23.3.09

海外に住むということ

ロンドンで最初に通った英語学校で知り合った14年来の友人が
脳卒中で倒れ、今日は彼女のご両親を連れて病院に行きました。

たまたまウィーンにご旅行中だったご両親の日程を
別の友達が見つけ、連絡してくれて、日本に帰る前日に、
急きょ行き先を変えて、帰国せずにロンドンに来てくれたのです。

ご両親は英語があまり達者ではないので、
やはり誰か付き添いがいた方がいいということで、
駅で待ち合わせをして、病院まで一緒に行きました。

金曜日に二度目の手術をした彼女をお見舞いするのは、
実は、私にとって二度目でした。
金曜日の午後に別の友人がご両親を連れて見舞ったあとで、
連絡をくれて、会える状態にあることを教えてくれたので、
金曜日の夜、急いで病院に行ったのです。

ICUのベッドに横たわった彼女は、すやすやと眠っていたので、
その日は起こさずに、そのまま5分くらいベッドサイドにいて、
帰ってきてしまいました。

家族や親せきと離れ、海外に住むと、友人の大切さ、
共同体の大切さを、本当に思い知らされます。
「袖触合うも多生の縁」とはよく言ったもので、
今まで、ふとしたきっかけで知り合った人たちに、
どれだけ助けてもらったことか。

そして、私自身も微力ながらできることは惜しみなく、
人のために動いていきたいと心から思うのです。

これは、大切な友人だから、ということ以上に、
共同体意識のほうが強く働いていると思います。
これがたとえ、それほど親しい友人でなかったとしても、
同じように、ご両親を迎えにいくだろうし、
同じように付き添って通訳するだろうと思うのです。

逆に、それほど親しくない友人であっても、
自分が窮地に陥った時に手を差し伸べてくれたなら、
ありがたく、その手をお借りしてしまうだろうと思います。

そういえば、以前に旅行中に水ぼうそうになってしまった
日本人女性とたまたま知り合い、困っていらしたので、
あれこれお世話をしたり、ホテルにおにぎりを持って
お見舞いに行ったこともありました。
旅先で具合が悪くなって、気が弱くなっていたところに、
日本語で助けてくれる人がいて本当にありがたかった、
と言っていただき、微力ながら少しは役に立ったようです。

その方とも、それっきり連絡を取り合ってはいませんが、
それでいい、と私は思っています。
もしも、彼女がそれをほかの困っている人に返してくれたら、
これほどありがたいことはないです。

今日、帰り際、ベッドのなかから、
「世話かけちゃって悪いわね、ありがとう」
と弱々しい声で言う友人に、
「私の番がきたら、よろしくお願いします」
と返して、笑われました。

日本に住んでいたら、こんなふうには思わなかったかもしれません。
海外に住むって、共同体のなかにいる自分を強く意識することでもあるのです。

9 件のコメント:

  1. おひさしぶりです。KYOさん。
    外国に住むということ、本当に色々な事があり、ひとつひとつの事に対して手を差し伸べたり、手を差し伸べられたり、ですね。私も留学中、友人から沢山助けられました。
    私も夜遅くにイギリスでひったくりにあって、怪我をし日中でも道を歩く事がトラウマになったときに助けてくれたのはルームメイトの友人や当時の学校の友達でした。その時も今も、親切にしてくれた友は私の宝です。
    不思議と自分がとった行動は、きっとどこかで自分にも返ってくるような気がします。
    実は私もイギリスで仕事をしようかと思っています。学生時代に知り合った友人も、出来る限り、サポートするよといってくれる人もいて、こんな不景気にそんなリスクを背負わなくても…と日本では言われますが、それでも挑戦したいと思えるのはどこか周りの人達の応援だったりする気がします。
    私もKYOさんを見習わないと!と思わせられました。
    「情けは人のためならず」ですね。

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  2. Cookie'sさん、こんにちはーー。
    こちらこそ、お久しぶりです。コメントありがとうございました。

    やっぱり海外生活経験者は、多かれ少なかれそういう経験がありますよね!
    余談ですが、私自身もひったくりにあった後は、ちょっとトラウマになりました。やっぱり恐怖ってしばらくしみつくんですよね。

    Cookie'sさん、イギリスでお仕事される計画があるんですね! すばらしいじゃないですか。ぜひぜひこの体験はブログにしてくださいよ! 楽しみにしています。

    「情けは人のためならず」、ほんと、そのとおりですね・・・。

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  3. まうみさんのところから飛んできました。
    KYOさん、こんにちは~。

    深く共感するとても良い記事ですね。
    中国でも、ガイジンという心細い立場にいる似たもの同士で、助け合うことの有り難さ、大切さを感じます。
    とはいっても、ここ広州はインターナショナルな大都会(ロンドンの比ではないかもしれませんが。。。)ここよりも、もっともっとそのありがたみがしみいったのはアメリカのど田舎に住んでいた頃です。
    現地で夫が手術をしたとき、わたしが出産をしたとき、いつでも周りの人々がさりげなく手を差し伸べて下さったからこそ乗り超えることができました。

    母国を離れると、人と人とのつながりの密度が濃く体感されますよね。他人同士でも、家族同士でも。

    KYOさんのおともだちが、早く回復されますように!


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  4. ししははさん、こんにちはーー。
    私もししははさんのブログ、いつも楽しく拝見しています。
    リーダーにも登録して、更新チェックをしています(笑)。

    ししははさんも海外在住だけに、同じような経験をされてますよねー。
    田舎に行けばいくほど、この感覚が強まるのは理解できます。ロンドンは多民族の街ですが、こういう気持ちになるくらいなので、田舎だったらほんと、なおさらですよね。

    > 母国を離れると、人と人とのつながりの密度が濃く体感されますよね。他人同士でも、家族同士でも。

    これ、本当にそのとおりだと思います! 家族のありがたみがわかるのも、遠く離れてこそ、というのもありますしね。
    今回友人のお母さんが自分の薬を日本から取ってこなければいけないので、日本に一時帰国して1週間後にこちらに戻ってくることになったのですが、
    「1週間留守にしちゃうけど、ごめんね。戻ってきたらよくなるまで、ずっと一緒にいるからね」
    って話しかけていたのが、本当に心に残りました。

    幸いなことに友人は日に日に回復しています。今日はおにぎりを持って行こうなんて、考えています~。


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  5. 素敵なKYOさま

    とってもあったかい記事をありがとうございます。

    KYOさんの書かれている内容、とってもよく分かります。不思議と海外ってそういう共同体のようなものが自然とできているんですよね。英国に住みたい理由のひとつかもしれません。

    この共同体とは何なのか?と考えたことがあります。いい意味でも個人主義(歴史的背景がキリスト教にあるから?)だからこそ、人と人との距離感が自然に保たれているのかなぁって。残念ながら、実は日本においては、そういった類の人との繋がりが欠落している傾向にあるというか・・・きっとその距離感をどう保てばいいのか分からない状態なのかなぁって。さりげない、「give you my hand」は本当に当たり前のことなんですよね。

    大切なお友達もKYOさんの存在にどれだけ励まされていることでしょう。きっと沢山感謝されていると思います。

    見返りを求めないKYOさんのまっすぐでキレイな心がはいじは大好きです。

    お友達の回復を心よりお祈り申し上げます。

    そして、KYOさんに深謝!

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  6. > ししははさん~

    私の方こそ、お気に入りに入れさせてください~。
    って、しっかり、入れてしまいました。
    これからもよろしくお願いいたします!

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  7. > はいじさん~

    いえいえ~、なんだか照れてしまいます(笑)。

    イギリス人がこの共同体に属しているかどうか、ロンドンでは非常に微妙な気がして、よくわからないのですが、ひとまず私の知っている在ロンドンの日本人の人たちは、この意識がとても強いように思います。

    それだけに、海外に来てまで日本人とつき合いたくない! みたいなとんがった留学生の方々もたまにいますが、これはもったいないなーと思ってしまうんですよね。

    入院中の友人は、ネイティブと間違われるくらい英語が達者な人だったのですが、今回の脳の病気とその後の手術の影響で、やっぱり日本語能力のほうが先に回復してきています。日本語ではずいぶんコミュニケーションを取れるようになってきたのに、英語がなかなか出てこなくて苦労しているようです。

    やっぱり日本人同士のつながりって、とっても貴重です。これはほかの人には埋められない、大きな存在なんですよね。

    いずれにしても、日に日に回復していく彼女を見ているのは、本当にありがたいことです。今日は作っていたおにぎりも食べてくれたし、食欲も戻ってきているもよう。1週間後にお母さんが戻っていらしたら、この回復ぶり、きっと驚かれることだろうなあ、と今から楽しみです。

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  8. はいじ28/3/09 03:00

    ��YOさま

    夜な夜なはいじです。

    本当ですよね。海外では特に日本人の共同体の絆が強そうですよね。家族と離れている訳だし、それが自然だなぁ。お互いさまに助け合うものだから、わざわざ「日本人の友達は作らない」なんてもったいないですよね!日本人であろうが外国人であろうがその人自体が素敵ならば「その人」と繋がっていくことなんじゃないかと。

    とある実話があります。脳梗塞で倒れた人と末期の喉頭がんだった人が生還して、今は元気に生きています。

    後者の友達は、言っていました。「みんなにお願いして祈りを集めたんだ。そしたら、その祈りのおかげで生き延びることができたよ」って。

    だから、祈りを集めることもやってみる価値はあると思いました。

    お友達のために祈ります。

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  9. > はいじさん

    いよいよ週末ですねー。お仕事お疲れ様です。
    私が英語学校に通っていた時は、たまーにいましたよ。日本人とはつき合わないっていう人が。これって、逆差別ですね(笑)。

    > お友達のために祈ります。

    はいじさん、どうもありがとう。感謝感謝です。

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