18.9.12

月を撃つ人、雲を捕まえる人。


今日、弊社KRess Europeの2011年度の会計にサインをして、今年も無事に法人税を納税しました。

一昨年に比べて、昨年度はお仕事の量がかなり少なかったので、収益はずいぶん落ち込みましたが、がくんと減ったとはいえ、今年も配当金をいただくことができて、黒字で終えられたのは、本当にありがたいことでした。

2006年に会社を興して、最初の2年は「あぁ、早く納税できる身分になりたい」と思っていたので、税金を納められることは、いまだ私にとっては喜びです。陰から日向から、会社を支えてくださっている多くの方に、感謝の気持ちをお伝えしたいです。

さて、KRess Europeの会計期は、年末で締めなので会計のとりまとめの締め切りは9月の末日です。毎年、税金の納め時が、夏のお日さまの見納め時、ということになります。

今年の夏は、ロンドンに住む多くの人たちと同様、私にとっても特別な夏だったと思います。女王の即位60周年があり、サッカーのユーロ杯があり、そしてなんといってもオリンピックとパラリンピックのあった夏。ボランティアをしたわけでも積極的に関わったわけでもありませんが、それでもオリンピックの開催地に住む、というのは、やはり特別な体験でした。

個人的な小さなこととしては、今年の夏の初めにミラーレスの一眼レフを入手したところから始まって、縁があって80年代のフィルムのカメラをいただいたり、写真好きのお友だちといろいろおしゃべりできたりと、かなりたくさんの写真を撮った夏でした。

自分のフォトライブラリーを眺めていると、やたらと多いのが空の写真です。

「空を見上げよ」という標識つきです。

これは同意してもらえることがあんまり多くないのですが、ロンドンの雲は、日本で見ていたそれに比べると、常に低い位置にあるような気が、私はするのです。

例えばこんなふうに。

屋根にのぼれば、つかめそうじゃないですか。

空を見上げていたのは、昼間ばかりではありません。古いフィルムのカメラをいただいたときに、かなり長い望遠のレンズも一緒にもらいうけたので、ぜひ月を撮りたいと思っていて、それで月の位置を意識するようになったのですが……。

いい年して、告白するのも恥ずかしいのですが、私、夜になったら月は空のどこかにあるものだ、と、「地球は丸い」というのと同じくらい当然に、そう思っていました。月にも太陽と同じように、月の出、月の入りがあって、午前中に月の出があって日が沈む前に月も沈んでしまうこともある、なんて、想像もしなかったのです。もちろん、昼間の空に白く浮かぶ月が見える日があることは知っていたのですが、それが「夜に月のない日もある」という発想にはまったく結びつきませんでした。

ロンドンでは、地上の灯りが多すぎて、星がはっきり見えない日が多いので、チャッツワースに行ったときは、きっと満天の星空が見えるに違いない、きっと月も美しいに違いない、と思って、喜び勇んで望遠レンズと三脚を持っていったのですが、まったく月が見えません。

宿泊先の1階のパブで、地元の人たちと話をしていたら、やはり夜空を見上げるのが好き、という英国人男性が何人かいて、空の星を同定するための、iPhoneアプリ情報交換会が始まりました。私はそのときまで、SKY ORBという無料のアプリを使っていたのですが、そこで、教えてもらって、Pocket Universeという有料アプリも入れました。これらふたつのアプリは、空にかざすと、見ている方向にどんな星があるのか、教えてくれる、というものです。さらに、毎日の月の出、月の入りの時間がわかるMoonriseという無料アプリも。こちらは、毎日の日の出と日の入りも合わせてわかるすぐれものです。

果たして。チャッツワース滞在中の月の出は、なんと深夜3時。目覚まし時計をセットして、ゾンビのように起きあがって空を見渡すも小雨交じりの真っ暗けでした。残念。

先日アイルランドに行ったときは、すべての荷物を背負ってのサイクリングだったので、三脚を持ってくることがかなわず、こんなときに限って、満点の星空。ポケット三脚をくっつけたデジカメを、むりやり家の門に載せて撮ったのがこれです(ほかと同様、画像をクリックしていただくと、ちょっと大きめの写真がご覧いただけます)。

夜空に輝く北斗七星がわかるでしょうか。

星雲(この写真には入っていませんが)までもがはっきりと見える、こんな星空を眺めたのは、私にとっては生まれて初めてのこと。あまりに星が多すぎて、デジカメで撮った写真をコンピュータで大きくして見たら、レンズがホコリだらけだったんじゃないか、と思うほど。「スターダスト」という言葉の意味を初めて実感した空でした。

この日の月の出は、夜の11時17分。11時を過ぎてぶるぶる震えながら、待つこと30分。iPhoneアプリの言うとおり、西のほうから月が上がってきました。デジカメの望遠はまったく足りないので、足の小指の爪よりも小さな光でしたが、拡大してトリミングしました。

この日は卵の黄身のようなオレンジ色の月でした。

いつの日か、りっぱなMoon Shooter(月を撃つ人)とCloud Catcher(雲をつかまえる人)になれる日を夢見て。またこまめに挑戦したいと思います。




2 件のコメント:

  1. 月、星を間近に感じられる生活には私も憧れます・・・。
    月光写真という、月の光で照らされた風景の写真があります。
    一度撮ってみたいなと思いますが、なかなか機会がありません。

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    1. aruさん、コメントを残してくださって、どうもありがとうございます! 月光写真ってすごく幻想的な響き…。やはり長時間露光するのですよね? 月が低い位置にいるときに、草原みたいなところで撮ったら綺麗でしょうねー。いつかぜひ〜。そして見せてください♡

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