昨日今日と2日連続で、ちょっと興味深い映画を観てきましたので、そのお話など…。
今年2013年は、日英学術交流150周年にあたるのだそうです。
その「学術交流」の夜明け、つまり150年前になにがあったのか、というと、伊藤博文、井上馨、遠藤謹助、山尾庸三、井上勝の5人が、長州から「密航者として」ロンドンにやってきたのです。
西洋の文明を学ぼうと命をかけてやって来た、一般に長州五傑と呼ばれるこの5人組を受け入れたのは、ロンドンのUCL(University College London)でした。当時、ケンブリッジやオックスフォードは、海外からの肌の色の違う学生の受け入れはしておらず、UCLだけが外国の学生に門戸を開いていたのだそうです。
長州五傑、日本の初代総理大臣となった伊藤博文はよく知られていますが、ほかの4人も、井上馨は初代外務大臣を務め、遠藤謹助は造幣の父、山尾庸三は日本工業の父、井上勝は鉄道の父と呼ばれ、それぞれが英国で学んだ技術やノウハウを日本に持ち帰り、日本の近代化に尽力したと言われています。
さて、この5人の活躍を描いた映画「長州ファイブ」を、この5人が150年前に学んだUCLで上映するというので、観に行ってきました。
ちょうどこの日の朝、ふとネット上で見かけた方のプロフィール欄にあった「単身で渡米」という一行に、思わず目が止まってしまい、このご時世、「単身で」渡米ってあえて書くのもどうなんだろう……と思っていたところのこの映画。これを観てしまったら、現在の「単身で渡米」は、「地下鉄で大手町へ」というのとどれだけ違うのか、というくらい、簡単なことに思えて、やはりプロフィール欄に書くにはちょっと恥ずかしいかなぁと思ってしまいました。
この映画、ちょっと長めではありますが、英国に関心のある方にも興味深いお話なので、機会がありましたら、ぜひご覧になってみてください。
さて、続いて今日、会員になっている近所の映画館でムンク展に関する映画を観てきました。
Exhibition: Munch 150 cinema trailer from Seventh Art on Vimeo.
最近、英国では、「Exhibition on Screen」と題して、展覧会を映像で紹介する映画がいくつか上映されています。
今年はムンクの生誕150周年にあたる年とのことで、オスロの国立美術館とムンク美術館の2館共催で合計220点もの作品を展示する一大ムンク展が開催されています。
映画のなかでは、この作品群のなかから、特に重要な数点を取り上げると同時に、担当キュレーターの方のお話や、ムンクの生涯にも光を当て、「叫び」だけではないムンクの世界を紹介しています。
私のようなアートに詳しくない門外漢にもわかりやすく、また、当時のアート界がどのようにムンクの作品を受け入れたか(または受け入れなかったか)など、大変興味深い内容でした。
これを観たら、実際に展覧会にぜひ足を運んでみたくなる、そんな内容です。展覧会に行く前の予習として、この映画をご覧になると、おそらく展示を見て歩くのも2倍楽しくなるように思いました。
昨日から始まったナショナル・ギャラリーでの「フェルメールと音楽」をテーマにした展覧会に関する映画も、もうすぐ上映されるそうなので、これはぜひ映画で予習してから観に行きたいと思います。
たまたまではありますが、長州五傑が英国に来たのも、ノルウェーでムンクが産声を上げたのも、同じ150年前の1863年。150年という歳月が、長いのか短いのか、わかりませんが、長州五傑も、ムンクも、150年後の世界がこんなふうになっていることを想像したのか、しなかったのか。自分の目で見ることはないだろう150年後の世界が、どんなふうになっているのだろうと、私もふと考えてしまいました。
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