトウモロコシも紫のブロッコリーも、セイジやタイムなどのハーブ類も、がんがん種を仕込んでいたら、ほぼすべて90%以上の発芽率。ブロッコリーに至っては、80発80中という恐ろしい結果に。

クラリセージも20個の種がほぼすべて発芽……。

ブロッコリーは、6株あれば4人家族で食べるのに十分、とのことなので、半分に間引きをしても40株で26人家族分……ということになります(我が家はふたり家族……)。

去年は5月になっても発芽率が半分以下だったトウモロコシも、90%以上の発芽率です。

私たちの菜園には、門のすぐそばに「Swap Table」(交換台)と書かれたテーブルがあって、そこにいらなくなったガーデニングの道具とか、余った種とか、とれすぎて食べきれない野菜とかを置いておくと欲しい人がもっていく、というシステムがあります。

先日は、パースニップ(白くてでかいニンジンのような見かけの根菜)とリーク(太い長ネギのような野菜)がどっさり置かれていたので、大きなパースニップ2本とリークを5本ほどいただいて、スープにしました。

うちの紫ブロッコリーの苗も、もう少し育てて強くしてから、どっかとそのテーブルに出そうと野望を燃やしています。

さて、他人様が使っていた畑を引き継ぐと、なにかと「むむむ、これはなんだろう??」と思うものがたくさんあります。特に3月の休眠中の木にいたっては、なんの木だかさっぱりわからないので、剪定していいのかどうかもわからず。

そこで、私がものすごくお世話になったのが、「SmartPlant」というiPhoneのアプリです。このアプリ、謎の植物の写真を撮ってアップロードすると、ガーデニングの専門家が見てくれて、それがなにか、またどういった世話をしなければいけないかを教えてくれます。こちらからの質問にも答えてくれるので、私のような初心者には本当に心強い存在なのです。

このアプリのおかげで、りんごの木やライラックの木があることもわかり、ますます春から夏、そして秋になるのが、待ち遠しい今日この頃です。

りんごのつぼみもふくらんできました。


26.2.17

ひとりだち

柚子の木とラベンダーとオレガノを連れていきます。


先週の日曜日の朝、いよいよ待ちに待った、というか待ちすぎてすっかり忘れていた連絡がきました。
「いくつか畑に空きができたので、『今日』ビューイングに来ますか」
うちから歩いて5分のところにある菜園からでした。

何年も前にウェイティングリストに名前を入れてもらい、いつ順番が回ってくるかわからないので(ウェイティングリストには100人ほどが名前を連ねているそうです)、その間、うちからバスと徒歩で30分ほどのところにある知人の畑をシェアさせてもらっていましたが、待てば海路の日和あり、と言いますか。ちょうど出張からロンドンに戻る日だったので、うちにスーツケースを置いてその足で畑へ。いくつか見せていただいたなかから、ひとつのプロットを決めて即1年分の賃料をお支払いしました。

これまで、過去4年間お世話になった畑の大家さんには、一から十までいろはを教えていただき、また、道具から物置小屋まで使わせてもらっていたのですが、いよいよひとりだちの時がやってきたようです。

いままで使わせていただいていた私のエリアは、しばらく使われないとのことで、雑草よけの黒いビニールシートを敷き詰めて重しを。となり近所の畑の人たちとも仲よくなったし、ここから見る四季折々の美しい風景にもすっかりなじんでいたので、ちょっとセンチメンタルな気持ちになりながらの店じまいです。

大きな道具はほとんどないものの、4年間ひとところで畑しごとをしていると、それなりにモノが増えました。
日本風の鍬、雑草取りのための鎌(こちらで買った日本製)、タンポポの根っ子抜き、新芽を守るカバー類、長靴などなど。そして柚子の木と種から育ててやっと花を咲かせるようになったラベンダーとオレガノも。畑に似つかわしくない巨大スーツケースに入れて移動です。夫とふたり2往復して、引っ越しは完了しました。

新しい畑の面積は、幅5メートル、奥行き25メートル。そこに、コニファーの木とプラムとおぼしき木が1本、なにかわからない木が数本、ぼろぼろの道具小屋がひとつと、もうひとつややボロボロの道具小屋、そしてガラスがところどころ抜けている温室があります。そして誰か住んでいたのか、と思うような鍋やらフライパンやらやかんやらの生活用品や、ビールの空き缶などのゴミが散乱していて、まずは少しずつ片付けと温室の修繕をしなければ、です。

畑そのものは、ついこの間まで使っていたようで、雑草も少なく、シートでカバーしてくれていたので、それほど手間をかけずに使い始めることができそうです。まずはどこかで馬糞を調達するところから始めたいと思います。

そんなわけで、春が来る前にしなければいけないTo Doリストは枚挙にいとまがないのですが、初めての自分だけの畑の始まりに、こうしようかな、ああしようかな、とわくわくが止まらない今日この頃なのです。






13.2.17

できあがりました(2017年その1)

昨年の9月からちくちく編んでいたセーターができあがりました。

失敗したなーと思う点や、反省点は盛りだくさんですが、なんとかできあがりました。

スウェーデンのBohus Stickningのセーターです。
Buhus Stickningは、大恐慌後のスウェーデンで、家計を助けようと集まった女性ニッターグループで、たくさんの美しいデザインが残されています。

アンゴラ混の糸がやわらかくて、あたたかくて、編んでいる間、ずっとほっこりとした気持ちになれました。

ゆっくりとした歩みでしたが、多色使いのヨークの部分を編むのはとても楽しい作業でした。

私のペースだと大きなものは年にふたつ編めればいいほうなので、これからも半年間ずっと愛を感じ続けられる糸とデザインを選ばないと……と思います。

いまは、シェットランドのショールに初挑戦中ですが、これも半年仕事になりそうです。

ちょっとピンぼけ……。こちらも亀の歩みですが手のなかからレース模様が出てくるのは楽しいです。

こちらは染めていない糸なので、またまた羊のにおいに包まれながらの数ヵ月間です。


おまけです↓
見慣れないチキータバナナのシールを見つけました。
コスタリカとスノーマンという、ミスマッチな感じの組み合わせに心ひかれます。



5.2.17

ケンウッド・デイリー

ハムステッド・ヒースのケンウッド・デイリーにて。

週末散歩でハムステッド・ヒースに歩いて行ったら、たまたまケンウッド・デイリーの月に一度のオープン・デーでした。

デイリーというのは、牛の乳搾りをしたり、チーズやバターなどの乳製品を製造したりする小屋のことですが、おそらく乳搾り小屋は別にあって、乳製品の製造とお茶会などにだけ使われていた場所という印象でした。

どうやら、19世紀の英国貴族の間でデイリーを持つのが流行ったのは、バターやチーズなどを自分たちでつくっていたフランスのマリー・アントワネットの影響だそうです。

相変わらず麹づくりをしたり、味噌を仕込んだり。春節のお料理をいただいたり。
畑の柚子の木は、無事に成長を続けていました。雪割草も顔を出して、春ももうすぐそこでしょうか。


さて、先週末の春節のお祝いで、香港出身の友人が大根餅のアレンジ版の春節料理を持ってきてくれました。フライパンで焼いて食べてね、と言われて外側の笹の葉を取ってから焼くべきか、焼いてから取るべきか、はて?と迷ったすえに、焼いてから取ることに。
とってもおいしくいただきました。が、正解は取ってから焼く、だったようです。

先週はじめた米麹づくりはなかなか奥が深く、いまのところ2勝1敗といったところです。米麹づくりと味噌づくりがやめられない今日この頃、放っておいたら床が抜けるまで味噌をつくり続けそうな自分がちょっとコワイ…。








31.1.17

心はまださる年。でも1月も去る。


心はいまだ申年。今年も新年早々、地獄谷参りをしてきました。

年末のご挨拶もないままに、新年のご挨拶もないままに、もう1月も今日で終わりです。
毎年毎年、もう少しまめにブログをアップしようと思うのに、なかなか心に身体がついてゆきません(涙)。

いえいえ、今年こそ。完結に短く、でも頻繁に、を目指してがんばりたいと思います。

昨年の3月、はじめて挑戦したお味噌は、大豆の潰しもれなどもちょこちょこありながらも、おいしくできあがりました。

玄米麹のお味噌。偶然にハート型♡

玄米麹のお味噌は、玄米ならではのもろみのツブツブ感。これさえあれば、ご飯いくらでもいけてしまうという危険な魔物です。

米麹のお味噌は、もう少しねっとりした感じ。

米麹のお味噌も、夏に畑でキュウリがとれたら、速攻もろきゅうにしよう! と、企んでいます。

これに気をよくして、今年は米麹から自分でつくってみようかと思いたち、数年前に冷蔵庫が壊れたときに応急処置として買った巨大クーラーボックスと、愛用の湯たんぽを使って温度調整しつつ、挑戦してみました。

できました! あまーい香りがします。

「噛むと栗のような甘い味がする」と言いますが、これを最初に言った人はすごい、と思うほど、本当に「栗のような甘い味」がします。ほっこりとおいしい。

拡大してみると、本当に頭の丸い麹菌が。なんか愛おしい。

なんとなく、麹菌のほわほわは、お風呂につかるおさるさんの頭の毛にも似ているような気が……しないでもない?

と、こんな出だしですが、今年もよろしくお願いいたします。