24.3.20

最近の生活。

なんとも、まぁ、1年ぶりの更新です。

世間は、例の「C」の話題で持ちきりで「ロンドンもなにやら大変そうだ」ということで、ご心配の声をいただいたりするので、「元気にしてますよー」というアピールも兼ねて、最近の生活についてアップします。

1週間ほど前からロンドンも怒濤のような変化がありました。
まずは、テレワークが推奨され、ミュージアムや劇場など人が集まる場所がクローズ、不要不急の外出を控えるようにアドバイスされ、その後レストラン、ジム、デパートも扉を閉め、外に出ても他人との距離を2メートル保つように言われ、今現在は食料品の調達と医療、どうしてもの通勤、一日一度のエクササイズ以外の外出は禁止……となりました。

というわけで、私の一日一度のエクササイズは、畑をぐるりと走ること……。
歩いて3分の距離ですが、畑が広いのでぐるりと回って帰るだけで約2キロのランです。

「すわ、外出禁止になるのでは!?」と、みんなが焦ってトイレットペーパーなどの日常消耗品と、とりあえずの食料を買い漁ったのでしょうか。多くの方がSNSで写真をアップしているので、ご覧になった方も多いと思いますが、ロンドンのスーパーの棚が空っぽになるという、衝撃の絵柄を私も目の当たりにしました。

先週のことですが、昨年収穫したカボチャのなかで、とうとう傷みだしたものがあって(でもまだまだ甘くて美味しいのですが)、パンプキン・ケーキを作るために、呑気にも卵を3個も使ってしまったので、卵を買い足そうと近所のスーパーに行くと、いつもある場所にない。そこらへんにいたスタッフの方に聞いたら、いつもある場所にないどころか「どこにもないのよ」とのことでビックリ。その後、近所の小さな商店も含め5軒ほどまわりましたが、本当にどこにもなし、で、己の呑気さを呪いながら、パンプキンケーキを食べました(笑)。

その後2〜3日のうちに、卵は棚に戻ってきて、ほっ。いま品薄なのは、小麦粉です。近所の天然酵母のパンが美味しいベーカリーも、とうとう3日前に予約した人のみ、ひとり1ローフ限定で購入可能、となってしまったので、自分でもパンを焼きたいのですが、みんな同じことを考えているのでしょうね。

ありがたいことに今朝のニュースによると、公共交通機関を使わない限り、畑に行くのは問題ないとのことで、まぁ、食料の調達でもありますし、いつもよりがんばって畑仕事をしています。

この季節のスターは、紫のブロッコリー。ほぼ毎日食卓に上がります。

畑に行くと、人間の世界でのドタバタをよそに、自然の世界はちゃんと春に向かって姿を変えようとしていて、ほっこりします。

ブロンズ色のフェネルも古い茎の足下に芽吹いていました。

ラズベリーも元気に顔を出してきたので、馬糞をどっさりと。

週末は、顔なじみの畑のご近所さんも何人か出てきて、畑仕事をしていたので、収穫物を交換したり。でも、昨夜の政府からの勧告を受けて、畑の管理人グループから連絡があり、畑のなかでも2メートルの距離を保ち、ほかの人の畑に遊びに行ったり、招き入れたりするのはNGとのこと。ひとりもくもくと畑仕事にいそしむしかなさそうです。まったくもって「C」ときたら、人と人との距離を離そうとするイヤなやつです。

食糧難(笑)につき、一旦コンポストにしようと捨てた野菜を拾い戻しました。
まんなかの小さい野菜はキプロス島の葉野菜だそうで、
ギリシャ人のご近所さんにいただいたもの。オムレツに入れると美味♡

この季節、うちの窓際も小さな苗でいっぱいになります。ここを卒業すると畑の温室に行き、畑の温室を卒業すると、外の棚に移され、最終的に土に入るのは、まだまだ1か月以上先なのです。

窓際のシシトウとトマトの小さな芽。

と、「C」がどんだけお騒がせでも、春の畑仕事には終わりがありません。

戦争中のプロパガンダ・ポスターですが……いまも通じるメッセージ。

お仕事もこのご時世につき延期が決まったものもあり、空いた時間を利用して勉強しています。ちょうど、昨年の秋から、日本の通信制の大学に編入したので……周期表ってこんなにおもしろかったっけ?と、「水兵リーベ、僕の船……」と、ただ意味も理解せず、うわごとのように記憶していた高校時代の自分のバカさ加減を恥じながら(笑)。

毎日、朝いちばんの1時間を勉強時間にあてていましたが、
もう少し時間を費やせるのはありがたいこと、でもあります。

……と、こんな感じで、私は元気に生活しております。
こうしている間にも、「C」のせいで苦しんでいる方や、その治療に従事している医療関係の方々がたくさんいることも忘れずに……。自分が元気でいることが、この国の保険システムを助けるに違いない、と体力と知力が衰えないよう、努力したいと思います。

21.3.19

お花見さんぽ

東京もいよいよ開花宣言、のニュース。

ロンドンは毎年、日本よりもひと足お先に
桜の季節が来るので、
品種によっては、そろそろ散り始めています。

ちょっと調子の悪いカメラのテストを兼ねて、
お花見さんぽに出かけました。












よく見ると、一見「サクラ」の木にも、
いろいろな種類があるようです。

25.12.18

ご無沙汰しております

今年もあっという間に年の瀬です。
気づけば、1年以上ブログをアップしていませんでした。
今年が終わってしまう前に、ちょっとだけこれまでのことを……。

お仕事のことだけ振り返ると、今年は日本の出版物のお仕事がいつもよりも多かったように思います。
年の前半は、とにかく「まっぷる ロンドン・イギリス」の改訂版と「ことりっぷ ロンドン」の再版版の現地ディレクションをがんばりました。
ご協力いただいたライターさん、カメラマンさん、コーディネーターさん、そして各取材先のPR担当の方々には、心から感謝です。

英国旅行のおともにぜひ、ご利用ください♪

今年も、昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑仕事をする生活でした。

今年の英国の夏は、熱波のおかげで、いつも以上に大収穫だったのです。

例年だと、トマトは赤くなる前に疫病にかかってしまうのですが、
今年は完熟で20〜30キロの収穫がありました。

大収穫のおかげで、保存食づくりにも精を出しました。

私の趣味が丸出しの連載エッセイを書かせていただいている「ハンドメイド日和」は、
大好きなお仕事のひとつ。サンカの手袋を編むきっかけにもなりました。

今年は、公私にわたって、国内外をちょこちょこ旅する年でもありました。
現在発売中の「CREA Traveller」の取材でも、チャッツワース・ハウスまで遠出の取材をさせていただきました。
とっても美しいページに仕上がっているので、よろしかったらぜひご覧ください。

英国の邸宅美術館とロンドンの最新スポットについて書いています。

取材先のひとつ、デニス・シヴァース・ハウスは、
どこを切り取っても静物画のようにストーリーを語りかけてきます。

オマケで、いくつか今年の旅行の写真をば。

ハリー王子のご成婚直前のウィンザー城。
「まっぷる」の取材で訪れました。

こちらも「まっぷる」の取材で訪れたストラットフォード・アポン・エイボン。

夏休みのアイルランドのボート旅行中に見つけた風景。

今年は、イタリア、ヴェローナも2度訪問しました。

今年もあと数日。今日はクリスマスですね。
Peace on Earth.
あなたのもとにも、すてきなクリスマスと新年が訪れますように。

13.9.17

新刊のご報告

CREA Travellerの最新号と、最近発売になったeat TOKYOのレシピブックです。

ここ2週間ほどの間に、2冊、お仕事をした新刊が届いたので、ちょっとご報告です。

英国好きの方なら、もうチェックされているかも、ですが、CREA Travellerの最新号は、英国特集号です。カンタベリーやウィンチェスター、デヴォンなど、内容盛りだくさん。私の大好きなルイスもフィーチャーされています。

CREA Traveller最新号では、ロンドンのクラフトについて書かせていただきました。

私も、ロンドンのクラフトについて20ページ、クラフト感溢れるホテルについて4ページ、取材と執筆を担当しました。上の写真のなかの、カップとグラスも今回取材させていただいた作家さんの作品です。

現在、陶芸が大ブームの英国。いままでになく、つくる側も使う側も「手仕事でていねいにつくられたもの」に対するポジティブな意識が高まっているように思います。私も今回インタビューさせていただいた作家さんたちから、インスピレーションをたっぷりいただいたので、自分のささやかな趣味へと活かしたいなーと思っています。

さて、もうひとつは、写真と編集を担当した英語の和食レシピ本です。

はじめて和食に挑戦する非日本人の方には、おすすめです。

こちらは、ロンドンとデュッセルドルフに店舗展開している和食レストラン・チェーン、eat TOKYOさんのレシピ本で、はじめて和食に取り組む非日本人の方に、簡単においしくつくっていただけるように、eat TOKYOさんのシェフの方とご相談しながら制作しました。レシピだけではなく、和食材に関する解説もなるべく幅広く網羅したつもりです。

はじめて、おこがましくも1冊丸ごと写真も担当させていただき、昨年秋は毎週eat TOKYOさんにお邪魔して、お料理を撮影しました。私の未熟な写真技術をデザイナーさんに補っていただき、とてもすてきな仕上がりになったと思います。

いずれも、どこかで見かけたら、ぜひぜひお手にとっていただけると嬉しいです。

20.7.17

足し算、引き算。

年の初めには、今年こそもっと頻繁にブログを更新しよう、と決意するのに、そんな決意は豆腐よりも脆いものです(フー。ため息)。

ずいぶんご無沙汰しているうちに、畑からはズッキーニ、キュウリ、ズッキーニ、ししとう、ズッキーニ、トマト、ズッキーニ、赤タマネギ、ズッキーニ、ビーツ、ズッキーニ、なす、ズッキーニとものすごい量の収穫物が。

とにかくズッキーニの量が半端なく……。


それは菜園中、いずこもおなじ風が吹いているようで、みんなズッキーニの消費量と収穫量のバランスに格闘している、みたいです。

私たちの菜園には、とれすぎた収穫物や園芸用の不要品を交換するためのスワップテーブルがあります。
ある日のスワップテーブルには、巨大なズッキーニが3つ……ここに私もさらにひとつ足しました。
なぜかCDとか、パスタとかアイロン(!)を置いていく人もいます……。

そんなわけで、最近は日が長いのをいいことに、夕方の6時半頃に仕事を(むりやり)終えて、畑に出勤して、収穫したり草むしりしたりしています。

さて、ここからはちょっと算数の問題のようなのですが、今日の出来事を書きます。

いつものように、夕方の6時過ぎに家を出て、近所のトルコ系のパン屋さんに行き、畑で食べようと思って、パセリとチーズの入ったいわゆる総菜パンとパンオショコラを買いました。そうしたらお店のおばさんが、それぞれのパンを白い紙袋にひとつずつ入れながら、「ほかにもパンあげるからもっていきなさいよ」と、買ったパンとあわせて、バゲットを2本(大&小)を白いレジ袋に、中東のゴマペースト、タヒーニが練り込んである甘いパンを白い紙袋に入れてくれました(ふたつ買って、3つもらったわけです)。

畑に着いて、とりあえず腹ごしらえをと思って、買った総菜パンをひとつ食べました(ひとつ消費)。

収穫したり草むしりしたり、忙しく作業をして、一休みするか、と荷物を置いておいた椅子のところに戻ると、白いレジ袋がひとつ地面に落ちていて、その先に空っぽの破れた白い紙袋と、タヒーニ・パンの入った白い紙袋が落ちていました。むむ、カラスの仕業か、と思いつつも、タヒーニ・パンが無事だったので、そのままレジ袋に戻しかばんのなかへ。

ん? むむむ? パンオショコラがない!!!

畑仕事をしている間に、カラスにお弁当を盗まれるなんて、「まんが日本昔話」のなかだけの話かと思っていたら、この大都会ロンドンでもこんなことが起こるとは。頭の上で「カアカア」と鳴いているカラスに、「おまえか、おまえなのか??」と心のなかで問い詰めましたが、もちろん答えは得られず。

バゲットはさすがにでかすぎるのか、手つかずのまま。
かごのなかのレジ袋が破れているのは、奴の仕業です。

ふたつ買って、3つもらって、ひとつ消費して、ひとつ盗まれた。
これは算数的にはプラスと考えてよいでしょうか。

そんなまさに「鳶に油揚げをさらわれた」日ではありましたが、今日もまた収穫物はずっしり。
先日アンティークショップで買ったばかりのこのバスケット、壊れる日も近いような気がします。



24.5.17

土さえあれば。

ここ1週間ほど、ロンドンも最高気温が20℃なかばという、気持ちのいい日が続いています。
すっかり日が長くなって、夜9時過ぎまで明るいので、6時くらいまでに仕事を終えて、水筒にお茶を入れていそいそと畑に向かいます。

ようやくほとんどのスペースに、ほぼ仕込みが終了しました。

畑もようやく緑色に変わりつつあり(雑草も含め、ですが)、いよいよ畑から食卓へ、少しだけですが持ち帰れるようになってきました。

畑が近くなったこともあって、晩ご飯で使う材料をひょいと取りに行けるようになったのが嬉しいです。
この日は、鮭と合わせるためのスイスチャードとカボロネロ(イタリアのケール)、ディルを収穫。

英国では、春先の収穫物があまりない時期を「ハングリー・ギャップ(おなかぺこぺこの隙間期間、という感じでしょうか)」と言いますが、ようやくハングリー・ギャップも終わりかなーというところです。

ということで、ちょっと絵日記風に現在の畑の様子を。

温室用トマトは、大きな鉢に移して2日後にさっそく一番花が。
植え替えを待っていたのかもしれません。

露地植えのトマトも定植2日後に開花!

そら豆は、赤い花をつけるユニークな品種だったので、隣近所の注目の的。
ミツバチも大好きのようで、まわりをぶんぶんしています。

今年の春に根っこを植えた1年目のアスパラガスは、1本も収穫せずに、翌年以降のためにエネルギーを根にためるべし、とのこと。そのままにしていたらアスパラの先っぽが枝分かれして、小さな花が咲きました。

盛り上がったところから箒のように生えているのがアスパラガス。
1年目は1本も取ってはいけないとのことで放置。小さな黄色い花が咲いています。

ハーブをたくさん植えたいなーと思い、種から育てたラベンダーやタイムも
小さいながらも元気に育っています。

もう少ししたら定植できるかな、という感じです。
小さいけれど一丁前にラベンダーの香りを振りまいています。

こぼれ種から大きくなったマリーゴールドも、畑のいたるところで花を咲かせています。

今年の春は、山椒の木(雄と雌の2本)も仲間入り。昨年は1つしか花が咲かなかった柚子の木にもたくさんの花がついたので、ひとつくらいは実になってくれるといいなーと思っているのですが……どうなることやら、です。

ジャスミンのような香りがする柚子の花。こちらもミツバチの好物のようです。

自然は、人間の世界の物騒なニュースもどこ吹く風で、とどまることなく決まった方向へと変化していきます。そこにはとてもシンプルなルールがあり、学ぶところの大きい今日この頃です。

4.4.17

発芽率におののく。

温室のなかである程度大きくしてから、外に出します。

ロンドンはずーっと寒い日が続いていたのですが、3月中旬、唐突にそして気まぐれに春がやってきて、一気にあたたかくなりました(今日はまたちょっと寒いですけど)。

3月の頭くらいから、少しずつ野菜の種を苗床に仕込み始めたのですが、まったくもってどうしたことでしょう! ぼかすか芽が出てきて、まさに嬉しい悲鳴を通り越して絶叫状態です。

柚子の木にも小さなつぼみがたくさんつき始めました。今年はひとつくらい果実がとれるでしょうか。

温室に置いているブルーベリーも花が咲きました。実になるのが楽しみです。

前回のポストで書いたとおり、今年は6メートル × 25メートルの畑をひとりで使えるので、いままでのようにケチケチせず、そら豆も袋に入っていた種をひとつ残らずまいてしまうなど、かなりの大盤振る舞い。

去年は寒かったせいか、どの野菜もこの季節の発芽率がとても低かったので、いっぱいまいたって、みんな芽が出るとは限らないし、と、トマトもししとうもトウモロコシも紫のブロッコリーも、セイジやタイムなどのハーブ類も、がんがん種を仕込んでいたら、ほぼすべて90%以上の発芽率。ブロッコリーに至っては、80発80中という恐ろしい結果に。

クラリセージも20個の種がほぼすべて発芽……。

ブロッコリーは、6株あれば4人家族で食べるのに十分、とのことなので、半分に間引きをしても40株で26人家族分……ということになります(我が家はふたり家族……)。

去年は5月になっても発芽率が半分以下だったトウモロコシも、90%以上の発芽率です。

私たちの菜園には、門のすぐそばに「Swap Table」(交換台)と書かれたテーブルがあって、そこにいらなくなったガーデニングの道具とか、余った種とか、とれすぎて食べきれない野菜とかを置いておくと欲しい人がもっていく、というシステムがあります。

先日は、パースニップ(白くてでかいニンジンのような見かけの根菜)とリーク(太い長ネギのような野菜)がどっさり置かれていたので、大きなパースニップ2本とリークを5本ほどいただいて、スープにしました。

うちの紫ブロッコリーの苗も、もう少し育てて強くしてから、どっかとそのテーブルに出そうと野望を燃やしています。

さて、他人様が使っていた畑を引き継ぐと、なにかと「むむむ、これはなんだろう??」と思うものがたくさんあります。特に3月の休眠中の木にいたっては、なんの木だかさっぱりわからないので、剪定していいのかどうかもわからず。

そこで、私がものすごくお世話になったのが、「SmartPlant」というiPhoneのアプリです。このアプリ、謎の植物の写真を撮ってアップロードすると、ガーデニングの専門家が見てくれて、それがなにか、またどういった世話をしなければいけないかを教えてくれます。こちらからの質問にも答えてくれるので、私のような初心者には本当に心強い存在なのです。

このアプリのおかげで、りんごの木やライラックの木があることもわかり、ますます春から夏、そして秋になるのが、待ち遠しい今日この頃です。

りんごのつぼみもふくらんできました。