13.3.09

押しどころと引きどころ

ここのところ、自分は本当にクライアントさんに
恵まれているなあと思うところが大きく、
日々感謝の気持ちで仕事を進めています。

イギリスの出版社から日本の媒体をローンチしようという
プロジェクトに携わるようになって1年近くが経過。
私の企画が、思いのほか好調に進み、あれよあれよという間に
恐ろしいほどの反応のよさで、実現が見えてきてしまいました。

もちろん、このご時勢、なにがあるかわからないので、
急に頓挫することも念頭において、そうそう浮かれても
いられないことは重々承知で、わくわく感とともに、
危機感もいっぱいあることは確かなのですが・・・。

まあ、そんなわけで、昨年の夏から何度も何度も、
イギリス人のディレクターやプロジェクト・マネージャーと
ミーティングを重ねています。
特に実現が見えてきてからというもの、プロジェクトに関わる
イギリス人の数もググッと増えて、編集者やデザイナーも、
ミーティングに加わるようになりました。

日本人同士のミーティングと違って、「空気を読む」とか、
「なんとなく察する」とか、そういうことが通用しないのは、
当り前のことで、私自身もいいものを作るためには、
自分の意見は、相手にわかるようにちゃんと言わなければいけない、
ということを心掛けてきたつもりでいます。

でも、ミーティングに参加するイギリス人の数が増えて、
押されてしまう部分もあり、自分がリードしてきたはずの
プロジェクトの手綱が、ちょっとゆるんでしまったのでしょうか。
または、結局はクライアントの最終判断がプロジェクトを
動かすのだから、あまり出すぎてもいけない、という、
他力本願的な気持ちが、私のなかであったのでしょうか。

「押さえどころ」だけはちゃんと押さえておかなくちゃ、
と思いながらも、なんとなくもやもや感の残るミーティングが、
最近一度だけありました。

ミーティングの翌々日、プロジェクト・マネージャーの女性から
長い長いメールをいただき、
「なんとなく遠慮して、思うところを全部言ってないのではないか、
自分にだけはオープンに、すべて話してほしい」
という内容で、その心遣いに涙が出る思いでした。

それと同時に、そういう印象を残してしまった
自分の未熟な部分にも反省することしきりで、
ありがたいやら、恥ずかしいやら。

結局、私の方も長い長いメールで感謝の気持ちとともに、
自分の言いたかったことをなるべく客観的に書き綴りました。
そして、その結果、やはり私の提案する方向で進めることに。

こんなふうに、一外注の気配を察してフォローしてくれる
クライアントさんとお仕事できるというのは、
本当にラッキーだなー、とつくづく自分の好運に感謝するばかり。

それと同時に、もっと自分も辛抱強く、怠惰におちいらず、
自分の思うところを隅々まで言葉にしなければいけないと、
肝に銘じたのでした。
ああ、大人にならなければ。未熟すぎる、自分・・・。


6 件のコメント:

  1. KYOさん、わたしには詳しい状況はなにも分からないし、そういうビジネスの世界のこともまるで知らないけれど、押さえどころと引きどころ、これをしっかりと見極めることの難しさを想像することぐらいはできます。

    KYOさんの英語力は、わたしのソレとは比べ物にならないほど高いとはいえ、外国の現場の仕事人の頂点に立ち、手綱を握ることはものすごい緊張とストレスの連続でしょ?
    もちろん、夢とか目標とかがあって、それに向かっていく行程はエキサイトではあるけれど。

    自分の思うところを隅々まで言葉にしなければならない。

    わたしにとっても大切な教訓です。
    日本で通用した、なんとなくもやもやとしているけれど、ほら、わかってくれるよね、みたいな感覚はここでは一切通用しませんもんね。
    英語人の言葉に対する依存、信頼、信仰は、住んでみて、働いてみて、人と何度も何度も関わることでしか実感できません。

    KYOさんの周りに、そういう心細やかな人が現れるのは、幸運とかじゃなくて、KYOさんが呼び寄せるのだと思います。だってKYOさんは、小さなことでも感謝できる人だから。
    きっとこれからどんどん良くなりますよ。わたしはそう確信しています。

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  2. まうみさん、コメントありがとうございましたー。

    こう、どこまででしゃばった真似をしていいのか、そのあたりの判断が難しいんですよね~。言い出した結果、すべて自分で仕切ることになるのも考えるだけで恐ろしいし、外注の立場でもって、あなたはこれして、あなたはこれして、って担当わけしてまわるのも、ちょっと気が引けるし。

    でも、このプロジェクト・マネージャーさんがとってもいい方なので、彼女の口から言わせるのがベストだと突然開眼しました。ちょっと政治的で、あんまり自分らしくはないのですが、彼女とのコミュニケーションがキーになってきそうな気がします。

    いやー、私も英語はまだまだまだ、ほんと、苦手ですよ。
    特に、イギリス人はもってまわった言い方が好きだし(ちょっと日本人みたいですね)、「Me! Me!」という態度は嫌がられるし、かといって、この未熟な英語力でわかってもらわないといけないし・・・となると、誤解されることもありますよね~。自分のことは棚に上げて、「外人なんで長い目でみてください」って、お願いするしかないのかしら(笑)。

    > きっとこれからどんどん良くなりますよ。わたしはそう確信しています。

    まうみさん~、ほろりときました。私もそう信じます!

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  3. > はいじさん~。

    コメントありがとうございます! 
    休日出勤ですかー、懐かしい響きですね。
    家で仕事をするようになってから、休日に仕事でも出勤しなくていいのだけはいいですね(笑)。

    いやぁ、もうねえ、人徳なのはそのプロジェクトマネージャーさんです。
    なんか、お母さんと子どもみたいな感じ?
    ほら、言いたいことあるんでしょ、みたいな。ちょっと恥ずかしいですよね。

    外国で仕事をするって、日本とおさえるツボが違ったりするんですよね。それがなかなか慣れなかったりして、こういう流れなら、こうなるのが当然という思い込みは通用しないし、あ、こんなことまで確認しないとダメなんだって思うことあります。

    はいじさんは、いよいよ社内の発表なんですね。
    渡英準備は、パスポートが切れていないことだけを確認しておけば、あとは来てからなんとでもなります。
    あまり心配しすぎず、逆に日本にいる間の大切な人たちとの貴重な時間を充実させたほうがいいですよ!

    イギリスでのことは、来てからでもどうにでもなります、ほんと。そういう国なんです。

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  4. ��YOさま

    昭和のおっさんのごとく休日出勤なはいじです笑、こんばんわ。

    いやぁ、これはまさにKYOさんの人徳としか言いようがないですよね。いろんなことの積み重ねをその器の大きいPMは見てらして、納得いってないようなKYOさんの気持ちを汲まれたんですね。

    ってか英国人に囲まれて仕事する日本人ってすごいCOOLですね。ちょいとミーハーかもしれませんがそう感じます。

    余談
    KYOさま、はいじは渡英準備かなりやばくなってきた予感です泣。まぁなんとかなるとは思いますが。周りが焦ってきて上っ面だけでも焦ってみるかと笑。月曜に全社的な退職の発表が行われます。ここだけの話。切ないです。

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  5. はいじ15/3/09 15:39

    KYOさま

    素敵な出会いは幸せなひと時を与えてくれますよね。

    ありがとうございます。どうにかなるっしょ―精神で心配してないのですが笑、周りが騒ぎ出したという感じかも。学校が閉鎖してないことだけ願いです笑
    今は周りとの時間、東京での時間を楽しむべくprivateも忙しくぜ―ぜ―言っております笑。本当にみーんなも日本も大好きなので思い切りenjoyします!これからFunkBandとのmtg…

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  6. はいじさん、再びありがとうございます!

    学校の申し込みはすでにされているのですね! そうしたらもう、勝ったも同然ではないですか。ロンドンではなにを勉強される予定なんでしょうか。

    FunkBandとミーティングとは! いったいなにをされる予定なんでしょうか。ブログで拝見するのを楽しみにしています。

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