28.3.08

スキルのお値段



社長日記 - livedoor Blog 共通テーマ

編集プロダクションという仕事がら、
一緒にお仕事をするカメラマンさんは何人かいて、
チームで取材をすることがほとんど。

文章を書く仕事にしても、写真を撮る仕事にしても、
モノを売る仕事と違って、スキルを売るお仕事の場合、
その値段のつけ方が理解できない方は多いようだ。

特に困ってしまうのが、
結婚式で「安く」写真を撮ってくれる人を紹介して、
という知人からのリクエスト。

例えば、この人に頼みたい、しかし予算がこれしかない、
というリクエストなら、まだ、相談の余地はある。
その人のスキルを認めたうえで、予算の交渉をしよう、
という姿勢だから。

でも、とにかく「安く」というお話の場合、
申し訳ないけれど、知人のカメラマンさんを
紹介するのには抵抗がある。

だいたいにおいて、人のスキルをなるべく「安く」買おう、
という姿勢は、ちょっと失礼なのではないか、と思ってしまう。
私自身も、原稿を頼まれて、なるべく安く、
と言われたら、きっとお断りしてしまうと思うからだ。

たとえば、駆け出しで経験も浅い人に、練習がわりに、
安く撮って欲しい、ということならば、まだ理解できる。
でも、プロとしてすでにお仕事をされている方に、
「なるべく安く」というのは、
手抜きしていいから安く、なのか、
拘束時間をものすごく短くするから安く、なのか、
写真の枚数が極端に少なくていいから安く、なのか、
「なるべく安く」の正当性はどこにあるのか、と思う。

それが、お金をかけた会場を使っての式であるなら、
なおさらのこと、なぜ「写真だけ安く」なんだろう、
と思わずにはいられない。
結婚式なんて、もともと、絶対にしなければいけない、
というものでもないのだから、
お金がないならしなければいいし、
もしも、それなりにお金を費やして、
会場や食事を用意するなら、人のスキルに対しても、
正当な金額を気持ちよく払いましょうよ、と思う。
そうじゃなかったら、別にプロを頼む必要だってないのだ。

食事とか会場とか、目に見えるものは、
金額の正当性を理解しやすいのだろうけど、
こと、「スキルを買う」ということになると、
出し渋る人が多いのが、現状なのかもしれない。

実際のところ、私自身も含めて、
知人のカメラマンさんにしても、
不当に低いギャラをもらうくらいなら、お断りするか、
またはタダで好意でやってあげるほうがいい、
と思うプロは多い。

写真だけじゃなくて、企画にしてもアイデアにしても、
その人の経験に裏づけされたプロのスキルを頂戴する場合は、
それなりのリスペクトを払ってもらいたいと思うのは、
この業界で働く人間にしか通じない常識なのだろうか。

4 件のコメント:

  1. ねこの足跡28/3/08 19:01

    こんにちは、お久しぶりでコメントにお邪魔致します。
    スキルのお値段…という透明な『技術』に対する価値を量ることは、本当に難しいと思います。業界側ではない私としては、反対に『いくら位かかる』ものなのか…と不安になりますし、大抵見積もりという形でお問い合わせをするしかないので、オープンな値段表の無いことに対して慎重に構えてしまうと思います。その後提示されたお値段が高いと感じて不満に思っても、(日本人の習性というか)はっきり伝えられなかったりして。
    お互いの立場と難点を上手く解決できる方法があるといいですよね。

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  2. > ねこの足跡さん
    ご無沙汰しています!
    なるほど、確かに不安に思う気持ちはわからないでもないです。
    ただ、たいていの方はオープンな料金表というか、基準となるレートは決まっているんですよね。あと、アソシエーションのようなところに聞けば、相場も教えてくれますし・・・。
    っていっても、日本にはそういうオープンなアソシエーションは、もしかしたら、ないんでしょうかね~。

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  3. 初めまして。
    ああぁ、なるほど確かに言われてみれば共感。
    スキルを安く買う・・・。
    うん、買う側としては何となくその表現分かります。弁護士を探す時でも安い弁護士をなんて思いますもの。
    技術やサービスは高いものを要求するが(少なくとも信頼できるサービス)それでも良心的な(これも曖昧な表現ですね)お値段を請求してくる所。
    そして私もスキルを売る側でして、値段をつける時は「マーケットの平均的なお値段」を付けるかなぁ~。
    多分利用する側はその平均的なお値段を下回れば「安い・良心的」というイメージを持ち、上回れば「高いわ~」って思うんでしょうね。
    99pと1ポンドの差でしょうかwwwwwトリッキーだと思います。

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  4. > えまさん
    はじめまして。コメントありがとうございます。
    ある、オーガニック・パブのオーナーからの
    メールの最後には、シグニチャと一緒に以下の一文がついていて、
    はー、なるほどーと唸りました。

    'I am still looking for the modern-day equivalent of those Quakers who ran successful businesses, made money because they offered honest products and treated their people decently, worked hard, spent honestly, saved honestly, gave honest value for money, put back more than they took out and told no lies. This business creed, sadly, seems long forgotten.'
    Anita Roddick 1942-2007

    我々が提供するのはプロダクトではなく、サービスですが、基本は同じだなーと。
    こちらもオネストなクオリティのサービスを提供するので、
    払いもオネストであって欲しいものです。

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