6.4.08

英国の有馬記念に敗者復活戦を思う。

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今日は春の風物詩「グランド・ナショナル」の日だった。
「グランド・ナショナル」は、英国最大の競馬のレースで、
「有馬記念」とか「天皇賞」といったところか。
私は、日本でも競馬が好きだったので、
かなりひんぱんに、府中に出かけたものなのだけれど、
イギリスに来て初めて「グランド・ナショナル」を
観たときの、あの、衝撃はなかなか忘れられない。

「なんて、野蛮な・・・」というのが、最初の感想。

まず、出頭馬の数が半端ではない。
40頭が一斉にスタートするなんて、
日本の競馬の常識では、危険すぎて考えられないし、
しかも、このレース、7キロ以上の長距離にわたり、
30のフェンスを飛び越える、あまりに非常識な
障害レースなものだから、危険度もさらにアップ!
完走できるのが、半数以下というのが、相場だ。
(落馬して亡くなった騎手が、過去にただひとり、
というのが驚きなくらいだ)
JRAだったら、絶対に認めないレースだろう。

さらに、日本の競馬を見慣れている者にとって、
イヤな気分にさせられるのが、鞭を使う回数の多いこと。
日本では、確か鞭を使っていい最大回数が、
レギュレーションで定められていたと思う。
おそらく海外の競馬では、このきまりがないのだろう。
日本のダービーに呼ばれてくる外国人ジョッキーの
鞭の使い方を見れば、その違いはわかる。

というイギリスの「グランド・ナショナル」、
なんのかんの言いながらも、大方のイギリス人と同様、
私も毎年、このレースだけは馬券を買うようにしている。
なんといっても、40頭も走るし、30のフェンスを越える
長距離障害レースとあって、これは完全なる「博打」だ。
予想なんて、そうそう簡単にできるものではない。
しかも、こちらの新聞というのは、馬のデータが圧倒的に少ない!
あるのは、馬体重、年齢、ジョッキーの名前、ハンディ、
勝負服とキャップの色柄くらいで、
過去のあがり、とか、毛の色、とか、血統とか
「差し」とか「先行」とかのレースのスタイルなんか、
まったくわからない。
これでは、予想のしようもないというものである。

今年私が買った馬は、一時は、1番手と2番手を走っていて、
ぽわーんと、はかない夢を見てしまったけれど、
半分ほどのところで、2番手がダイナミックに落馬、
さらに、3分2ほど走ったところで、1番手はずるずると
下がっていき、ついには、後方の馬ごみに消えた(涙)。

いやいや、実は、そんなことを書きたかったのではなく。

今年、グランド・ナショナルを勝った
「コンプライ・オア・ダイ」に騎乗していたのは、
アイルランド人ジョッキー、ティミー・マーフィーなる人物。
もちろん、英国一のレースなわけだから、
このレースに勝つということはジョッキーにとって、
大きな意味を持つことになる。

テレビの中継で簡単に彼の経歴に触れていたのだけど、
この人、ちょっと前には、刑務所暮らしをしていたとか。
情報が十分ではないので、詳細は不明なのだが、
アル中だった彼、日本から帰ってくる飛行機のなかで、
なんかやらかしたらしく、逮捕され、
求刑6カ月、48日間収監されていたのだそう。

つねづね、イギリスという国は、懐が深いというか、
なんでもあり、という部分がある、とは思っていたが、
一度落ちても、敗者復活戦のある国なんだよなぁ、
と、つくづく思った。

日本だったら、アル中で問題を起こして実刑を食らった
騎手が更生したからといって、もう一度騎乗することが
できるだろうか、と、考えると答えは「否」だと思う。
それだけに、日本に住んでいると、冒険することに対する、
リスクの大きさは違うように思う。

一度や二度の失敗よりも、その後をフェアにとらえてあげれば、
実は見逃していた逸材を発掘することにも、
つながるんじゃないだろうか。
この「一度落ちたらそれっきり」システムは、
社会的にも、潜在的な損失を含んでいるように思えてならない。



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