24.10.12

「風船禁止」と、マルメの近代美術館。

さて、前回に引き続き、週末旅行のお話を。今回はマルメ編です。

マルメの駅、広々きれいで、壁に世界の車窓が映像で映されたりして、SFチックな印象すら与えます。

なんか、こう、近未来的ではないですか?

しかし、その舌の根も乾かぬうちに、駅構内で近未来的とはほど遠い、メルヘンなサインを発見。

「No Balloons」と書いてあります。

手のひらくらいの小さな「禁煙」サインに比較して、その6倍はあろうかと思われる「風船禁止」のサイン。しかもグラフィックがかわいくて、ちょっとおちゃめな冗談かと思うような標識です。しかもこれ、駅構内にいくつもあるのです。

禁煙よりも重要な禁風船。そのこころは? ということで、Trafikverket(英語名のSwedish Transport Administrationを直訳すると「スウェーデン交通管理局」といったところだと思いますが、Wikipediaによると「産業省交通局」と訳されるようです)にメール取材してみました。すると。

「風船禁止」のサインに関しては、多くの方から関心の声を寄せられています。おっしゃるとおり、一風変わったサインではありますよね。

このサインの背景にあるのは、以前に子どもが持ち込んだヘリウム入りの風船で、2度アクシデントがあったからです。なにが起こったかというと、風船がトンネルのパイプに入り込んだために、電車のための電線が天井直下でショートしてしまい、その結果、コンクリートの破片が線路上に落下するという結果につながったのです。

「なるほど」ですね。こんなに丁寧なお返事をくださったTrafikverketのご担当の方に、心から感謝するとともに、私からも皆さまに「駅には風船を持ち込まないでください」とお願いしたいと思います。

さて、マルメ。大変美しい教会があったり、街中がため息が出るほどきれいだったりしたのですが、この感動をお伝えできる写真と知識に乏しいので、雨がそぼふるなか、ひとり、文字通り駆け足で見学したマルメの近代美術館をご紹介します。

1901年に発電所として立てられた建物が、2009年の末に
美術館として生まれ変わったのだそうです。
Moderna Museet Malmö © Photo: Åsa Lundén / Moderna Museet

こちらでは、現在「The Supersurrealism(スーパーシュルレアリスム)」というテーマで、16世紀に実にシュールな肖像画を描いたイタリア人画家ジュゼッペ・アチンボルドから、現在活躍中の「きのこアート」で知られるカールステン・ヘラーや、スウェーデンの映像アーティスト、マグナス・ウォーリンまで、シュルレアリスムを象徴する作品を幅広く集めたエキシビションを開催中です。もちろん「正統派」のシュルレアリスト、サルバドール・ダリやマックス・エルンストなどの作品もたっぷり。

入口に入ると、まず、巨大キノコがお出迎えしてくれます。

© Photo: Terje Östling. Works (in the forefront): Carsten Höller,
Giant Triple Mushroom, 2012 © Carsten Höller/BUS 2012.
(In the background, from the left): Karl Axel Pehrson, Octett, 1976
© Karl Axel Pehrson/BUS 2012. Nathalie Djurberg, Florentin, 2004
© Nathalie Djurberg, courtesy of Zach Feuer Gallery, New York and Giò Marconi, Milan.
Jens Fänge, Rosa målning, 2002 © Jens Fänge/BUS 2012

1階奥の部屋では、ダリ好きの方には、絶対に見逃せない映画を上映しています。ダリが出演しているチョコレート会社ランヴァンのCM映像(Youtubeで動画を見つけましたので、ご興味のある方はこちらもどうぞ)、作家レーモン・ルーセルへのオマージュとして制作された、ダリの歌声(!)入りの5分間ショートフィルム、ダリが友人ウォルト・ディズニーのために描いたドローイングを用いたショートフィルムなど、興味深い短編作品を集めて、合計約1時間の映像を楽しめます。私はあいにく時間が足りなくて、半分しか見られなかったのですが、ダリが好きな方は、ぜひたっぷり時間をとって、こちらの映像もすべてご覧になることをおすすめします。

ルネ・マグリットや、写真家ブラッシャイの作品もありました。

René Magritte
Le Modèle rouge, 1935
© René Magritte/BUS 2012

Brassaï
Couple d´amoureux dans un petit café parisien Quartier Italie,
Paris, Ca 1930 © Estate Brassaï/RMN-Grand Palais

もっと時間をかけて、ゆっくり見たかったなぁというのが、正直な感想です。こちらのエキシビション、来年の1月20日まで開催中なので、期間中お近くに行かれる方は、たっぷり半日とって行かれることをおすすめします。


マルメ近代美術館
Moderna Museet Malmö
Gasverksgatan 22
211 29 Malmö
火〜日 11am〜6pm(月曜休館)
http://www.modernamuseet.se/en/Malmo/


おまけとして、名もなきiPhone写真家(私)が、マルメで撮ったシュルレアリスムの傑作(?)を。

ビルのてっぺんに目がついてます(しかもよく見るといっぱいついてる)。

マルメの本当に本当に美しい風景は、ぜひまぁちゃんのFlickrからご覧ください。この風景をこの目で見たこともあったのに、と思うと、ちょっと切ない、あまりに愛おしい風景です。









2 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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    1. 読んでくださって、ありがとうございます。

      更新が不定期ですが、ぜひぜひまた遊びにいらしてください♡

      コメントも残してくださって、嬉しかったです。ありがとうございます。

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