20.3.11

メディアのあり方、受け手のあり方。

ここ数日間、地震とそれに伴う津波や原発問題に関するニュースや、諸々の報道を見ていて、ずっとメディアのあり方を考えていました。

私自身は、職業のくくりとしては英語で言うとどうしても「ジャーナリスト」となることが多いわけですが、報道の世界に身を置いているわけでもないし、新聞のお仕事をいただいているわけでもありません。でも、やはり、不特定多数のに人たちに公的になにがしかの情報を発信する、という職業に就いている人間のひとりとして、少しだけ思っていることをまとめてみようと思います。

まずは、こちらの動画をご覧いただきたいと思います。



東北地方に30年間お住まいのダニエル・カールさんが、日本にいる海外メディアにあてたメッセージです。海外メディアはヒステリックにあることないことを報道することを即刻やめてくれ、という内容です。

この件に関しては、ラモス瑠偉さんも同じようなコメントをブログで書いています。

ラモス瑠偉オフィシャル・ブログ
もう一度冷静になれよ

私自身がBBCとNHKを見比べている限り、BBCはまだマシなほうかと思いますが、フランス、イタリア、中国、アメリカなどでも憶測と誇張の混ざった報道がなされ、日本の外国人コミュニティは、パニック状態になっているそうです。これはおそらく、海外メディアに頼らざるをえない、海外在住の日本人コミュニティも同じではないかと思います。

そしてこれは、海外メディアにかかわらず、日本の民放や雑誌にも当てはまることだと思っています。煽動的な切り口で、聴視者をいたずらに不安に陥らせる報道は、本当にやめてもらいたい。正しいことを伝えることと、人々を煽ることは違う。報道の第一線に立っている方々には、その責任を真剣に考えていただきたいです。

SNSやブログ、2ちゃんねるなどの普及によって、いまは誰もがメディアとなれる時代です。その正当性や正確性に関係なく、Youtubeにアップされていれば、動画は引っ張ってこれるし、真偽のほどは別として「自称元関係者」の主張だって、いくらだって読むことができる。

でもだからこそ、誰もが、どの情報を信じるかの責任を負わなければいけないこともまた事実で、受け手の側も情報の出どころを見極める目を持つことが必要になります。

私自身に関して言うと、感情的に人々を煽動する報道は、その段階で見るに値しないものと判断します。百歩譲って言っている情報が正しかったとしても、それはすでに社会にパニックを引き起こすだけの「役に立たない情報」になってしまうからです。

バイアスのかかってない情報をどこから求めるか、また、怪しいと思う目をどうやって養うかは、受け手個々の裁量ですけれども、あくまでご参考までに挙げると、私が今回の震災にあたって、使わせてもらったのはNHKとTwitterがメインです。Twitterの情報は玉石混淆ではありますが、各新聞社、放送局がほとんどアカウントをもって情報を発信していますので、各社を見比べることもできますし、相対的な判断の基準にもなるのではないかと私は思っています。

また、原子力発電のエキスパート、各大学の研究室、政府の各省庁のアカウントもありますので、各所の意見や見解を収集して自分で判断することの助けになるかと思います。

メディアのあり方を書こうと思ったのですが、やはりこの時代、メディアのあり方だけじゃダメなんですね。受け手のあり方が、もっと問われる時代になってしまったというのが結論なのかもしれません。



8 件のコメント:

  1. 梅の母20/3/11 21:31

    カールさんが英語を話しているのを初めて聞きました。
    いつも冷静なKYOさん、煽られ易い私にはバケツの水をかけてくれる貴重な存在です。

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  2. 梅の母さん、いつも私の駄文を読んでくださってありがとうございます。日本のご家族は皆さん、大丈夫でしたでしょうか。

    ダニエルさん、英語しゃべれたんだーって感じですよね。私も初めて聞いたように思います。びしっとしてますよね~。たぶん、心底うんざりしていたんじゃないかと思うんですよ、彼は。

    今日、誰かもTwitterで発言していましたが、AとかアンチAとか、そういう踏み絵みたいなのは、違うんじゃないかと思うんですよ。宗教みたいにカリスマを一人を決めて、それについていくのは楽ちんかもしれない。でも、本当の正解は常に中間にあって、私たちは全員、学びの気持ちを失わずに、柔軟に冷静に客観的に中庸を探り出していかないといけないのだろうなぁと。

    なんかちょっとエラソーに聞こえちゃいますけど。でも、謙虚な気持ちで、そう思います。

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  3. ユケム21/3/11 16:21

    海外から日本を見ている日本人の方のお気持ち、想像するしかありません。
    日本に住んでいても実際に自分に出来る事というのは、義援金だけ。盛んに言われている節電も、結局は自分達の日常を守ることでしかありません。
    情報について言えば、静岡県にあるにも関わらず、放射能汚染を心配して会社からは強制退去&自宅待機指示が出たりという日がありました。
    正確な情報を冷静に選ぶことは、国内にいても必要です。

    昨日瓦礫の山だったところに今日は道が出来ています。
    今朝のラジオで、神奈川県での被災地の子供をホームステイさせるボランティアについて紹介していました。
    「自分に出来ることはないな」と甘ったれている私の前で、凄い人たちが着々と行動しています。


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  4. ユケムさん~、すてきなコメントをどうもありがとうございました。

    > 昨日瓦礫の山だったところに今日は道が出来ています。

    この一文に泣けました。時間はかかるかもしれないけれど、確実にがれきの山は減っていくのだと、信じることができそうです。

    ユケムさんのおっしゃるとおり、国内での情報の錯綜ぶりも、Twitterなどを通して、拝見しています。特に今回のAERAの件などを見ると、新聞社を親方に持つ出版社にしてこれか、と、心底失望してしまいますね。ジャーナリズムの意味はどこに行ってしまったのか、ほんとうに情けないですよ。これでは、2ちゃんねるよりもひどいですよね。

    いろんな情報が飛び交っているようですが、現実的な明るい未来のためにはAかアンチAかという二元主義ではダメなんじゃないかと思うんですよ。もっと柔軟に冷静に客観的に情報を判断して、自分のなかで集約していく力が必要なんだろうなーと思います。

    私も自分の立っている場所から始めます。

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  5. 激しく反省しているまうみです。
    自分自身がヒステリックになっているのを知りつつ、
    それを止めることができないままに、
    思うこと、見つけたことを勢いで載せて、
    多分それを読んで、イヤな思いになった方々がたくさんいらっしゃっただろうと思います。

    責任をもってやっている。
    ただの一市民でしかないわたしでも、そう思いながらやったことでも影響が出るのだから、
    大手のメディアが同じことをした場合の波紋は、ものすごいものがあるものね。

    昨日、日本に住む母とスカイプしたら、「あんたの国はなによ!80キロ圏やなんて大げさなデマ飛ばして!ええ迷惑やわ!」とカンカンでした。
    その時はまだ、しょうがないやん、自国で調べたデータがその数値を出したんやから、と思ったりしました。
    今も、いったいどうすることがいいのかわからないでいるけれど、
    KYOちゃんから伝わってくる「冷静なれ。賢くあれ」を心に、
    わたしにできることを考えようと思います。ありがとう。


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  6. まうみさん、こんにちはーー。
    レスが遅くなっちゃってすみません!! なんだかすごくバタバタしていました。

    うーん、ほんと、どの情報を信じるかが簡単ではない時代になってきてますよねー。メディアリテラシーっていうんですかね、こういうの。情報のよりわけが必要になってくるんでしょうね。ほんと、受け手の判断ですよね。

    たったひとつの放送局から流れてくる、玉音放送を全国民が聞いた時代と比べると、おそらくこの混乱は、情報を発信する自由と情報を受ける自由と同時に、私たちが手に入れた副産物として、引き受けていかざるをえないものなのでしょうね。

    まうみさん、この記事↓ご覧になりましたか。とってもよく要約されている良記事だと思いました。もしまだご覧になっていないようでしたら、ぜひ。


    日本の真の色が光るように 外国メディアも混乱しまくった大惨事のその先で
    http://ht.ly/4kefb


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  7. もう読みました、ありがとう

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  8. 読んでくださって、ありがとうございます。^^

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