25.9.13

保存食づくり。

いま、いそいそと保存食づくりにいそしんでいることは、前回のポストで書いたとおりです。

昨日今日も家中に酸っぱいにおい(この場合、匂いと書くべきか臭いと書くべきか悩む……ゆえにひらがな)を充満させながら、リンゴのチャツネとキュウリのピクルスを作りました。

いただきもののリンゴ。量ってみたら3キロありました。

 インターネットが普及して、レシピサイトの充実ぶりがめざましい昨今、多くの方がネットで検索したレシピを利用しいてると思うのですが、私もそんなひとり。これって、便利なのですが、ちゃんとブックマークしておかないと、去年つくって「おいしいっ♡」と感激したレシピも、いったいどこのどれだったか、再度検索してもわからず、ということはありませんか。私の場合は、これが「大アリ」。最近は、レシピ集めにiphoneで、Evernoteと連動させるFoodというアプリを使い始めたので、今後はそういうことも減っていくだろうと期待しているのですが……。チャツネ・レシピに関しては、やはり前回のものは見当たらなかったので、今年はジェイミー・オリバー氏のこちらのレシピを見て作ってみました。

前回のポストでも書きましたが、これもご多聞に漏れず、「恐怖のポンド・オンス表記」なので、一応材料の分量だけ、私がキロ&グラム換算したものを以下に書いておきます。よろしかったらご参考になさってください。

リンゴ(1.36キロ)、タマネギ(680グラム)、ブラウンシュガー(680グラム)、サルタナ&レーズン(各230グラム)、ビネガー(570cc 私はモルトビネガーを使用)、塩(28グラム だいたい小さじ4.5くらい)、つぶした生姜&乾燥チリ(各7グラム)、カイエンペッパー(小さじ半分)、以上です。

まぁ、レシピもなにも、これをいっしょくたに鍋に入れて、ただただ柔らかくなるまで、ぐつぐつ煮る、というだけの簡単なものです。材料を量ってみるとおわかりかと思いますが、乾燥チリ7グラムって、実はすごい量です。こんなに入れて大丈夫かしら、と思いつつ、日本で買ってきた出汁用のパックのなかに生姜と一緒に入れて、投入しました。かなりスパイシーですが、なかなか好みのチャツネができあがって、満足です。

もうひとつ、ついでに、前回のポストで私を狂わせそうになった、新たな単位「クオーツ」が出てくるキュウリのピクルスの作り方も、数字の換算では悩まされましたが、本当においしくて、リピートしてしまったくらいなので、私の作りやすい分量に置き換えたうえで「キロ&グラム換算」したものをご紹介します。こちらは、お友だちのご主人から教えていただいたアメリカの古いレシピをもとにしています。

ちょっと甘めでしゃりしゃりしていて、「保存」食のはずがもりもり食べてしまいます。

キュウリのピクルス

<材料>
キュウリ(1.35キロ)
タマネギのスライス(こぶりのタマネギ半個分)
ニンニクのスライス(ひとかけ分)
塩(大さじ3)
氷(1リットル分)
はちみつ(350グラム)
ターメリック(小さじ3/4)
セロリシード(小さじ3/4、これがなかなか入手が難しく、私は最終的にamazonで購入しました)
マスタードシード(大さじ1)
サイダービネガー(375cc)

<作り方>
1. きれいに洗ったキュウリを1センチくらいの輪切りにし、タマネギとニンニクとともにボウルに入れて、塩を振ってよく混ぜる。

2. 1を覆うように氷を入れ、3時間寝かせる。

3. はちみつ、ターメリック、セロリシード、マスタードシード、サイダービネガーを鍋に入れて、火にかけ沸騰したら火をとめる。

4. 2のキュウリの水をよく切り、3の鍋に入れて、5分間火にかける(沸騰させないように注意)。

5. 温めておいたビンに、4を入れて蓋をする(ビンを温めておくのは、ガラスがピクルスの熱さにビックリして割れるのを防ぐため)。このとき、ビンの口ギリギリまで入れずに、1センチくらい余裕を残しておく。

6. 鍋にお湯をわかして、5のビンを熱湯風呂につける。お湯が再び沸騰してから5分したら、引き上げて、自然に冷ます。

ビンの消毒は、煮沸などの方法がありますが、簡単なものとして、先日見つけたのが、洗剤を使ってお湯でビンを洗い、170℃(ファンオーブンの場合は150℃)のオーブンに10分以上入れて乾かす、というもの。これ、とっても簡単なので、おすすめです。

この季節の保存食づくりは、なんとなく冬眠の準備をしているようで、自然との一体感を感じられる活動だなぁと思います。今日、お友だちのマクギネス真美さんのブログでも、ちょうどリンゴの保存食について書かれていました。アップルシチュー、私もぜひ作ってみたいと思います。

<おまけ>

今日の春菊の花。昨日パセリを入れたカップに、ついでに挿したのですが、今日も元気です。

<おまけ2>

畑の大家さんにお裾分けしていただいた豆。クランベリー・ビーンというそうです。美しい。






23.9.13

If I rule the world...

なかなかかわいい花ではありますが。

これ、なんの花だかおわかりになりますでしょうか。花よりも葉っぱに注目されるほうが、わかってしまうかもしれませんね。

これ、春菊の花なのです。バジリコやシソなどもそうですが、ハーブや野菜で葉を食用するものは、花を咲かせると種を残すことにすべての栄養が集中してしまい、葉の味が落ちるので、春菊もきっとそうなのでは、と思い、つぼみを見つけたらすかさず取り除いていたのですが、どうもその目をすり抜けて、みごとに花を咲かせてしまったようです。

さて、最近は畑のお話ばかりで、このブログもなんとなく「畑ブログ」と化していますが、今回はちょっとだけ違うお話です。

といっても導入は、またまた畑のお話なんですけど…すみません(となぜか謝ってみる)。

今年のロンドンは6月までフリースを着ていたくらい寒く、お天気が悪くて、農作物の生長が非常に遅かったのですが、7月に急に盛り返し、私がロンドンに住んで18年、こんな夏は初めて、というくらいの、激しい夏日が続きました。

今日は、キュウリ、インゲン、ズッキーニ、水菜、春菊を収穫しました。

そのため、ここ数週間の収穫は激しいものがあり、本当に小さな私の畑からも、キュウリが毎週1キロ、インゲンが毎週500グラム、春菊はぼうぼう、ズッキーニも毎週2〜3本という状態がすでに数週間続いていて、また、かぼちゃもいままでに13個収穫しました。畑の大家さんも、「今年の収穫は、いつになくすごい」と言っていて、私自身の農作物に加えて、畑の大家さんからのお裾分け、隣近所の畑からのお裾分けで、今日はまた、全部で10キロ近い収穫物を抱えてうちに帰ることに。

ということで、最近の私はこの収穫物を無駄にしないために、保存食の作り方のリサーチに余念がありません。

で、ここからが本日の本題です。

日本のレシピを検索しているぶんには問題ないのですが、英国のレシピで、私がいまだにイラッとくることがひとつ。

21世紀のきょうび、なにが嬉しくて、
いまだにメートル法で表示してくれないのか。

ということです(ふー)。

例えば、リンゴのチャツネを作ろうと思って、見つけたレシピ。

3lbs apples chopped
1 1/2lbs onions chopped
1/2lb sultanas
1pt vinegar
1oz salt ………といった具合。

3lbsっていうのは、3ポンド(1ポンドは、453.59グラム)、1ptっていうのは1パイントのことで、英国のパブでお馴染みのパイントグラス1杯分の0.568リットルのことです。1ozは、えーと……28.3495231 グラムだそうですよ(怒)。オンスに至っては、ozというより、orzという気分です。

しかも、なにが気にくわないかって、「ポンド(pound)」って言いながら、単位を表すアルファベットは「lb(複数形はlbs)」って、なんなんでしょうか。

それで、手っ取り早く、手近にいたうちの夫(英国人)に自国を代表して、納得いく説明をしてもらおうと、「lbs」ってどういうことよ?と絡んでみました。

すると「それはね、『リラ』と同じコトなんだよ。ほら、イタリアの通貨だった『リラ』」。

………。

ハァァ〜ア(怒×2)???

以下、彼の言い分をwikiで仕入れた情報を加えながら、(少しは)わかりやすくまとめてみると……。

「lb」は、もともと古代ローマで使われていた単位「Libra(リブラ)」から来ていて、天秤を表す言葉だそうです(天秤座のことをリブラって言いますものね)。それじゃあ、「ポンド」っつうのは、どこから来たのさ、っていうことなんですが、wikiによると「×× libra pondus(××リブラの重さ)」の「pondus」からきているそうなんです。つまり本来の単位はリブラなのに、「重さ」を表す言葉を使っちゃったってことのようです。もう、分かりづらいったらないですね。

ついでに、通貨のポンドのお話になりますが、昔の銀製のポンド硬貨は、1ポンド(453.59グラム)の重量だったらしいです。ずいぶん重いですが、まぁ、もちろんお金の価値も全然ちがったのでしょうし、よって、ポケットが「ジャラジャラ、ビリッ、ゴロンゴロン」てな惨劇に見舞われることもなかったのでは、と想像しますが……。

ちなみに、うちの夫が言うように、イタリアの旧通貨のリラも語源を同じくしているとのこと。英国ポンドを表す「£」もリブラの「L」からきていて、それゆえにリラと同じ記号なんだそうです。これはちょっと目からウロコでした。

それにしても、この単位をいちいち換算しないとやはり感覚がつかめない私(うちの料理用の量りもグラム表示ですし)。やはりちょっとイラッときます。

先日、知り合いの方のお家でいただいたキュウリのピクルスがすごくおいしかったので、ぜひぜひ、レシピを教えて、とお願いしたら、メールで届いたレシピのはじまりがこれ。

Here is the recipe for pickled cucumbers:
• 4 quarts cucumbers, medium-size, sliced (about 6 pounds)

ク、クオーツってぇぇ?? ああ、もう、please shoot me now.

If I rule the world, I will ban the use of any other units apart from the metric system in recipes.

と声を大にして言いたいです。メートル法ばんざい。



7.9.13

かぼちゃ記念日。

男は、トレンチコートの襟を立て、帽子を目深にかぶり直した。約束の時間は、もうすでに過ぎている。ずしりと重いアタッシェケースを握る手に、より一層の力をこめながら、周囲を見渡す。それらしき人物は、見当たらない。

「シルバーフォックスか」
ふいに背後から声を掛けられ、振り向く目の端に黒いこうもり傘を持つ手を捉えた。
「約束のブツは持ってきたか」
中肉中背のその男のサングラスの向こうから、殺気をおびた強い眼光を感じる。だが怯えたそぶりを見せるわけにはいかない。

「ああ、持ってきたさ。だが、金が先だ」
できるうる限りの低い声で相手の反応を見るが、彼の指先は一ミリたりとも動く様子はない。
「わかってるだろう。ブツが先だ」
男の声は、氷のように冷ややかだった。どうやら、観念するしかなさそうだ。ここで時間を無駄にするリスクを冒すことのほうが危険に思われた。

「いいだろう」
トレンチコートの男は、相手のサングラスに視線を固定したまま、カチリという金属音とともにアタッシェケースを開けた。

ばーん。


……なんていうストーリーを思い浮かべずにはいられないような、小型のスーツケースを持って、今日も雨のなか畑に行ってきました。帰りに日本食材店でお米を買いたかったのと、さすがに夏の収穫期、現在、畑ではかぼちゃやズッキーニやきゅうりが次々と穫れるので、帰り道の荷物の重さがハンパじゃないのです。

傘をさしながら、ガラガラとスーツケースをひきずって畑にやってきた私を、門のところにいた男性は、ちょっと不思議そうに見ていましたが、人の目なんてかまっていられません。帰り道が楽なほうが優先です。「いやぁ、ちょっとキュウリを穫りに来たんですけど、あいにくの雨ですなぁ。ははははっ」と、聞かれてもいないのに話かけたりして、その場をやり過ごしました。

さて、畑一年生の私にとっては、なにもかもが初めてのことだらけで、どのタイミングで野菜を収穫すればいいのか、ということについて、ネットにかじりついて、いろいろ調べています。ものの本によると、かぼちゃは、ヘタの部分がコルク化してから収穫、とありますが、コルク化といっても、どの程度コルク化したらOKなのか、さっぱりわかりません。ネットで情報収集しているなかで見つけたのが、「へたの部分に横に向かって小さな亀裂が入ったら収穫適期」というもので、先々週あたりから、ぼちぼちと横に亀裂の入るものが出始めたので、その都度収穫をしています。

ところが、この横の亀裂ですが、小さくてもすぱっと横に亀裂の入るものもあれば、とことんデカくなっても、なかなか入らないものもあるのです。小型かぼちゃのはずなのに、直径20センチ以上にも育ってしまった、かぼちゃ畑の横綱がいて、この横綱にはなかなかこの亀裂が入らず、どうしたものかと、毎回まじまじとヘタを眺めていました。

ところが今日、じっと見ているうちにこの横綱のヘタに、なんとなく横に傷っぽいものがあるような気がしてきたので(気のせいかもしれないんですけど)、「いまだっ」とバシッと刈り取りました。

実は今日収穫した3個で、ちょうどかぼちゃを10個収穫したことになるので、かぼちゃ記念日ということで、集合写真を撮りました。

ちょっと家族写真のようではないですか。

10個って、書きながら、ここに7個しかないのは、2個お友だちにあげて、1個はすでに食べてしまったからです(笑)。

かぼちゃは、「キュアリング」といって、収穫してから1〜2週間、室温でキープすることによって、甘みが増すのだそうです。というわけで、どれをいつ穫ったのかわからなくならないように、日付のシールをつけました。

私にとっては、とにかく日本の野菜、特にかぼちゃが食べたい、というのが、畑を始める最大のモチベーションだったので、なかなか満足です。まだ何個か、横に亀裂が入らずに畑でその時を待っているかぼちゃがあるので、最終的に全部で何個になるのかはわかりませんが、最後まで無駄にせずに食べ尽くしたいと思います。


撮影風景(笑)。






2.9.13

デヴォンでハートに火がついて。

ハウンド・トーで、突然の雨に走り出す少年たち。よく見ると空には虹が。

8月最後の三連休を利用して、イングランド南西部のデヴォンに行ってきました。いつも写真クラブでお世話になっている、写真の先生ご夫婦に案内していただき、山歩きをしたり、「トー(Tor)」と呼ばれる、自然現象によって石が積み上がったような不思議なかたちの丘をめぐったり、とっても楽しい3日間でした。ロンドンとは空気が違うのか、光が違う色に見えて、写真を撮るのも楽しく、調子に乗ってずいぶんシャッターを切りました。

ヘイトーで、石から石へと飛び移る青年。見ているこちらのほうがドキドキです。

たまたま近くで行われていた、ラストリー(Lustleigh)という村のヴィレッジ・ショーにも立ち寄りました。イングランドの田舎のヴィレッジ・ショーは、ドッグショーあり、10キロ・マラソンあり、モリス・ダンスあり、鷹匠ショーあり、農作物のコンテストあり、と内容盛りだくさん。

ちょっとだけ、写真でラストリーのヴィレッジ・ショーご案内したいと思います。

こちらが、会場の入口。近郊の村の人々も集まる村の一大イベントなので、村をあげての総動員で、
車の誘導やイベントの進行などを行っている様子です。

イングランド伝統のダンス、モリス・ダンスもありました。

イングランド伝統の手法で石壁などをつくる、業者さんのストールも。笑顔がすてきな方でした。

フェレット・レースに出場前の皆さん。

大きなテントのなかでは、農作物のコンテストの結果発表が大々的に行われていました。

羊の群れを、向こう側の柵から、こちら側の柵の追い込んで、そのタイムを競うコンテストも。

さてさて、このヴィレッジ・ショーで、なによりも私の心に火を点けたもの、それはこちらです↓

デヴォンの地元のダートムーアの羊毛を伝統的な手作業、手染めで、
毛糸にしているリリー・ウォーンさんの100%ウールの毛糸玉です。

リリー・ウォーンさんのストールには、ご本人がつくったバッグなども展示されていたのですが、羊毛100%のこの毛糸で編み、高温で洗ってフェルト化させたバッグというのが、もう、とってもステキだったのです。

ウールのセーターなどをうっかりお湯で洗ってしまって、袖や裾がつんつるてんになってしまった、なんていう経験のある方も多いと思いますが、それを逆手にとり、お湯で洗って縮じゅうさせることで、毛糸がフェルト化するという手法です。

縮むことを想定に入れて、Kindleとおサイフ、定期券、携帯、鍵だけを持ち歩く小さなバッグに挑戦してみました。

これなら縮んでもたぶん、大丈夫かな、と思い…。

これから、これを洗って、フェルト化させようと思うのですが…。うまくいくかどうか、ドキドキです。

今回、毛糸の縮じゅうについて調べていたら、羊毛100%の毛糸でフェルトボールを作る方法をネットで見つけました。ひとつ作ってみたら、意外とうまいことできたので、端から捨てていた端糸をゴミ箱から拾い上げて、いくつか作ってみました。

なーんかかわいいのです。

アップにするとこんな感じ……。

これを使って、ネックレスでもつくってみようかなぁ、なんて思ったり。

なんとなくハマって、遊んでしまいました。ウール100%の毛糸の端糸が40センチあれば、小さなボールがひとつ作れます。編み物をされているときは、端糸もぜひ利用してみてください。

なんか遊んでしまいます。