11.10.16

秋がきた。

あっという間に落ち葉のじゅうたんが。

ここ数年、特に思うことなのですが、ロンドンの季節は徐々に変わるのではなく、ある日を境に、突然暑くなったり寒くなったり、まるで日めくりカレンダーで1枚めくったら「今日から秋ですよ」と書かれているかのような、そんな感覚があります。

そんなわけで今年の9月は、ロンドンでは珍しい「残暑」から一転、秋になり、そして外出のたびに、マフラー、帽子、とひとつひとつウールのものを引っ張り出す毎日。それはそれは、もう、編み物シーズンも本番、といった感じなのです。

年中編み物を趣味にしていても、この季節になると、情報が増えたり、イベントがあったり、編み物気分は盛り上がります。

ロンドン橋を羊が練り歩く「シープ・ドライブ」というイベント。
これに合わせて、橋の近くで、ウール・フェアも開催されていました。 

先週は、北ロンドンのアレクサンドラ・パレスで開催された「Knitting & Stitching Show」に行ってきました。知り合いの方からチケットを2枚いただいたのですが、一緒に行く人もいなかったので、ひとりで2日連続で、たっぷり楽しんできました。

アレクサンドラ・パレスは小高い丘の上に立つイベント会場です。

クラフト好きの人が集まるフェアだけに、集まる人々も手づくりのものを身にまとった人が多く、来ている人を見ているだけでも楽しいのです。

いきなりこの手作り具合。傘にも髪飾りにもお洋服にも、オリジナリティがいっぱい!

椅子と一体化しているカートには、こんな刺繍が入っていました。
これももちろんてづくりとのこと。すごい!

「Knitting & Stitching Show」は、英国最大の編み物&縫い物イベント、とうたわれるだけあって、会場内は所狭しと、関連業者のストールが並んでいます。

地方にあるショップやオンラインショップなどの商品を実際に手に取って見られるチャンスです。

編み物をコンセプトにしたチャリティ団体のストールで、いらない毛糸の寄付を募っていたので、私も編み残しの糸や、もう使わない毛糸などをまとめてもって行きました。有効に使ってもらえるのは、嬉しいことです。また、スムージーのメーカー「イノセント」のストールでは、すっかりおなじみになったスムージー・ボトルの帽子を編むイベントが開催中でした。

こんなふうに一休みするついでに、ちょこっと編んで行く人々が。

こういうイベントに行くと、毛糸や布などを見る楽しみもさることながら、出品している人との交流がとても楽しくて、ついついおしゃべりに花を咲かせてしまいます。

2年前のお仕事で訪れたシェットランドの毛糸メーカーさんも会場に来ていて、当時、工場見学で説明してくれたオーナーの娘さんや、日本の刺し子を学んでいまは英国で教えているという英国人女性、また英国人の奥さんと一緒に和布の販売をしている日本人男性など、興味深い方々とのおしゃべりに、ついつい花を咲かせてしまいます。

次になにをつくろうかなーなどと考えつつ、今回2日間での戦利品はこちらです。

我ながら自制した、と思っているのですが……。

スウェーデンのニットパターンがぎゅーっと詰め込まれた「スウェーデンのニット模様集」とスコットランドのサンカという町に伝わる伝統模様を並べたマフラーのパターンは、ロンドンを拠点にシェットランドの毛糸や日本の本の取り扱いをされている、ユーロ・ジャパン・トレーディング・カンパニーさんのストールで入手したもの。

「スウェーデンのニット模様集」は、すでに出版社でも在庫限りという希少品だそうで、即買いです。サンカに伝わるマフラーは実物が展示されていて、とってもすてきだったので、いま編んでいるセーターの次はこれだ!と、これまた即買い。こちらのパターンと必要な糸がセットになったキットは、11月5日から雑誌「毛糸だま」の誌面でも販売されるそうなので、ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

さらに、ジェイミーソンのストールで見たシェットランド・ショールにも一目惚れ。パターンを買って、さらにどの糸で編もうかなーと考えていた時に出会ったのが、英国の珍しい品種の糸だけを取り扱っているBlack Batさんのストールです。染めていないナチュラルカラーの糸だけを扱っていて、私が買ったこのブラウンの糸も、濃い茶色と白の2種類の羊の糸をより合わせたものなので、限定版なのだそうです。天然色の毛糸は、鼻を近づけると、もわっと羊のにおいがして、編んでいる間中、できあがるまでずっと、羊のすごく近くにいるような気持ちになれます。「くさい」といえばくさい、でも、なんか懐かしいような、なんか癖になるような、そんなにおいです。一度洗えば、そのにおいはほぼなくなってしまうので、編んでいるときだけのお楽しみなんですね。

と、そんなわけで、いま編んでいるセーターができあがったら、まずはサンカのマフラー、そしてシェットランド・ショール、とこの先2年くらい自分で自分を予約したような気がします……。

私にとって、アレクサンドラ・パレスは歩いて30〜40分のちょうどよいお散歩コースです。しかも、その道のりが、なかなかすばらしい。2つの森を抜け、昔鉄道が走っていた線路跡の散歩道をたどっていくのですが、晴れた日のここからの見晴らしがいいのです。

こんな散歩道を歩いて行くと……

こんな見晴らしに出合えます。晴れた日は、カナリー・ウォーフまで見渡せるのです。

というわけで、楽しい楽しい編み物シーズンの始まりです。


いま編んでいるのがこれ。スウェーデンのセーターです。

最近通販で買った糸切りです。ペンダントヘッドになってる。

裏返すとこんな感じ。
日本製なのに、日本では販売されてないんですよね。なぜかしら。