31.8.10

笑っている場合では……。

パンを焼くときも、夕食のおかずを作るときも、病めるときも健やかなるときも、いつもすばらしいお料理のお供となってくれた、私の計量スプーン(小さじ)が、こんな無残な姿に。

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ちょっとお砂糖を量ろうとしたら、急に首ががくんと下がって、エッ、と思う間もなく、こんなことに。

まぁ、何年も毎日のように使ってきたものなので、寿命だったのかしら。

この計量スプーン使いやすくて気に入っていたので、日本に帰ったら同じものを買ってこよう、と心に決めました。

ほんと、地面に埋めてお墓を作ってあげたいくらい、お世話になりましたよ。どうもありがとう。

26.8.10

ダンナの冒険。

今日、実は誕生日でした。

うちのダンナ、どこか食事でも、とか、なにかプレゼントで欲しいものは、とか、何度も聞いてくれるものの、一応誕生日の代替えということで、9月に(8月中は学校の夏休みと重なって高いうえに、どこも混んでいるので、9月に振り替え)パリ3泊旅行を予約したばかりなので、逆に家で寿司でも食べて、ケーキかなんか食べられたらそれで十分だなぁ~と思っていた私。

そこで、ダンナに「じゃあ、ケーキ買ってきてよ」とお願いしました。「えっ、それだけ……?」と脱力しているダンナに、

「言っておくけど、スーパーのケーキとかやめてね。ちゃんとケーキ屋さんのケーキだよ。ケーキ屋さんっていっても、どこでもいいわけじゃなくて、おいしいケーキ屋で買ってきてね」

と、ダンナにとっては、きっと、どこかで食事でもごちそうするほうがよっぽど楽なのに……という難題。

それでも朝になって、「ケーキは買ってくるけど、やっぱりプレゼントがなにもないなんて……」と渋るので、私も考えて、昼ごろに「じゃあ、バッハの『キーボード・パルティータ』の楽譜がほしいです。トッテナムコートロードの本屋、『フォイルズ』に売ってます」と店まで指定して、携帯メッセージを送信。

その私が指定した本屋さん、フォイルズで、事件は起こったらしいのです。

まず、音楽関連の売り場は最上階の4階(たしか)にあり、そのエレベータ待った~、とエレベータに駆け込もうとしたところ、大柄な女性に割りこまれ、「ひゃっ」と思うも、まだエレベータ内には余裕あり。そこで安心して乗りこんだダンナは、自分がエレベータの8人目の乗客であることに気づきます。

「ふー」と何気なく壁に目をやると、そこにはきわめて控えめな小さなサイン。

「人数制限 6人まで」

「エッ」と思う間もなく、ギギィという不吉な音を立てて、エレベータが途中で止まったらしいんです。

ざわつくエレベータ内。インターホンで連絡を取るも、「しばらくそのままお待ちください」という返答。そして閉じ込められること10分ほど。

「エレベータをゆっくりと少しずつ下に落として(!)いきます」

というアナウンス。

じり、じり、じり。

少しずつ下がっていくエレベータ。そして。

ズドン!!

最後の最後に手元が狂ったのか、トートツに一気に落とされ、エレベータ内は騒然。なんとかドアをあけてもらうと、まだ床のレベルまでは30センチ以上あったようで、乗客は腰をかがめて、台から降りるように地面に降り立ったらしいです。

あー、コワ。

そんなこんなで、「あの本屋は危険すぎる」という感想をもらしながら、なんとかバッハの楽譜とケーキの箱を抱えて帰って来たダンナ。

ケーキの箱は、「バレリー」というロンドンでは人気のパティセリーのもの。ここのケーキ、おいしいんです! しかも箱がでかい! でかした、ダンナ!

嬉々と箱を開けたところ……

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ガァァ~ン。

エレベータ落下事件で一番の被害を被ったのは、どうもケーキだったようです。

かたちは崩れてしまっていましたが、このケーキ、バレリーのなかでも私の一番のお気に入り(実は2週間前にも、私、店で食べたばかり。ダンナがバレリーを選んだのも、このケーキを選んだのも、偶然だったんですけど)。

お味のほうは、すばらしくおいしく、「デブへの道、まっしぐら」という感じでしたが、まぁ、誕生日くらいこういうのもいいですよね。

ごくろうさまでした。

25.8.10

プラムさん近影(Week 01)

なんかこのところ、いっつも食べものの話ばかりで申し訳ないのですが……。

かといって、今回も性懲りもなく、食べものの話です。

ちょうどプラムを漬けたのが先週の木曜日の話。今日が水曜日なので、1週間目のようすを、ぜひ見ていただこうと。

<梅干し>

ようやく梅酢が上がってきました。

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でも、ふつうの梅で粗塩で漬けた場合は、2、3日で梅酢が梅を覆ってしまうくらい上がってくるみたいなので、1週間たってまだ空気に触れているプラムがあるというのは、時間がかかりすぎですよね。

いまのところ、カビはきていませんが、特に空気に触れているプラムがウレウレに熟れて、ぱっくり開いてしまい、まるで笑ってるみたいです。ヒヒヒ。

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まさにパックマン。

下のほうにたまったシーソルトは、まだぜんぜん溶けきっていません。ムー。

<梅ジュース>

こちらは、もう2日目からシロップが上がってきまして、かなりいい感じです。

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ビンがうす汚く濁って見えるのは、使う前にロンドンの硬水でもって煮沸消毒をしたために、水の石灰分がガラスに付着してしまったのです。

汚いガラス越しにのぞきこむと、こんな感じ。

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いい感じのグズグズ加減ではありませんか。

下のほうにたまっているシロップが、ちょっとSFチック。

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以上、1週間目報告でした。

24.8.10

自宅でピクニック。

先週の土曜日、夏の恒例、ハムステッド・ヒースの野外コンサート最終日でした。

今年は珍しく、一度も行ってなかったので、こりゃ去年同様、誕生日ピクニックを小規模でやるか、と思っていたのですが、お天気が落ち着かず、自宅ご飯となりました。

がんばってつくったのに……。

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左側にあるのは、見たらわかるかもしれませんが、あんぱんです。
あんこは十勝の小豆を煮て作り、むっちゃおいしくできたのに、パンが失敗でした。見た目はパーフェクトなんですけど、割るとひどいもんです。

なので、これは自分用に冷凍庫にお蔵入りとなりますが、見た目がよかったので、自慢げに写真に入れてみました。

ご近所のお友達が来てくれて、とても楽しい時間を過ごせました。ありがとう~。

23.8.10

プラム仕事(その2)

前日に梅干し用と梅ジュース用の仕込みは終わったんですが、表面が傷んでいるプラムをジャムにする仕事がまだ、残っていました。

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人から教えてもらった情報によると、イギリスでは「ジャムシュガー」なるものがスーパーで売られていて、ペクチン入りで、ジャムが作りやすいのですって。

しかし、朝思い立ったらすぐに作りたかった私。ジャムシュガーを買いにいくのはめんどうなので、ふつうのカスターシュガー(日本でいうところのグラニュー糖と上白糖の間みたいな感じ)で作ることに。

鍋に入れて、煮る煮る煮る。

さらに砂糖を加え、煮る煮る煮る。

ずっとかき混ぜていて、汗も出てくるし、疲れちゃったもので、ふとサボっていると、なにやらべっこうあめの香り……。

ガー、鍋の底、焦げてるしー(泣)。

べっこうあめといえば、私、大学時代に某家電メーカーのクッキングコンパニオンというアルバイトをしてまして、これって電気屋さんの店頭で、そのメーカーの電子レンジを使って、お料理のデモンストレーションをし、お客さん(特に潜在顧客が連れてきている子どもがターゲット)に食べさせ、こんなのができるんですよ~と説明するのがお仕事。

ある日、べっこうあめを作ろうとボウルに砂糖と水を入れて、電子レンジでチンして、さて、と取り出そうとしたら、ボウルの底が溶けて抜け落ち、腕にダラーッとべっこうあめが溶けてきて、「ギャーーッ」と腕でべっこうあめを作りながら、絶叫したことがあるのです。

そうそう、砂糖って、何百度にも上がるんですよね。若くておまぬけだった私、ぜんぜん考えてなかったのです。しかも、このべっこうあめ絶叫事件、大やけどを負うわ、売り上げにはつながらないわ、この日は散々でした。

そのときの教訓を胸に、急いで鍋のなかみを「ガラス」のボウルに移し、なべ底を洗うも落ちず。

水と重曹を入れて、煮て煮て、こすって、なんとかキレイになったところで、ジャムの煮つめ作業再開。

やー、できましたよ~。

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ちょうど、ふたビンできましたー。
「ボンママン」のストロベリージャムのビンは、あくまで世を偽る仮の姿。なかみはしっかりプラムジャムです。ひとビンはご近所に住むお友達のお家へ、この日の午後にもらわれていきました。

中身はこんな感じです。

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意外と酸味が強くてびっくり。あんなに砂糖入れたのに。
でも、パンにつけても、肉料理のソースとしてもよさそうです。最後までしっかり責任をもって食します。

21.8.10

プラム仕事(その1)

知り合いの方から「うちの庭にあるプラムの木の実で梅干しが作れるらしい」と言われて、「よかったら作ってみない?」と持ちかけられたのは、今年の春のこと。

英語では、スモモも梅も「プラム」です。梅干しは、「ピクルド・プラム」と呼ばれています。同じプラムなら、きっとできるはず。

梅干し大好きな私としては、一も二もなく、「やりますやります」と即答し、いよいよ、シーズンがやってきて、プラムが我が家にやって参りました!

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ぜんぶで、2.7キロ。まずは、いたんでないもの(梅干し用)、ややいたんでいるもの(梅ジュース用)、かなりいたんでいるもの(ジャム用)に洗いながら選別。

さらに二度洗いしつつ再チェックし、梅干し用には約900グラムの精鋭たちが選ばれました。

通常梅干しには粗塩が使われるのだと思いますが、こちらロンドンには粗塩なるものは見当たらず。しかたがないので、ギリシャのシーソルトを用意しました。

梅干しをつけながら、思い出していたのは父のことです。

私の父は、6年前の11月にがんで他界しているのですけれども、その年の春には、まだ再発も判明する前で、そこそこ元気な毎日を送っていたのでしょう。生まれて初めて梅干しを漬けたのです。

私が小さい時には、縦のものを横にも動かさないような、典型的な戦前生まれの日本のお父さんだったのですが、病気をきっかけに仕事を引退してから、ボチボチお料理をつくる楽しみも覚えたようです。

でも、父の梅干し第1号は、固くて、ガリガリしていてお世辞にもおいしいものではありませんでした。

そうこうしているうちに、がんの再発が判明し、夏には再入院となってしまい、余命何カ月かと宣告されたのです。自分の病気のことをすべて知ったうえで、治療法を選んできた父だったので、当然、本人にも告知されました。

入院中の父に会うために、夏に帰国したときのこと。父と梅干しの話になったのです。

梅干しが固かったのは、十分に漬けることができなかったから。なぜ十分に漬けることができなかったかというと、カビがきてしまったから、と言うのです。

「ほんとは、漬ける前にホワイトリカーで、洗わなきゃいけなかったみたいなんだよ」と父。そして、ごくごくふつうに「来年は、もっとうまく漬けるよ」と言いました。

たぶん、父に「来年の梅の季節」なんて来ないことは、本人にもわかっていたはずなのに、いつもどおりの娘との会話のなかで、ふと口をついて出てしまったんでしょうね。

そのあとちょっとした沈黙が走り、そのときの父の気持ちを考えると、いまだに辛い気持ちになります。

そんなことがあって、梅は漬ける前に、ホワイトリカーで洗うべし、というのは、父の心残りを果たすことでもありました。

とはいえ、はて、ホワイトリカーとはなんぞや、ウォッカ? スピリットであることは間違いないだろう、ということで、うちのダンナがプレゼントでもらったまま放置していた焼酎を拝借することにしました。

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これをたっぷりボウルに入れて、父のことを思い出し涙目になりながら、梅をひとつひとつ、「これでもかっ」と、焼酎のプールでじゃぶじゃぶと洗いました。

まさに父の恨み、果たしたり。
というわけで、プラム仕事、第一弾完了です。

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左側がジャム用のプラム、真ん中の大きいビンが仕込み済みの梅干し用、右側の小さいビンが、仕込み済みの砂糖漬けの梅ジュース用です。

毎日、カビが来ないように、ギロギロ観察したいと思います。

16.8.10

ちいさきもの、その2

日曜日ではありますが、午前中は今回初めてお願いするカメラマンさんと、家の近所のカフェで打ち合わせ。

うちに戻って来て、ドアベルを鳴らそうとしたら。

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わかりますかね~、ちいさきものの姿が。

英語では、「Ladybirds」と呼ばれて、幸運のしるしとされているようです。
ちいさな幸運、ドアベルでひと休み中でしょうか。


ふかふかパン。

パン焼き器を買い換えました。
去年の初めに買ったのは、私にとって初めてのパン焼き器だったこともあり、もっとも安い低機種にしたのですが、ここにきて、まぜるときにすごいギギギィ、ギギギギィというとてつもなく耳障りな大きな音を立てるようになり、パンは焼けるものの、うるさくて使っていられなくなってしまったのです。

ご近所迷惑にもなるし、ということで、このたび、前回の3倍以上のお金をはたいて、日本の家電メーカーの評判のよいパン焼き器を購入したんです。

記念すべき第一号のパンがこちら。

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見かけだけでは、よくわからないかもしれませんが……。

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いや、こちらの写真でもわからないかもしれませんが~……。
ふかふか感が前のパン焼き器と大違いなんです! びっくり。

まるで日本のパンみたい。

ブリオッシュやライ麦パンも焼けるみたい。
これから、あれこれ挑戦していきたいと思います。

5.8.10

ちいさきものは……

みなうつくし

とはよく言ったものです。

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今日、サラダでも作ろうと、プチトマトを洗うために水に放り込んだら、小さな空気のぷつぷつがあまりに美しくて、ぱちり。