23.2.12

面接すること、されること。



大学時代、就職活動をしていたときこそ、いくつか面接を受けたものですが(実際には書類とテストで落とされることのほうが多かったので、面接の数自体は思いのほか少なかったのですが。トホホ)、社会人になって以来、すっかり面接をする側になって、いままでずいぶんたくさんの方と面接を通してお会いしてきました。

自分自身と一緒にお仕事をしてくださる方を探すケースも、クライアントさんのために面接をすることもありますが、ほとんどが編集、ライター、デザイナー、カメラマン、コーディネーター探しにあたっての募集です。自分が深く関わっている職種ということもあり、たいていは作品と履歴書を拝見すれば、面接前にだいたいのことはわかります。

世の中には、面接の受け方とか、好感を与える受け答えの仕方とか、いろんなマニュアルがあるようですが、そんなことよりもなによりも、これからお仕事の面接を受ける方に、ぜひ、知っておいていただけるといいな、と思うことがひとつあって、それについて書こうと思いたちました。それは、自分が若かった頃に、誰かがこれを教えてくれたらよかったのに、と思うことでもあるからです。

面接というのは、面接官に自分を評価してもらって、採用か不採用かを決めてもらう場、と理解している方が多いと思いますが、実はそれだけではないと私は思うのです。

面接官があなたを評価している時間、それはあなたが面接官を評価する時間でもあります。企業の顔として、応募者と直接顔を合わせる重要なポジションに、その面接官を置く企業は、果たしてあなたが入りたいと思う会社でしょうか。その面接官は、面接を受けに来たあなたに対して、きちんと人として尊重した態度を取っていますか。

あなたが見られている時間、実はあなたも見ているのだ、ということを忘れないで欲しいのです。そしてあなたがいつか、面接をする側になったとき、自分が見ているのと同じくして、デスクの向こう側に座って小さくなっている人は、実はあなたを見て評価している、ということも思い出してもらえるといいな、と。

そういった難しい空間にあっても、卑屈になることもなく、尊大になることもなく、相手に敬意を払いながらちゃんとコミュニケーションを取れる人間でいたいものです。自戒の意味もこめて、そう思います。




21.2.12

デイビッド・ホックニー展

The Arrival of Spring in Woldgate, East Yorkshire in 2011 (twenty eleven)
Oil on 32 canvases (each 91.4 x 121.9 cm), 365.8 x 975.4 cm;
one of a 52-part work. Courtesy of the artist ©David Hockney
Photo: Jonathan Wilkinson

ロイヤル・アカデミーで現在開催中の「David Hockney RA: A Bigger Picture」に行ってきました。これは、デイビッド・ホックニーによって、過去8年間に描かれたランドスケープ画を中心に、1956年に制作されたものにまでさかのぼり、その世界を幅広く網羅した展示会です。

会場は13のセクションにわかれていて、展示数も非常に多く見応えたっぷり。特に2004年から2011年の間にヨークシャー・ウォルドで描かれたものが圧巻です。

私のお気に入りは「Woldgate Woods」という名前のシリーズです。

Woldgate Woods, 21, 23 & 29 November 2006, 2006
Oil on 6 canvases, 182 x 366 cm
Courtesy of the Artist, ©David Hockney
Photo: Richard Schmidt
この部屋には、Woldgate Woodsを描いた大きな絵が7点、展示されています。どの絵も同じ視点から同じアングルで描かれていて、その季節の移り変わりを感じられる作品です。ホックニーはイーゼルを同じ位置に構え、2006年の一年間、何度も何度もこの同じ場所に足を運んでこれらの作品を描いたのだそうです。

この部屋にいるだけで森林浴をしている気分になり、部屋のまんなかに横になって、森の風を感じたい衝動にかられます……が、もちろんかなり混んでますし、私もいい年をした大人なので、それはがまんしました。

ここ最近のホックニーは、スケッチにはiPadを使っているそうで、iPadで描かれた作品もかなりの数が展示されていました。

The Arrival of Spring in Woldgate, East Yorkshire in 2011 (twenty eleven)- 2 January
iPad drawing printed on paper,144.1 x 108 cm; one of a 52-part work
Courtesy of the artist, ©David Hockney
こちらの作品もiPadで描かれた作品。新聞で読んだところによると、ホックニーが愛用しているのは、「Brushes」(www.brushesapp.com)というペインティング・アプリだそうです。私も思わず購入してしまいました。

現在のところ、オンラインでの前売りチケットはほとんど完売状態ですが、当日の朝並ぶことでチケットを購入することができるようです。かなり見応えのあるエキシビションですので、時間をたっぷりとって、じっくり見学されることをおすすめします。

個人的にはとても幸せな気持ちになれるエキシビションだと思いました。

「David Hockney RA: A Bigger Picture」(2012年4月9日まで)
入場料:大人14ポンド
Royal Academy of Arts
Burlington House, Piccadilly, London W1J 0BD
www.royalacademy.org.uk



さて、実はひとつ追記があります。このエキシビションに行ったあとで、このホックニーが通った「Woldgate Woods」にぜひ行ってみたい! と思った私。ネット上で検索しているうちにショックな新聞記事を見つけました(ご興味のある方は「mail online david hockney woldgate woods」というキーワードで検索してみてください)。

なんとこの森に、粗大ゴミを投げ捨てる人が多く、景観が損なわれているというのです。ゴミといっても、大型テレビとか、冷蔵庫などの家電、古タイヤ、ガスボンベなど、ほんとうにひどいものです。

とても悲しくなってしまいました。美しい風景が絵のなかのキレイ事だけになってしまうのは、あまりに切なく、そして腹ただしいことです。身勝手なポイ捨てを防止する方法を私たちひとりひとりが探っていかなければいけないな、と心から思いました。



20.2.12

International Fashion Showcase 2012

日頃はまったくもってファッションとは無縁の私ですが、珍しくファッション絡みのプライベート・ビュー・レセプションに行ってきました。


ブリティッシュ・カウンシルとブリティッシュ・ファッション・カウンシルの主催で、19カ国の大使館がそれぞれの国の若手デザイナーの作品を紹介する「International Fashion Showcase 2012」。ロンドン・ファッション・ウィークの一環として今年初めて開催されるイベントです。こちらに、日本大使館も参加しているということで、お邪魔してきました。

今回のイベントに参加されている日本人デザイナーはおふたりいらして、まず日本を拠点として活躍されている梶雅人(Kaji Masahito)さん。「Kabuto」と銘打った帽子のシリーズを展示されています。

ほんとうに兜っぽい作品がずらり。


ご本人もすらりと長身。雰囲気のある方でした。

もうおひと方は、昨年、セイント・マーチンズを卒業されてロンドンを拠点に活躍されている川西遼平(Kawanishi Ryohei)さんです。 今回発表されている「Entropy」というプロジェクトの根底には、昨年の東北大震災で感じたさまざまな思いがあるとか。

作品を身にまとったモデルさんたち。

川西さん(右)とレセプション・ドリンクのスポンサー、iSakeの太田久美子さん。
ファッションは完全に門外漢なので、多くは語れませんが、おふたりとも世界でご活躍されていく、これからのデザイナーさん。影ながら応援したいと思います。

こちらのおふたりのショーケースは、2月22日まで、サマセット・ハウス(Somerset House, Strand, WC2R 1LA)にて開催されています。ぜひお立ち寄りください。



<ブリティッシュ・カウンシルによる関連サイト>
http://backoftheenvelope.britishcouncil.org

<梶雅人さんの「Kabuto」サイト>
http://kabutobymasahitokaji.jp

<川西遼平さんのサイト>
 http://ryoheikawanishi.com


雪のない日曜日

あの雪の日曜日からたったの2週間。まったく同じルートを歩いてみました。



寒さがだけがびりびり伝わってくるような、そんな日です。


森を抜けると鮮やかな青空。


雪だるまのかわりに、こんな遊びも。

そして、公園を出たところで、スノードロップを見つけました。


英国では、スノードロップは春の訪れを告げる花。このまま暖かくなってくれるのでしょうか。

雪が消えてしまったのはちょっとさびしいけれど、これはこれで、気持ちのよい冬の日でした。

16.2.12

バレンタインでしたね。

皆さま、ステキなバレンタインをお過ごしになりましたか?

日本のバレンタインというと、チョコレート。職場の男性にも挨拶代わりの「なんとかチョコ」(私はこれを「Courtesy Chocolate」と命名したいところです)を用意したり、と女性はなにかと大変ですよね。

英国では、夫婦や恋人同士でカードをプレゼントし合うことが多いようで、また、カードには名前を書かないのが通常です。「密かな思い人」みたいな感じでです。とはいえ、「ハイ」と奥さんやダンナさんから渡されたら、ま、もちろん誰からなのかは火を見るよりも明らかなわけですけど。

我が家は、相方が体調を崩してしまい寝込んでいたために、結婚15年にして初めて、プレゼントをもらえないバレンタインでした(涙)。

ということで、ささやかながら、自分から自分へダフォデルを。奮発して2束も買っちゃいました(合計2ポンド…汗)。


口が狭いのに、挿しすぎの感もありますが…ご愛敬ということで(しかも写真、暗いし…)。

振り返ってみたら、実は去年の花も、自分で買ってました(爆)。

まぁ、いいんです。また今年もふたりでこの日を迎えることができたことに、感謝です。

5.2.12

雪の日曜日




ロンドンは、この冬初めての「ちゃんとした」雪の日で、昨日の夜から降り始めた雪が、北ロンドンの家のまわりでは、朝には10〜15センチも積もっていました。

これは散歩に行かなくちゃ、と、一昨年の冬に軽井沢に住む友人のお父さんからいただいたスノーブーツを出してきて、水筒にあつあつの紅茶とコーヒーをいれて、いざ出陣。


以下、またまた、散歩中に撮った写真で、ロンドンの雪の日曜日をお届けします。ご興味があったら、どうぞ。