16.3.14

とらまい展(3月19日まで)

ロンドンを拠点に活躍するフォトグラファー、平田真弓さんと、彫師(タトゥー・アーティスト)初代彫蓮さんによるエキシビション「とらまい展」に行ってきました。

©Mayumi Hirata
虎舞で使用される虎の顔は、地域ごとに、それぞれ微妙に異なるのだそうです。

ご存知の方も多いとは思いますが、虎舞とは、東北の三陸沿岸地方の伝統芸能で、張り子の頭と布の身体でつくられた虎のなかに人が入って舞う、というものです。

©Mayumi Hirata
真弓さんが現地で密着して撮った愛ある写真の数々。
東北大震災で壊滅的な被害を負った地域の「虎舞の再生」に魅せられて、それぞれのかたちでサポートしてきたおふたりの写真と掛け軸アート、さらにビデオや実際の虎のインスタレーションなど、すみずみまで楽しめるすてきなエキシビションでした。

©Mayumi Hirata
部屋の片隅にちりばめられた小さな写真作品もひとつひとつがすてきでした。
すみからすみまで、ひとつひとつ見るのがおすすめです。

彫蓮さんは、オーストラリアでタトゥーの魅力にとりつかれ、30歳にして独学で彫師になり、現在では彫師本来のお仕事のほかに、世界のタトゥーコンベンションでトークやデモンストレーションを行うほか、大漁旗の制作まで幅広く手がける異色のアーティスト。今回、このエキシビションのために日本から駆けつけられたのだそうです。

©Mayumi Hirata
壁にずらりと並んだ掛け軸アート。虎舞の虎も間近で見ることができます。

この掛け軸アートは、真弓さんの写真作品とのコラボで、彫蓮さんが2枚の写真からインスピレーションを得て作成されたものなのです。

例えば。

真弓さんのこの2枚の写真をもとに……

この掛け軸ができあがりました。

一点一点が「なるほどぉ」と思うものばかりで、楽しいのです。

おふたりの虎舞への愛がたっぷり感じられる、そして岩手の伝統芸能とそれを支える人々が近くに感じられるみどころたくさんの展示会でした。

3月16日(今日です!)には、バイオリンとクラリネット演奏、アーティスト・トークなどを含むお茶会が開催されるそうです。ご興味のある方は、ぜひお運びください。

©Dirk Lindner
平田真弓さん(左)と彫蓮さん(右)。
被災地を自分たちの目で見てきたおふたりならでは、の
興味深いお話が聞けるチャンスでもあります。

とらまい展(3月19日まで)
5th Base Gallery
23 Heneage Street, London E1 5LJ(ブリック・レーンからひとつ曲がった通りです)
http://www.5thbase.co.uk/

平田真弓さんのウェブサイト
http://mayumihirata.com/

彫蓮さんのウェブサイト
http://www.horiren.com
(彫蓮さんの入れ墨に対する哲学が感じられるProfileのページは必見です)

※平田真弓さんの虎舞の写真集も発売中です。
収益は被災地に寄付されるとのこと。
http://www.blurb.co.uk/b/4194589-dance-tiger-dance

14.3.14

The Knitting & Stitching Show


控え目な看板が出ている以外、なかに入ってエレベータを降りるまでは、
クラフトらしい風景もないので、お見逃しなく。

3月13日から開催中の「The Knitting & Stitching Show」に行ってきました。

これは、名前の通り、編みものと縫いものを中心としたクラフト業界の見本市です。材料を製造、販売している業者さんやショップ、デザイナーなど200以上が出店しています。

なかに入ってエレベータをファーストフロアで下りると、クラフト好きの方なら一気に気持ちの上がる、こまごましたものがたくさん展示されているのです。

布やキット、お裁縫の道具、布にプリントするための
ウッドブロックなどなど、ありとあらゆるものがあります。

各ストールで実演販売が行われているほか、さまざまなワークショップも開催されていて、ついつい時を忘れてしまいます。

「International Felt Makers Association」のストールでは、フェルティングを実演中。
柔らかなウールを紙のようにうすーくのばしていくのですが、
使っているのはプチプチと石けん水です。

これ以上、余計な趣味を増やしてはだめっ、と自分を厳しく律していないと、あれもこれもと、ついついいろいろやってみたくなってしまうのが厄介です。

ショッピング以外にも、デザインコンペがあったり、
自由に編みものやミシンがけができるコーナーが設置されていたり、
クラフト好きにとっては遊園地のような空間なのです。

「わっ、安い!」と思うものや、「えっ、こんな道具があるの?」といった驚きを伴うアイテムにも出合える一方で、よく見てみたら普通にショップで売っているのとまったく同じ価格で売られているものもあり、ついつい盛り上がって買いすぎてしまうと、実はamazonで買う方が安かった、といったケースもあるので、こういう場所で勢いで買い物をするのはタブーです。

と、わかってはいるのに。

こちら、この日の戦利品。

なんだって、こんなにボタンばかり買ってしまったのか……。
でもこのセーター型のボタンには一目惚れでした。

普段、ボタンホールをつくるのが面倒だから、というズボラこの上ない理由だけで、ボタンのいらない洋服しか作らないくせに、なぜか調子づいて、ボタンばかりこんなに買ってしまいました。勢いって怖いです。

写真の布も「バイオリン柄のファブリック、かわいーっ♡」と、これまた勢いで買って、「ふふふ、これ買っちゃった」と夜、夫に見せたら「へー、ギター柄なんだね」とバッサリ斬られ、ガーン。確かによく見たらこれ、ギターですよね。なんでバイオリンって思ってしまったのでしょうか。急に自分のなかで、がくーんと価値が急落したような気がしました。布に罪はないのですが、まったく。

イベント会場でつい興奮してしまって、あばたもえくぼ、ギターもバイオリンに見えてしまったのでしょうか。いや、いいんですけど、ギターでも。ぶつぶつ。

こちらのイベントは、16日まで開催中です。ご興味のある方は、ぜひ。
http://www.theknittingandstitchingshow.com




9.3.14

畑の春準備。

冬の間はちょっと休眠状態だった畑の作業もいよいよ再開です。

数ヵ月前から、畑の大家さんが連絡を取ろうとやっきになっていたのが、とある乗馬クラブの関係者。畑の肥やしとなる、馬糞を譲ってもらうためです。

先月ようやく連絡を取りつけて、いよいよ今日、馬糞1トンが畑にやってくる馬糞記念日でした。

朝からゲートの前にビニールシートを敷いて準備。
馬糞を載せたトラクターは、こんなに狭いところでも華麗なるターンを決めました。


私にとっては、初めての馬糞体験。1トンといっても、いったいどのくらいの量なのか、想像もつかなかったのですが、このトラクターが引っ張っている小さめの荷台にいっぱいくらいの量。

うしろの板をはずして、荷台をぐぐぐぐっと上げると、
どさどさどさーっと、シートの上に馬糞の山が。

馬糞は、古ければ古いほど発酵が進んで、肥やしとして最適なものになっていくのだそうです。今回もってきていただいたのは、1年もので、まったく臭くないのにもびっくりしました。

この山を手押し車に載せて、次々エッサホイサと畑に運んでいきます。

手押し車2台を使って、3人で、かわるがわる馬糞を載せて運ぶことを繰り返し、3時間で、畑にすべて移動完了しました。

とりあえず、畑の端っこに山にしておいて、順次必要な部分にならしていきます。

作業が終了する頃には、すでに全身筋肉痛。

でも、ワンズワースの詩にあるように「Learn to Labour and Wait」、畑仕事に関しては、やることだけやって、あとは結果を待つ、という姿勢が重要なんだろうなぁと、これまた改めて思った日でした。

全身馬糞まみれになったし、身体は疲れたけれど、しっかり身体を使った仕事をして、ぐっすり眠る生活というのは、実はとても健全なのでしょうね。

春はもうすぐ。また今年も畑の一年が始まります。






3.3.14

水兵リーベ僕の船、Yes, I have a number

数字も元素記号も年号も、覚えるのは一苦労。
記憶が穴ぼこだらけなのは、いまに始まったことではないのです、私の場合。


先日、夫とご飯を食べながら、最近塩分を控えている彼に「塩分を控えるのも大切だけど、塩分を身体の外に出す働きをする『カリウム』を摂取することも大切なんだって」とにわか知識をひけらかしたら、「へっ? 『カリウム』ってなに?」とすっとぼけた返事。

「えっ、『Kalium』知らないの? 元素記号の『K』だよ。『水兵リーベ僕の船』って知らんのか、君はァー?」と問うと、「んんん? (iphoneで急いで調べる)あ、あぁ、なーんだ、『ポタシウム』のことかぁ」ときたもんです。

「ポタシウム」と呼びながら、元素記号は「K」。ほかにもこういうのはたまにあって、「ナトリウム」も英語では「ソディウム」。なんでも「ソーダ」からきた言葉なのだそうです。「ソディウム」と言いながら元素記号は「Na」。ややこしいったらないです。

ほかにも「マーキュリー」が水銀。水星=マーキュリーでわからなくはないですが、元素記号「Hg」にしてマーキュリー。「日本語ではマーキュリーってなんなの?」と聞かれ、「そのまんまよ、『Hg』そのまんま。『ハイドロ(H)』で『銀(g)』だから水銀」(銀は嘘です、念のため)などと。

「水兵リーベ僕の船」は、同年代の方ならきっと似たような覚え方をされたと思いますが、元素記号表を丸暗記するための語呂合わせです。いま思えば「シップスクラークか」ってなんだよっ、という感じの、まったくもってひどい終わり方のこの語呂合わせ、覚え方の文言を覚えていても、実際紙に正しく書くことができません。

同様に、つづいて円周率の話になり、「いやー、円周率っていったら、3で小数点以下は、『一夜一夜にひとみごろ』だわよ」と自信満々に言い放ったら、夫から、「それは違う」ときっぱりと否定され、ショックを受けながら調べたら、「一夜一夜にひとみごろ」は、「√2」でした。同じく「富士山麓にオウム鳴く」がなんだったのか、忘れてましたが、これは「√5」。

覚え方を覚えていても、それがなにするのかをすっかり忘れてしまっては、意味がないですよね。

英語にはそういう語呂合わせがないのか、と思ってネットで調べてみたら、円周率は「Yes, I have a number」なのだそうです。なんじゃそりゃ、と読み進めると、キーとなるのはそれぞれの単語の文字数。「Yes(3), I(1) have(4) a(1) number(6)」で、3.1416となるらしいです。

といっても、夫(現在50歳)の年代では、そういう覚え方はなかったとのこと。最近はそういうふうに教えるのでしょうか。

それにしても「りかちゃんはさみしいの」って、なんだったかなぁ……。