30.6.13

こけとけ。

朝、窓際に置いている苗やハーブ類に水をやっていたら、「苔って、美しいなぁ…」と急に思ったので、日曜の朝っぱらから三脚を出してきて、苔の写真を撮ってみました。

ふわふわキラキラという感じ。

ついでなので、手前のほうに写っているラベンダーの芽も、とりあえず撮っておこうかと、ピントを合わせて撮ってみると……。

もわっと。

よく見ると葉に毛が生えてるんです。ほわほわと。

今日、発芽したっぽいキュウリの芽も…。

ピンクの部分は種の殻です。

茎のあたりにうっすらと毛が生えています。キュウリはたぶん、これからピンクの種の殻のほうが持ち上がって、双葉が開くのだと思います。葉っぱっぽいものが、ピンクの殻に頭を突っ込む感じでちょっと割れているのがわかるでしょうか。

カボチャの葉っぱも、シソの葉も、注意して見てみると、実に毛の生えている植物って多いんですよね。生き物って不思議です。

以前にもラズベリーの毛について書いていましたが、私、毛に対して強迫観念でもあるのでしょうか。なんか毛が好きみたいです。人ごとのようですが。

27.6.13

長州五傑とムンクの150年。

昨日今日と2日連続で、ちょっと興味深い映画を観てきましたので、そのお話など…。

今年2013年は、日英学術交流150周年にあたるのだそうです。

その「学術交流」の夜明け、つまり150年前になにがあったのか、というと、伊藤博文、井上馨、遠藤謹助山尾庸三井上勝の5人が、長州から「密航者として」ロンドンにやってきたのです。

西洋の文明を学ぼうと命をかけてやって来た、一般に長州五傑と呼ばれるこの5人組を受け入れたのは、ロンドンのUCL(University College London)でした。当時、ケンブリッジやオックスフォードは、海外からの肌の色の違う学生の受け入れはしておらず、UCLだけが外国の学生に門戸を開いていたのだそうです。

長州五傑、日本の初代総理大臣となった伊藤博文はよく知られていますが、ほかの4人も、井上馨は初代外務大臣を務め、遠藤謹助は造幣の父、山尾庸三は日本工業の父井上勝は鉄道の父と呼ばれ、それぞれが英国で学んだ技術やノウハウを日本に持ち帰り、日本の近代化に尽力したと言われています。

さて、この5人の活躍を描いた映画「長州ファイブ」を、この5人が150年前に学んだUCLで上映するというので、観に行ってきました。






ちょうどこの日の朝、ふとネット上で見かけた方のプロフィール欄にあった「単身で渡米」という一行に、思わず目が止まってしまい、このご時世、「単身で」渡米ってあえて書くのもどうなんだろう……と思っていたところのこの映画。これを観てしまったら、現在の「単身で渡米」は、「地下鉄で大手町へ」というのとどれだけ違うのか、というくらい、簡単なことに思えて、やはりプロフィール欄に書くにはちょっと恥ずかしいかなぁと思ってしまいました。

この映画、ちょっと長めではありますが、英国に関心のある方にも興味深いお話なので、機会がありましたら、ぜひご覧になってみてください。

さて、続いて今日、会員になっている近所の映画館でムンク展に関する映画を観てきました。


Exhibition: Munch 150 cinema trailer from Seventh Art on Vimeo.

最近、英国では、「Exhibition on Screen」と題して、展覧会を映像で紹介する映画がいくつか上映されています。

今年はムンクの生誕150周年にあたる年とのことで、オスロの国立美術館とムンク美術館の2館共催で合計220点もの作品を展示する一大ムンク展が開催されています。

映画のなかでは、この作品群のなかから、特に重要な数点を取り上げると同時に、担当キュレーターの方のお話や、ムンクの生涯にも光を当て、「叫び」だけではないムンクの世界を紹介しています。

私のようなアートに詳しくない門外漢にもわかりやすく、また、当時のアート界がどのようにムンクの作品を受け入れたか(または受け入れなかったか)など、大変興味深い内容でした。

これを観たら、実際に展覧会にぜひ足を運んでみたくなる、そんな内容です。展覧会に行く前の予習として、この映画をご覧になると、おそらく展示を見て歩くのも2倍楽しくなるように思いました。

昨日から始まったナショナル・ギャラリーでの「フェルメールと音楽」をテーマにした展覧会に関する映画も、もうすぐ上映されるそうなので、これはぜひ映画で予習してから観に行きたいと思います。

たまたまではありますが、長州五傑が英国に来たのも、ノルウェーでムンクが産声を上げたのも、同じ150年前の1863年。150年という歳月が、長いのか短いのか、わかりませんが、長州五傑も、ムンクも、150年後の世界がこんなふうになっていることを想像したのか、しなかったのか。自分の目で見ることはないだろう150年後の世界が、どんなふうになっているのだろうと、私もふと考えてしまいました。

18.6.13

VisitBritainのトラベルセミナーとRoadMovie


先週の木曜日、VisitBritain(英国政府観光庁)の「2013年英国冬の旅」のセミナーに行ってきました。

これは、VisitBritainの日本代表のアシュリー・ハーヴィーさんが来英されて、日系旅行代理店とメディア向けに、冬の英国の楽しみ方アイデアをプレゼンテーションする、というもの。アシュリーさんのほかにも、マンダリン・オリエンタルや、グッドウッド、また会場となった、デザイナーブランド、Maria Grachvogelのデザイナーご本人、マリアさんのプレゼンもあって、とても興味深かったので、ご紹介します。

日本代表のアシュリーさんは、日本語が堪能! 日本では、日本語でセミナーをされているそうです。

アシュリーさんのお話によると、ロンドン・オリンピックのあった昨年、2012年に英国を訪れた日本人の渡航者は、24万人。VisitBritainでは、これをキープするだけでなく、2020年までに30万人にすることを目標に、プロモーション努力をされているそうです。

そこで、ロンドンの冬の楽しみ方として、こちらのブログでもご紹介した西ヨーロッパ一高いビル「シャード」や、ショッピング、クリスマスマーケットや冬の風物詩アイススケート・リンククリスマスイルミネーションなどの紹介がありました。

なかでも耳より情報だったのが、カーナビー・ストリートではクリスマス前の一日、事前オンライン登録をした人に限り、参加店舗やレストランで20%割引になる「ショッピング・ナイト」が開催されるとのこと。詳細が分かり次第、このブログでもぜひご紹介したいと思います。

ほかに、ブライトン、セブンシスターズなど英国の南東部、クリスマスマーケットが賑やかな(そしてサッカーでは香川選手が活躍中の)マンチェスター、ビートルズでお馴染みのリバプール、ニューイヤーのお祭りが楽しいスコットランドなど、ロンドン以外の見どころのご紹介も。

そして、ナイツブリッジのホテル、マンダリン・オリエンタルの方もプレゼンされました。

マンダリン・オリエンタルのカースティンさん。

同じくマンダリン・オリエンタルのレベッカさん。

マンダリン・オリエンタルには、英国を代表するシェフ、ヘストン・ブレメンタールのレストランが入っていたり、また7月にはスパにスイミングプールがオープンするなど、話題がいっぱい。ロイヤルウェディングの前日には、エリザベス女王を含むロイヤル・ファミリーがマンダリン・オリエンタルのレストランで食事をされた、などの裏話も興味深かったです。

続いて、壇上に立ったのがチチェスター郊外にあるグッドウッドのインターナショナル・イベント・ジェネラル・マネージャーのポールさん。

グッドウッドの歴史についても説明がありました。

グッドウッドといえば、すぐに思い浮かべるのはクラシックカーですが、セスナ機での飛行が楽しめたり、競馬、ゴルフ、モータースポーツと、アクティブに楽しめることが盛りだくさんなのだそうです。ブライトンからも日帰り圏なので、ブライトンに滞在して、グッドウッドに足を伸ばすのもよさそうです。

最後に、会場となったMaria Grachvogelのマリアさんから、自身のブランドについての説明が。

とってもカッコイイ女性です。

服をデザインするにあたって、人形のボディではなく、生きた人間のボディを何人も使って、着心地のよさを追求していく、というだけに、快適でなおかつ身体が美しく見えるマリアさんの「マジックパンツ」は、顧客の間でも大人気なのだそうです。

このマリアさんのお店、インテリアもステキでした。







ご興味のある方は、ぜひ以下の各ウェブサイトにアクセスしてみてください。

英国政府観光庁
http://www.visitbritain.com/ja/JP/
Mandarin Oriental
http://www.mandarinoriental.com/london/
Goodwood
http://www.goodwood.co.uk/
Maria Grachvogel
http://www.mariagrachvogel.com/


ところで、冒頭でご紹介した映像は、iPhoneアプリ「RoadMovie」で撮影したものです。友人に教えてもらってから、このアプリにいまちょっと夢中になっています。

もうお使いになっている方も多いかもしれませんが、次々に映像を撮っていくと、アプリが24秒のムービーにしてくれるのです。映像は3秒×8シーン、2秒×12シーン、1秒×24シーンのいずれかをあらかじめ選び、あとはただ、次々撮っていくだけです。

こちらは、週末のサウスバンクです。


ぜひ皆さまもいろいろ撮ってみてください。楽しいです。

RoadMovie
https://itunes.apple.com/us/app/roadmovies/id575022047?mt=8

3.6.13

まぁ、それも悪くないのかもしれない、と、頼まれてもいないのに悶々と考えて みる。

日本で走る少年の姿を見ると、なぜか無条件で感動してしまう私。

2ヵ月ぶりくらいに、また東京に帰ってきた。

日本に帰ってくると、とにかくなにを食べてもおいしくて、滞在一週間目にして、ただでさえドッシリしている下半身がさらに一回り大きくなって、ほっそりした人の多い日本で、余計に際立つおのれのデカさにショックを受ける、という……嬉しくもあり、悲しくもあり……。

電車がビシッと時間通りに来るので、あらゆることの時間が読める、がゆえに、ちょっと待ち時間があったら、これやって、あそこに寄って、という感じになり、なんだかやたらとバタバタ忙しく慌ただしくなってしまい、常に時間に追われているような気分に……嬉しくもあり、悲しくもあり……。

といった具合に、「自己管理能力」という耳の痛い一言をたかーーい棚に「ヨイショ」っと載っけたうえで言えば、すべての物事にはよい面と、悪い面がある。すべての人間に、長所と短所があるように。

それを一番強く感じてしまうのが、日本でのコミュニケーションで、「阿吽の呼吸」というか、自己完結的「予定調和」というか、日本には独特の会話のお作法がある。それは形式美ともいえるし、だからそこにはある種の「美しさ」はあるのかもしれない。

だけど、海外生活が長くなってしまったせいか、私の場合、たまに帰ってきても、それにうまく反応できず、相手を戸惑わせてしまったり、もっと悪いときには機嫌を損ねてしまい……もっと正確に言うなら、本当に不機嫌になっているわけではなく、不機嫌な態度をとることで「私がお作法から外れている」ことを知らしめようとしているのだと思うけど……こちらも不快な気分を味わうことも、まぁ、たまにある。私からしてみたら、そういう物言わぬ意思表示というのは、コミュニケーションとしては未熟なような気もしてしまうのだけれど……。

先日も、テレビを見ていたら、私も名前を知っているくらい有名な教育学者の先生が、「日本では、話の内容そのものよりも、話し方のほうが重要です」と相手に不快感を与えない話し方について指南していた。話の内容よりも話し方? これって「プレゼントの品物よりもラッピングのほうが重要です」って言い切っているも同然のような……ほんとにそれでいいんだろうか。

今日、丸ノ内線に乗っていたら、ドアの上のモニターに東京メトロのCMが流れていた。

OL風の堀北真希ちゃんの「ミスをした」というモノローグから始まるこのCM、次のシーンでは、彼女よりも少し年上のスーツ姿の男性と一緒に、「申し訳ありませんでした」と、取引先の応接室っぽいところで並んで深々と頭を下げている(1)。そして「上司まで巻き込んでしまった」というモノローグ。ふたりは地下鉄に並んで座り、彼女は頭をうなだれている。彼女のほうから思い切ったように上司に「すみま……」と言いかけると、彼は急に立ち上がって電車を降りてしまう(2)。黙ってついていくと、そこは築地駅。上司はずんずんと魚市場のなかを歩いていく(3)。両脇に並ぶ新鮮な魚と活気ある魚屋さんたちを見ながら歩いているうちに、ちょっと表情が明るくなっていく彼女に、「ついてこいよー」と声をかける上司。「こんにちはー」と言いながら彼が入っていったのは、お寿司屋さんっぽいカウンターのお店(4)。「海鮮丼ふたつ」(5)と注文した上司と彼女の前に、「はい、お待ち」と海鮮丼が供される。上司はもりもり食べ始め、戸惑う彼女のほうを向いて、笑顔で「食えよ」と言う(6)。上司のやさしさに笑顔になる彼女のモノローグ。「東京には力をくれる場所がある」。再び地下鉄駅。「すみませんでした」と頭を下げる彼女に、上司の一言「うまかっただろ」(7)。と、こんな60秒のCMだった。

ふつうにいい話、なのだろう、とは思う。このもの言わぬ上司の、不器用なやさしさに感動するべきなんだろう、とも、思う。

だけどこれ、うちの夫をはじめとする、英国人にわかるかなぁとふと考えてしまった。

ロンドンで自分の身の回りにいる英国人たちを勝手に思い浮かべて、堀北真希ちゃん演じるOL役と彼女の上司役を勝手にあれこれキャスティングして、考えてみた。エリンをOL役にウィルを上司役に、いやいや、ロレンをOL役にジョンを上司役に、などなど。丸ノ内線を降りて、中央線に乗り換えて、四谷駅から立川駅までえんえん考えてみたけど、誰もピンとくるキャスティングが思い浮かばない。

というより、むしろ、これはキャスティングの問題じゃなく、やはり脚本の問題だろうなぁと、一応検証してみたものの、実は最初からわかっていた問題点を(誰にも頼まれてないけど)具体的に考えてみた。

まず、ただ謝ってすむ問題なら、あえてふたりで謝りに行く理由がわからないし(1)、相手が誠意をもって謝罪の言葉を述べようとしているのを無視して、勝手に地下鉄を降りる(2)っていうのは、実にマナーを欠いた行為だし、昼間っからビリングゲート(ロンドンの魚市場)にいきなり行くのも意味がわからないし、っていうか、黙ってそんなところについていかないし(3)、相手がお腹すいているかどうかもわからないのに勝手に食べ物屋に入るのもどうかと思うし(4)、しかも勝手に相手のものも注文し(5)、ベジタリアンかもしれないのに、食えよと強制する(6)パワハラぶりで、しまいにゃ、謝っているのに「うまかっただろ」ってこの人ボケるにもほどがある(7)……ということに、まぁ、なりかねないかも……と。

なんて考えつつも、「ああ、いい上司なんだなぁ」って、このメッセージがちゃんとわかるのって、日本人だけかもしれないって思うと、それはそれで、そういう独自のコミュニケーション文化があっても、まぁ、悪くはないのかもしれない、とも思う。それでしみじみできるなら、おそらく、それでしみじみできないよりかは、きっといいんだろう、たぶん。

この感覚は、なんというかこう、学校の勉強はすごくできるけど、友だちづきあいがありえないくらい下手くそな、オタクな三男坊を擁護する気分にたぶん似てる。本当は心のやさしい子なのよ、って。あの子のよさをわかってくれるやさしい女の子がひとりいてくれれば、ほかの人にわかってもらえなくても、まぁ、仕方がないか、っていう。

うーむ……。

と、日本に帰ってくると、そういう、ふだんはあんまり考えないどうでもよいことを、あれこれ悶々と考える機会を得られるのも、これまた、嬉しくもあり、悲しくもあり。そしてなにより、ウザくもあり(私が)。

東京メトロのCMにご興味のある方はこちらからどうぞ(↓)
東京メトロCM「力をくれる篇(60秒)」