17.5.08

楽器と言語の微妙な関係

この年になって、ピアノを始めました。
最初は、楽譜をイギリス式の「ABC~」で読むことに慣れてないから、
という理由で、日本人の先生についたのですが、
レッスンを3回受けた段階で、
やっぱりイギリス人の先生にシフトすることにしました。

家の近所に、元コンサートピアニストで、
ここ数年は、音楽教育に注力している女性が住んでいて、
たまたま個人でピアノレッスンをしているということで、
試しに一度レッスンを受けてみたら、これがまぁ楽しくて。
「音楽教育に関して、資格と経験を持っているプロの音楽教師」
だけが登録できるという音楽家協会の会員の方というだけあって、
指導のテンポ、アドバイス、補助教材の選び方などなど、
とってもプロフェッショナルで、感動しました。

思うに、大人になってから楽器を学ぶというのは、
大人になってから言語を学ぶのに非常に似ています。
子どもの頃からやっている人にとっては、ごく自然なことであっても、
大人の初心者にとっては、理論を理解するのが
近道になるように思います。

例えば、ピアノの場合、「なめらかに弾く」という言葉を
よく使いますが、口で言うのは簡単でも、
「なめらかに弾く=音を途切れさせない」ために
どうすればいいのか、を知るためには、
ピアノの構造をまず、理解する必要がある。
「R」と「L」の発音の違いを知るために、
舌の位置を確認するのと一緒、
いい写真を撮るために、シャッタースピードと絞りの関係を
先に理解しなければいけないのと一緒です。

イギリスにおける日本語教育で蔓延している
「ダイレクトメゾッド」(日本語のみで教える方法)は、
大人の初心者には、まったくもって遠回りだと、
私は、英人の日本語学習者を見ていて常々思っているのですが、
楽器もそれに似ているなぁと実感しています。

ピアノも大人の初心者に「悲しげに弾いて」などといわれても、
カメラの構造を知らない人が泣きながら写真を撮っても、
悲しい写真にならないのと一緒で、表現のための基本法則を
知るのがまず第一歩だと私は思います。

子どもは理屈を理解する知恵がないかわりに、スポンジのように、
経験則で学んでいきます。そしてそれが身につくスピードが速い。
大人の場合は、同じことをしていては、
ただ無為に時間が過ぎていくばかり。
そのかわり、大人には理論を理解するための
知恵があるのですから、それを利用しない手はありません。

言葉を教える先生も、楽器を教える先生も、
大人の初心者に対する効果的なアプローチを
考えていただければと願ってやみません。

ということで、先生にすすめられて買った
First Steps in Music Theory」を読んで
英語での音楽用語を、今、勉強中。
わかりきったことしか書いていませんが、
ト音記号、四分音符の英単語からやり直しです(笑)。

0 件のコメント:

コメントを投稿

お気軽にコメントをお残しください。

Please feel free to leave your comment.