3.3.13

ヴァンサンさんのカメラ・ショップ。

「メキシカン・スーツケース」の写真展を観るために、パリにさっくり行ってきたのですが、パリでの出来事をもうひとつだけ。

昨年、お友だちのお父様が使っていたという、フィルムの古いカメラを譲り受けました。レンズのカビを掃除してもらったり、オーバーホールに出したり、それなりにお金はかかりましたが、知人の写真家の方にも「それは名機だよ、ちゃんとメンテすればずっと使えるよ」と言われて、気をよくして使っていたのですが、こんなことに。

フィルムを巻き取るハンドルが取れちゃったのです。

フィルムを巻き取るハンドルが取れてしまったので、なくさないように保管しつつ、必要な時だけ上にくっつけてフィルムを巻き取り、その場その場をしのいでいました。

ところが、パリでいつものように撮り終わったフィルムを巻き取ろうと、上にハンドルをくっつけて回せども、くるくるくるくる空回りするばかり。これはもう、ダメになるのを承知のうえで、蓋を開けてシャーっと取り出すしかないのだろうか……と、お先真っ暗な気持ちになっていたところ、はっと思い出したのが、お友だちのまぁちゃん(まぁちゃんのブログはこちら。写真の好きな方は必見です)が連れて行ってくれた日本街のカメラ屋さんです。

和食屋さんや日本の食材屋さんが並ぶ、rue Sainte Anneの北側にあります。
ちなみに看板はおそらく昔ここにあった店の名前で無関係です。

こちら「Photo Vincent」という名前のとおり、ヴァンサンさんのカメラと写真のお店。ここに朝からどたどたと、フランス語をまったく話せない日本人の私が、厚かましくも「助けてぇぇ」と飛び込んでいったわけです。

ひととおり、カメラをあちこちいじっていたヴァンサンさん、なにやらいろんな引き出しを開けて、なにかを探している様子。なんでも、カメラの巻き取りを司るパーツがひとつなくなっていて、普通に巻き取ることはできない。そこで店の奥にある暗室でフィルムを取り出すにあたり、黒いフィルムのケースが必要、とのこと。新しいフィルムの箱を開けてみたものの、それも半透明で「うーん」と考えていましたが、「仕方がない、半透明のケースに紙を入れて保護します。ちょっと待っててね」と、どこの馬の骨ともシャモの骨とも知れぬ私をひとり店に残して、奥の暗室に消えてしまいました。

5分後。

もとのフィルムのパトローネに、取りだしたフィルムをちゃんと戻して、ヴァンサンさんは暗室から戻ってきました。素晴らしいっ!! 拍手喝采です。

その後も、カメラをいろいろチェックしてくれて、とりあえず使えるように(次に入れるフィルムも巻き取れるように)してくれました。その間テストで、お店に置いている未使用のフィルムを入れてくださったり、またそれをムダにしてしまったりしたので、ぜひいくらかお支払いしたかったのですが、「お金は要らない」の一点張り。

なんとかヴァンサンさんのビジネスにもなるようにしたくて、「じゃあ、このいま救ってくださったフィルムの現像とスキャンをお願いします」とお願いしました。が、そこで急に「ケッ、こんなろくでもねえ写真のために、あんな大騒ぎしたのか、ちきしょうめっ」と現像液をひっくり返すヴァンサンさんの姿がフッと浮かんで、「あの、大した写真じゃないけど、1枚くらいいいのがあるかもしれないので。すみません」とあらかじめ謝ってしまいました。私の想像が本当にならないことを祈るのみです。

さて、こちらのお店、新品とセカンドハンドの各種カメラを置いていますが、特にライカの品揃えがよいようです。

ライカがいっぱい♡

フィルムの現像は、カラーだと2、3日、モノクロだと1週間とのこと。カメラ好きの方には、おすすめのショップです。

私のフィルムを救ってくださったヴァンサンさん。静かな物腰のジェントルマンです。

Photo Vincent
67 rue Sainte Anne 75002 Paris
www.photo-vincent.com

<営業時間>
月〜金 10:00〜19:00
土 10:00〜14:00














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