19.11.12

日曜日のローカル散歩。

ここ2週間ほど、朝ランのあとに、近所のギリシャ人ファミリーの経営するグローサリーに寄って帰ってくる、というのが日課と化しています。

なぜ、毎日このグローサリーに寄ってしまうかというと、最近このお店、私の気に入っているお豆腐を売り始めたのですが、残念なことに入荷が不定期で、毎日入ったかどうかチェックするためにのぞいては、フルーツとか野菜とか豆類とか、なにかしか買ってしまう、というわけなのです。おそらく今ごろ、「トーフ・ランナー」とかなんとか、あだ名されていることと思います。

さて、そんな前置きはともかく。

先日、例によってこのグローサリーに寄ったら、レジのところで、「ローカル・イベントがあるから、よかったら」と、こんなチラシをもらいました。

一日持ち歩いていたので、ちょっと「くしゃくしゃ」ですが(ゲスト出演:先日のマグカップ)。

クラフト好きな私としては、心惹かれるイベントです。でも地元でありながら、「アベニュー・ハウス」なんて、聞いたこともありませんでした。地図で調べるとうちから歩いて20分ほどの距離。お散歩には最適の距離です。

そこで、寒いけれどぴりっと気持ちよく晴れた日曜日、カメラにフィルムを入れて、いそいそと出かけてきました(と言いつつ、フィルムはまだ現像してませんので、こちらの写真はiPhoneで撮影したもののみです、すみません)。

このアベニュー・ハウス、調べてみると、1874年にヘンリー・チャールズ・スティーブンスという人物に買い取られたそうなのですが、このヘンリーさんのお父さん、ドクター・ヘンリー・スティーブンスという人が、まずちょっとすごい人だったようなのです。

発明家でもあったドクター・スティーブンスは、英国が誇る詩人、ジョン・キーツと医大時代の同級生で、それまでなかった耐久性のあるインク「ブルー・ブラック・ライティング・フルイド」、つまりブルーブラックのインクを発明したその人なのです。

そのビジネスは、息子さんであるヘンリー・チャールズ・スティーブンスに引き継がれ、商業ベースにのせたことから、彼は地元では「ヘンリー・インキー・スティーブンス」と呼ばれていたようです。このインクは、政府の公式文書を書くためのインクにも指定されたとのこと。それまで事務仕事のときに行われていた、インクを混ぜ合わせたり、ペン先を掃除したり、という作業を一蹴する、革命的なインクだったらしいです。

インキー・スティーブンスは、フィンチリー地区出身の保守党の国会議員となり、地元のために尽力。さらには、ウィルトシャーに英国で唯一のプライベートの水道会社までつくってしまった、お父さんを上回る大物だったようです。

このアベニューハウスは、そんなインキー・スティーブンスが、地元住民のために遺したもので、彼が亡くなってから約10年後に一般に公開されるようになったとのこと。現在もこの家のなかに、スティーブンス・インクに関する資料室がありました。

こんなふうに古いインクが並んでいます。

展示品を見ているだけでも楽しくて、小さな一室なのに、かなり時間を費やしてしまいました。クラフトフェアそのものも楽しかったのですが、この資料室は、ちょっと宝物を探し当てたような気分にさせてくれる空間でした。

この日は、ウーマンズ・インスティテュートによるティールームも併設されていました。

アベニュー・ハウスには、すばらしいガーデンがあって、ここも一般に公開されています。これ以上平和な光景があるだろうか、というくらい、ほのぼのとした冬の日曜日の風景です。

ボランティアで落ち葉集めをする人々。

イーゼルを立てて、絵を描く人も。

ボールを蹴る子ども、フリスビーを投げる人もいました(実は「ボール遊びは、禁止」と書いてありましたが…汗)。

この広大な庭の向こう側に見えるのがアベニュー・ハウスです。

もう10年以上、この地域に住んでいるのに、やはり知らないことはいっぱいあるんだなぁと、新しい発見にわくわく。帰りは、以前にこのブログでもご紹介した、フィンチリー・セントラルの辰巳屋さんに寄って、内容たっぷりのお弁当を買って、ほくほくと家路につきました。

お天気もよくて、いつまででも歩いていられるような、なかなか楽しい冬の日曜日のお散歩でした。

一日の締めくくりに、見事な夕焼けのあとにあらわれた三日月。

Avenue House
17 East End Road,
London N3 3QE
http://www.stephenshouseandgardens.com/



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