30.11.06

オフィスの契約

さて、労働許可を申請するにあたって、
弁護士さんから強くアドバイスされたことのひとつに
オフィスの契約がありました。

私たちの仕事の場合、執筆は家でできるし、
カメラマンさんのお仕事は基本的に取材先で、
写真の整理は自宅で、というふうに、
携帯さえあれば、自宅ベースでも
実のところは、問題ないのです。

とりあえず、最初の会社登録時には、
社員が私ひとりということもあって、
まずは、自宅で登録を行いました。
しかし、正確に言うと、私たち夫婦のフラットは、
基本的に事務所として使わないことを条件に、
住宅ローンを組んでいますので、
本当は事務所が別にあったほうがいいのです。

しかも、労働許可を申請する際に、自宅オフィスだと、
「ビザ取り目的のかたちだけの会社」という判断を
ホームオフィス(内務省)が下す可能性もある、
というのが、弁護士の言い分でした。

実は、私には事務所をかまえるなら「ココ!」と
心に決めていた場所がありました。
というのも、以前に知人の会社のために、
このオフィスビルを探して契約してあげたことがあり、
環境がよく、必要な設備が整っていること、
そして女性マネージャーがとってもいいオバちゃん、
ということを熟知していたからなのです。

日本でもあるかもしれませんが、
英国では、「サービス・オフィス」という名前の
オフィスビルが数多く点在しています。
大きなビルの中に、小さなオフィスが
たくさん集まっていて、基本的には、各階に
キッチン、トイレ、会議室などがあり、
レセプションには、営業時間内は常に人がいて、
郵便物などの処理や、必要に応じて
電話の応対なども行ってくれる、というものです。
そのうえ、セキュリティもしっかりしているので、
私たちのような超零細企業には、ぴったりなのです。

そこで、マネージャーに事情を話し、今すぐじゃなく、
労働許可が取れて、同僚がロンドンに戻ってきてから、
つまり6月中旬から入居予定ではあるけれども、
契約はすぐに交わし、契約書を証明として
もらいたい旨を伝えました。

そんな私の状況を理解してくれた彼女のおかげで、
すんなりと契約を交わすことができました。
そのうえ、予算をちょっと上回った家賃の
ディスカウントにまで、応じてもらえたのです。
ここでもらった約1割のディスカウントは、
のちのちまで、大きかったです。

そして割り当てられた部屋は、
なんと、以前に紹介した会社の隣でした!
こうして、またしても奇妙な縁に導かれ、
オフィスの場所が決定しました。
マネージャーの好意により、契約前でも、
郵便物を受け取っておいてくれるということになり、
私は安心して、さっそくCompanies Houseや銀行など、
各種機関に住所変更の届け出をしたのでした。

会計士さんは、窓から見えそうな裏手のビルのなか。
本当に周りの人とこうした縁に恵まれて、
今日もこのオフィスに元気に通っています。

★今日の一枚★

クリスマス装飾ビル













取材の帰りに大英博物館のそばを通ったら、
毎年趣向を凝らした飾り付けをすることで
有名なオフィスビルに、星の飾りを発見!
夜になったら、もっとキレイなんでしょうね。

↓気に入っていただけたら、ぜひクリックを♪

バナー2

↓こちらもぜひ♪

にほんブログ村 経営ブログ 女性社長へ


29.11.06

キーパーソンとの出会いについて

運命を信じない、と言うと語弊がありますが、
私自身は、なにもかもを「運命」の一言で
解決してしまうのに、抵抗があるタイプです。

なのであえてここでは「奇妙な偶然」という
表現を使ってみたいと思います。

今までの日記に頻繁に登場している
会計士さんと弁護士さんとの出会いについて、
ちょっと書いてみたいと思います。

会計士さんとのおつきあいは、去年から。
知人の紹介で、フリーランスだった私の
税金計算をしてもらっていました。

私は以前、とある会社のマネジメントを
任されていたことがあり、
その会社のために探したオフィスが、
なんと、この会計士さんの事務所の
真向かいにありました。
いずれ、会社を作ったら、以前探した
このオフィスビルに拠点を構えたいと
その頃から考えていた私にとって、
これはちょっとした驚きでした。

会計士のJさんは、奥さんが日本人で、
日本関連企業のクライアントが、
とても多いようです。
性格は「真面目一徹&オレは直角」
という感じで、車を運転するときも、
法定速度以上のスピードは、
決して決して出さないのだそうです。

フリーランスのときの税金計算にしても、
経費の中に入っていた「スーツケース」という
項目にキランと注目して、
「コレは何だ! 仕事にしか、使ってないのかー!」
「えー、ほとんど出張にしか使ってないもん!」
「一度も遊びで使ったことはないんだな!?」
「えー、1回くらいあるかもー」
「ならば、経費しっかーく!」
ということになったりします。

逆に言うと、Jさんの言うことに従っていれば、
たぶん、100パーセントに近い確率で
税務署から突っ込まれることはない、と思います。

会社を作って労働許可を申請したい、
という相談をJさんにしたのが去年の暮れのことです。
会計士さんの職業柄、
きっと弁護士さんの知り合いも多いに違いない、
と思い、誰か紹介して、とお願いしました。

そこで、紹介してくれた弁護士さんとは、
電話で何度かやり取りをしたのですが、
とても感じがよく、さすがJさんの紹介だけある、
なんて、思っていたのです。
ところが。
この弁護士さんのご家族に不幸があり、
私たちのケースを担当することが
出来なくなってしまいました。

そこで、この弁護士さんが、また別の方を
紹介してくれたのですが、
なんと、うちから歩いて5分の場所に
住んでいる女性弁護士Aさんでした。
しかも、Aさんは育児休暇中ということで、
自宅で仕事をしていたので、
相談や書類集めなども、ちょっと歩いて立ち寄る、
ということが可能で、とても助かりました。

しかし、このAさん、これまたJさんに
負けず劣らずの「直角ぶり」。
労働許可申請に関する紆余曲折は、
また改めて詳しく書きますが、
「ああ、私たちはこういう人たちのおかげで、
道を踏み外さずに生きていけるんだなあ」
なんて、思ったりもします。

というわけで、会計士さんと弁護士さん、
土地が人を選ぶのか、人が土地に集まるのか
よくわかりませんが、なぜかご近所。
「奇妙な偶然」は「縁」という言葉で、
置き換えられるかもしれませんね。

★今日の一枚★

クリスマスマーケット











あまり知られていませんが、
自然史博物館の前には、
今、クリスマス・マーケットが
立っています。
写真、ブレブレでごめんなさい~。


↓気に入っていただけたら、ぜひクリックを♪

バナー2

↓こちらもぜひ♪

にほんブログ村 経営ブログ 女性社長へ

28.11.06

増資と涙のローン

私の場合は、もともと道楽で始めた会社ではなく、
自分の正業をそのまま法人化したわけで、
逆にいえば、会社にしたことによって、
会計上、今までたまにやっていたような
ちょっと他の会社でアルバイト~なんてことが、
できなくなってしまう背水の陣ではあります。

会計士さんにも、今後もフリーランスと会社の
二本柱でいくのか、それとも会社一本でいくのか、
そのあたりをハッキリさせたほうがよい、
と言われました。まあ、これは会計上。

二本柱でいくことも可能は可能のようでしたが、
私の場合は、この後労働許可の申請という
大仕事が控えているので、新設の会社として、
少しでも取引の数は多いほうがよい、
そして、少しでも収入は会社を介したほうがよい、
という理由があって、迷いなく一本柱でいく、
と決めました。

会計士さんも、「そのほうがいいよ」という
アドバイスをくれたのですが、
思うに、二本柱でいくとしたなら、それこそ、
ある意味逃げ場を持っているわけですから、
良くも悪くも必死さは違うんだろうなあと思います。
「副業を発展させたいけど、なかなかねー」
と言いながら、何年も損失補てんしながら、
会社をまわしている人を何人か知っていますが、
そのあたりにも、理由があるのかもしれません。

さて、1月の会社登記の際には、
私はよくわかっていなかったのですが、
うちの資本金は、なんと「1ポンド」。

登録が終わってすぐに、会計士さんから、
当初の打ち合わせどおり、100ポンドの増資、
というかたちで書類をもらいました。
「口座に100ポンド入れといてね」
という言葉とともに。

なるほど、そういう手順を踏むんですね。
なにもかもが、勉強です。

とりあえず、最初は私ひとりですから、
私のお金は会社のお金、会社のお金は会社のお金
という感じで、ひとまずスズメの涙ほどの有り金は、
すべて会社の口座に入れました。
これは「増資」というかたちではなく、
「ローン」というかたちです。

さらに、やはり労働許可の申請を前に、
弁護士さんから言われたのが、
「口座にお金はあればあるだけいい。
できれば、労働許可を申請する人の
1年分の給料くらいはあったほうがよい
という、あまりにもムリなオーダーに、
家族知人からローンとしてお金をかき集め、
要するに「見せ金」を口座に叩き込みました。

このときに、快くお金を貸してくださった方々には、
まったくもって、足を向けて眠れません。
日頃から、私が日本方面には足を向けないよう、
枕の位置を微妙に気遣っているのは、
こういった理由があってのことなのです。
(ウソウソウソ↑ 感謝の気持ちは本当ですよ!!!)

★今日の一枚★


クリスマス飾り











買い物途中で見かけたお花屋さんの
クリスマスの装飾。
ここしばらく、イギリスでは、
ペイントした枝の飾り付けが
人気のようです。


↓気に入っていただけたら、ぜひクリックを♪

バナー2

27.11.06

会社名義の銀行口座開設

昨日に引き続き、起業準備のアレコレについて、
今日も書いてみたいと思うのですが、
今日のお題は、「銀行口座」。

今年の1月26日に、無事に会社名「KRess Europe」で、
会社の登録が完了し、2月初旬に銀行口座を
開設すべく、バークレー銀行でアポを取りました。

なにしろ、一刻も早く、会社名義の口座を作り、
会社としての取引がスタートしているという
証明をつくることが、労働許可申請への第一歩です。

イギリスの4大銀行、バークレー、HSBC、
ナットウェスト、ロイズ、とどれも似たような
形態かと思うのですが、地区ごとに、
ビジネス・マネージャーという担当者がいて、
この人たちと直接会って、口座開設の申請をします。

この担当者は、支店につき一人、というのではなく、
一人の担当者がその地区にあるいくつかの支店を
掛け持ちしている場合が多いので、アポは必須です。

バークレーを選んだ理由は、私たち夫婦が口座を
すでに持っていたこと、あと、電話での応対が
ナットウェストよりもよかったこと、に尽きます。
しかし、これが悪夢の始まりだったんですが・・・。

まず、約束の時間に遅れそうになった私たち夫婦は、
(口座開設の申請には、ダイレクターと、
カンパニー・セクレタリーふたりのサインが必要)
タクシーを飛ばして、ハイゲイト支店へ。

しかし、担当者は不在。
待たされること30分。
それでも担当者は来ない。
スタッフが連絡を取ろうにも、携帯もつながらず。

隣のカフェでお茶を飲むこと30分。
ようやく「担当者参上」の連絡がきました。

しかし、この担当者、侘びのひとつもなし。
まあ、無事に口座を開けたことだけはよかったのですが、
それから、9月まで、彼の犯したミスは、
数え始めたらキリがありません。

カードの名義が違う、
日本に振り込んだはずの300万を放置、
オンラインバンキングの手続きの遅延、

などなどなど、とんでもないことのオンパレード。
しかも、いくら抗議しようとも、この担当者、
かなりの権限を任されているらしく、
抗議は彼でストップしてしまうので、埒があきません。

結局、9月になって、彼の上に位置する、
コンプレイン係に連絡を取り付け、
今までの経緯を説明し、担当者を代えるか、
さもなくば、解約するか、という話をしたところ、
すんなりと、別の担当者に引継ぎをしてくれました。

今の女性担当者は、本当によくやってくれるので、
ありがたい限りなのですが、
支店レベルでは、いまだ間違いが多く、
この担当者が、その尻拭いをするという構図で、
まあ、気の毒なことしきりです。

★今日の一枚★

スケートリンク







今日打ち合わせに行く途中で、
通りかかったのですが、
自然史博物館の前に、
特設スケートリンクが
できていました。
大人も子供も楽しそうです。


↓気に入っていただけたら、ぜひクリックを♪

バナー2

26.11.06

会社登録へのゆるやかな道

そんなこんなで、会計士さんと弁護士さんの
アドバイスを仰ぎつつ、会社登録の準備。
用意したのは、基本的に

1 ダイレクターの名前
2 カンパニー・セクレタリー(監査役)の名前
3 会社の名前
4 会社の業務内容

ということで、私がダイレクターとなり、
カンパニー・セクレタリーは
夫に名前を貸してもらうことに。
会社の名前は、ちょっと前から決めていたのだけど、
これが問題になりそうな予感があったのです、実は。

イギリスで会社を起こす場合、
「Companies House」に登録をします。
この「Companies House」のウェブサイトにも
書いてあるのですが、「International」とか
「Europe」とかいう言葉は、その会社が、
本当に国際的に、またはヨーロッパと取引しているか、
正当性が認められなければ、却下されてしまいます。

私たちの考えた会社の名前は、
「KRess Europe(クレス・ヨーロッパ)」。
日本の出版社さんから、
ヨーロッパ関連の記事を一手に受けることを
目標としているので、私たちなりには正当性があります。

提出した業務内容には、そのあたりを
大げさに表現して提出しましたが、
お上がそれをどう判断するのか、まさにドキドキです。

ちなみに、「KRess(クレス)」の由来は、
私の名前から「K」を取って、
そして、会社にお誘いしようと思っていた
カメラマンさんのお名前から「R」を取って、
報道の「プレス」とか海を渡る「クロス」なんかに、
ちょっと音の近いところで、
「KRess(クレス)」と名づけました。

つづりは違いますが、野菜のクレソンを意味する
「Cress」と音が同じで、フレッシュな感じも気に入ったのです。
その瞬間に、コーポレート・カラーのグリーンも決定しました。

いまだに、「Kプレス」とか「どう読むの?」なんて
言われることも多いですが、まあ、気長に覚えてもらえるよう、
日々、努力していきますョ。トホホ・・・。

ちょっと話はそれましたが、すべての書類を用意して、
会計士さんがCompanies Houseに送付してくれたのが、
1月の下旬のことでした。

そして、運命の1月30日、一通のダイレクトメールが
うちに届きました。それも「KRess Europe」の名前で。
Companies Houseからの通知はまだでしたが、
ウェブサイトを見ると、ちゃんと登録されてる!!
1月26日付けで、「KRess Europe」は法人として、
ちゃんと、登録されていました。

その後のもろもろについては、また追って、
この日記に書いていきたいと思います。

↓気に入っていただけたら、ぜひクリックを♪

バナー2

25.11.06

まずはイギリスで起業するということ、から。

今年1月に法人化して、約10カ月。
いろんな方から、起業について、
そして労働許可の取得について、
聞かれることが多くなったので、
まずはそれから書こうと思います。

まず、私が法人化しようと思った理由というのは、
ロンドンでフリーのライター編集者になって4年
会社員時代を入れたら、編集経験15年。
日本の出版社さんの希望や、
人探しのご苦労を見てきて、
また、ヨーロッパに散らばるライターさんや
カメラマンさんの夢や未開拓の才能を見てきて、

自分にはもっとやれることがあるなあ・・・

と、ぼんやり思ったことがきっかけです。



日本で最初に就職したのが編集プロダクションで、
そういう業務をこっちで、しかもロンドンだけじゃなく、
パリやミラノなど他の都市も巻き込んで、
やっていけたらいいなあ、やれるんじゃないか、
と思って、会計士さんに具体的な起業の手順を
相談したのが、去年の12月のことです。

そのときすでに、会社にしたら、社員として誘おう、
と、心に決めていた人がいて、
彼女の労働許可申請も、視野に入れての
起業を考えていました。

だから、12月から会計士さん、そして弁護士さんに、
私の「こうしたい!」というかなり明確な希望を伝えつつ、
それに一番ふさわしいかたちで
起業する方法を相談してきたのです。

今まで起業した人に話を聞くと、イギリスの場合は、
休眠会社を買う→名義の変更をする
という方法が一般的のようでしたが、
会計士さんに相談したところ、近年法律が変わって、
イチから会社を作っても、その手間や費用は変わらない、
むしろ安くてラク、ということで、
イチからの登録をお願いしました。

あんまり、ながーくなってしまうと、
読んでる人が疲れてしまうので、
この続きはまた、明日、お届けします。
バナー1