電子書籍の便利さは捨てがたいのですが。 |
私のデスクの左端には、常時、読んでいる途中の本、次に読まなければと思っている本が、かなり高く積み上げられています。いま数えたら35冊。英国が地震のない国でよかった(いまのところは)。
とはいえ、最近は、私もKindleを愛用していて、以前よりも紙の本を読むことが少なくなりました。旅行のときなど、限られた荷物のなかで、Kindleをひとつもっていけばいいのは、代え難い便利さですし、また、海外在住者にとってはいちいち高い送料をかけて、日本から本を取り寄せるよりも、経済的に、そして瞬時に手元に読みたい本がやってくる電子書籍は、10年前から考えたら奇蹟のような存在です。
それでも、読みたい本に限って、電子書籍になっていないことがいまだ多く、なんだかんだで、この本の塔が低くなることはありません。今週末、英国は月曜日がバンクホリデーで3連休なので、これを読み出したら、絶対ほかのことができなくなるに違いない、ということで、がまんしてきた禁断の果実に、ついに手を出しました。
紙の本の読書は、電子書籍の読書よりも贅沢だなぁと感じます。それは、そこにかけられている物資や労力などコストの違いということもありますが、なによりも紙の手触りや、インクのにおいといった五感に訴えてくるものが大きいと思います。
また、電子書籍で本を読み始めたときに、軽い衝撃を覚えたのは、本が「突然終わる」ということでした。それは、コンテンツとしての内容が突然終わるわけではなく、なんというか、あとどのくらい残っている、という明確な感覚のないままに夢中に読み進めているうちに、突然「はい、おわりっ」と言われる感覚なのです。
もちろん、Kindleも下の方をちゃんと見れば、「残り何パーセント」とか、聞いてもいないのにご丁寧にも「読み終わるまであと何分」とか、出ているのですが、本を夢中になって読んでいるときというのは(私だけかも知れませんが)、そんなことは見ちゃいないのです。それで、最後のページで、突然にバサッと切られるような、「えっ、おわり??」という感覚があるのかな、と思いました。
この感覚を体験して初めて思ったのが、私たちが紙の本を読むとき、通常、ページをめくるたびに、左手から右手へと一枚一枚紙の重みが移行していく、これって、実は無意識のうちに、お話の終わりへと向かっていく心の準備を促しているのではないか、ということです。特に気に掛けていなくても、残り数ページになったら、ああ、もうすぐ終わりなんだなと、否応なしに意識する。なるほど、こんなふうに終わるんじゃないかな、という、考えをめぐらせる。それは、2時間ドラマを見ているときに、1時間半経過したら、そろそろ種明かしでしょう、と準備する感覚と似ているかもしれません。
そんなふうにして、読書は目を通じて、脳にいき、あとは脳の中で完結するもの、と思っていたら大きな間違いで、読み手がページをめくる指と、手首と腕にかかる重みとで、もっと物理的に本をとらえ、そしてこの物理的信号をもとに、思いのほか能動的に起承転結を受け入れる準備をしているんだなぁ、と。あまりに身近なアクティビティで、改めて考えることもしませんでしたが、読書って実は、目と頭だけでしてるんじゃないんだな、と思ったのです。
これからの時代、紙の読書は、ますますラグジャリーなものになっていくのでしょうか。一抹の寂しさを覚えます。
おひさです、と言いながら久しぶりな感覚ゼロですが(^^ゞ
返信削除うなずき頷きウナズキ・・・、と気が付いたら良い首筋の運動になっていました。そのうち紙の書籍にプレミアが付く時代になるのかな、とか思ったりもして。
ゆーさん! ほんとに! こちらではお久しぶりなんですよね♡
削除これ、私たちにとってはこの感覚ですけど、これからの子ども達にとっては、紙の本? 重いよね、みたいな反応になっていくんでしょうか。そうなったら、ほんと、紙の書籍にプレミアがつくのも、時間の問題かもしれないですよね…。やっぱり寂しいかも…。
初めまして。トルコの情報を探していて、このブログにたどり着きました。
返信削除ホリデー用に電子書籍を買おうかどうか、ちょっと迷っているところ。
読みかけの本に、摘んだ花をはさんでおいて、そのまま。
久しぶりに開いたら押し花になっていて、ホリデーの思い出がよみがえるというのも、紙ならではなんですよね。
こちらこそはじめまして。コメントを残してくださって、どうもありがとうございます。
削除読みかけの本から押し花が出てくるなんて、すてきですね♡ ほんと、これは電子書籍ではありえないですよね。
トルコにご旅行ですか。どうぞ楽しんでいらしてください〜。
mikiさんのブログも拝見しました。ブルーバッジガイドをされているなんて、すばらしい!
これからのシーズン、きっとお忙しいことと思いますが、お体にご自愛されて、お仕事がんばってください。