今日は、ちょっぴり毒を吐きます。
最近、Twitterで、まったく見ず知らずの方からの@ツイートでもって、「xxxx新聞が更新されました。本日トップニュースを提供してくれたみなさん」で、私のTwitterアカウント名が書かれていて、URLがついているツイートがたまに目に入ってきます。「なにかを提供した覚えは、これっぽちもないんだけど??」と思って、そのURLをクリックしてみると、なぜか自分の過去のツイートが、その新聞のなかに組み込まれている、という次第です。
まずは、倫理ではなくて、規約の話からいきます。
Twitterでのつぶやきに、コピーライトはあるのか。
Twitterのサービス利用規約のページを見ると、以下のようにあります。
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ユーザーは、ユーザーが本サービス上に又は本サービスを通じて提出し、送りあるいは表示する一切のコンテンツに対する権利を保有しています。ユーザーは、
本サービス上に又は本サービスを通じてコンテンツを提出し、送り、又は表示することにより、一切の媒体又は配付方法(現在知られているものであると今後開
発されるものであるとを問わず)においてかかるコンテンツを使用し、コピーし、複製し、加工し、改作し、変更し、発表し、送信し、表示し、配付するための
世界的な通常実施権を(再実施権を付けて)弊社に対して無償で許諾します。
(2012年 3月29日現在 Twitter利用規約より引用)
ーーーー
つまり基本的には、つぶやきの所有権はつぶやいた本人にある、ただし、それをいじくりまわす権利は与えたうえで、ということですね。
実際のところ、Twitterの特性を考えると、非公開にしていない限りは、誰もが自由に自分の発言をRT(リツイート)できることを前提として使わなければならない、とは思います。逆に、それを期待している部分すらあると思いますし。だから、おもしろいと思った情報や、ステキだなって思った写真は、どんどんRTして広めていい、私もそう思います。
ただ、それが誰の発言だったのか、誰の撮った写真だったのか、その権利の所有者だけは、最後の最後まで明らかにして、守られなければならないのではないかと思うのです。そして、これはもう、倫理の領域です。
今日、例によって目に触れた「本日トップニュースを提供してくれたみなさん」系のウェブサイトには、写真も並んでいたのですが、この写真には一切クレジットがないのです。それをツイートした人のIDはあるにはあるのですが、それがもともと撮った本人じゃなくて、RTしただけのIDだったり、めちゃくちゃなんですね。
これらの写真は、すでに本来なら所有者であるはずの、撮影者の手を離れて、糸の切れた凧のように、どこまでも自分の知らない場所にまで飛んでいってしまっているわけです。
こういうことに抵抗を覚えるのは、これまで曲がりなりにも20年以上、出版業界の端っこで編集者として働いてきて、 私自身が非常に古くさい倫理観を持っているせいなのかもしれません。
この古くさい倫理観ゆえに、私自身はこのブログですらも、制約を設けている部分があるんです。例えば、一般の方の顔が入ってしまった写真(それが判別できるくらいの大きさの場合)は無断で掲載しない、お店やレストランで勝手に撮った写真を掲載しない、 無断で(一般の方の場合)個人が特定できるような文章の書き方をしない、ネットから勝手にとってきた画像を使用しない(コピーライトフリーのものを除く)、展覧会などを紹介する場合は広報に連絡を取って画像を借りる、などなど、言ってしまえば当たり前のことばかりです。
誤解なきよう付け加えておきますが、私は、すべての人が、こういったメディア倫理からくる制約を守らなければいけない、と思っているわけではありません。ここからはみ出しているがゆえに、生き生きとしたものをつくっている人はいっぱいいるし、 それはそれで社会から必要とされているとも思うのです。
ただ、少なくとも同業者だったり、メディア関係者以外でも個人のブログの枠を超えて、前述の「xxxx新聞」だとか「デイリーxxxx」だとか、不特定多数の読者を対象とした自分のメディアを作っている人には、やっぱり乱用してほしくないのです。
そうじゃなくても、ネットでどんな情報でも手には入ってしまう時代です。それで便利になったことはいっぱいあるし、それ自体を否定しようとは思いません。 でも、社会が変わって、クリックひとつで地球の裏側の誰かが撮った写真をコピーできるようになったとしても、譲れない部分はあるのです。それはものをつくって発信する人間に対する尊重であり、ものをつくって発信する人間としての責任であり、主張すべき権利です。
自分が信じた倫理観を守れないくらいなら、私、編集者を辞めます。
なんて、ちょっとエラソーな決意表明を改めてしてみました……。
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