「目指せ、優良企業」なぁんて、言えるほどの野心はありませんが、私、自分の会社には、健全でフェアであってほしいと思っています。
企業としてのフェアネスを深く考えるようになったのは、きっとロンドンに来てからのこと。
ロンドンでは、働いている人を搾取することで成り立っている日本人経営の会社が、ものすごく目につくからです。
「なんとしてもロンドンに住みたい」と思っている人たちは、多少労働条件が悪くても、残業代が出なくても、「会社にビザを取ってもらえる」「仕事があればロンドンにいられる」という気持ちから、決して会社と対等な立場を培えることなく、搾取される一方、という構図に陥りがちです。
逆に言えば、働いている人を搾取しなかったら、成り立たない会社も多いのだと思います。
日本人って、会社に搾取されることに抵抗を覚えない人も多いような。恩義とか、義理とか、責任とか、忠誠とか、なんとなくそういう言葉や気持ちにごまかされてしまう。過労死なんて、その最たるところですよね? ほかの国ではありえない、と思う。
でもね、そういう働いている人のメンタリティとか、海外在住の弱みみたいなものに甘えないと存続できないっていうのは、やっぱり不健全だなぁと思ってしまうんです。
日本人に比べて、西洋人は自分の権利を強く主張する傾向があり、それはそれで「どうよ?」と思う時もたまにはあるにはせよ、逆に言うと相手の権利をリスペクトしてくれる、という点では、我々のクライアントさんのなかでも英系のクライアントさんたちは、すばらしいんですよね。ほんとにありがたいと思っています。
実は、今日、99%お受けしようと思っていた日本からのお仕事をひとつ、お断りしました。担当の方もちゃんとしてらしたし、お仕事の内容も悪くないし、プロジェクトの規模もそれなりに大きいですし、若いライターさんたちを育てていくにもぴったりのお仕事だったので、週末にいろいろ考えてお受けしようかな、と思っていたのですが、ギャランティをポンド建てで確定できない、ということだったのです。
お支払い時期までは、まだ5カ月~6カ月もあります。
為替の変動によって、いま計算しているのと同じ額ではないかもしれない。増えるかもしれないし、減るかもしれない。編集者としての私はオッケーを出していますが、経営者としての私の答えは、「ノー」です。
私のような、ひとり会社にとって、脇を固めてくださるフリーランスの方々は生命線なわけです。社員さんではないけれど、彼らに気持ちよくフェアなお仕事をしていただくことは、私にとってはなによりも守らなければいけない大切なこと。ということで、フリーランスの方々にはお仕事が終わったら即、請求書を起こしていただき、即日、または翌日にはお支払いする、というのが、私のポリシーです。もちろん、規模が小さいからできること、というのもありますが、それを可能にしているのは、お支払いの時期と金額を明らかに約束してくださるクライアントさんあってのことなんですよね。
というわけで、せっかくいただいたお仕事のお話をひとつ逃してしまいました。が、まぁ、後悔はしていません。
健全でフェアな会社は、クオリティのあるクライアントさんのために、クオリティのある方々と、クオリティのあるお仕事を創出していくところにこそ、育っていくと信じていますから。
経営者として、また仕事人としてのKYOさんの姿勢、素晴らしいと思います。そして、そんなKYOさんだからこそ、たくさんのすばらしいスタッフが
返信削除お仕事をしてくださるのですよね。
フェアであることの重要さ、あらためて強く感じました。
インスパイアしてくださってありがとうございます。
KYOちゃんの経営者としてのその姿勢、言葉にして言うと簡単明瞭なことだけど、そうじゃないよね。その場その場で苦渋の判断を強いられる、姿勢として貫き通すにはとても大変なことだと思います。
返信削除でも、それができている人のもとで働けることの幸せは、かけがえのないものなので、だからきっとKYOちゃんの周りには、いいエネルギーを持った人達が集まってくるのだと思います。
こちらにも、そういう企業がいっぱ~い!ついこないだも、息子の友人から、マンハッタンでアコギなことをして若者をつぶしているアホな日本人経営者の話を聞いて、呆れたりムカついたりしていたところです。ほんと、人をなんやと思てんねん!と、頬のひとつも張り倒してやりたいくらい腹が立ちました。まあ、その子は半年でそこを辞めたのでよかったけれど、そのかわり、ビザがもう無くなって、日本に帰らなくてはならなくなってしまいました。あるんだな~こんなことって……と思っていたところです。
KYOちゃん、応援してるよ!がんばって!
はじめまして。
返信削除突然のコメント失礼します。
最近、このブログと巡り合い、素晴らしいな~と思って、楽しみに拝見させていただいていました。
今日の日記で、KYOさんのお仕事の素晴らしさの真髄を知ることが出来たような気がして、思わず、コメントさせていただいています。
私は、日本のとある地方で、フリーで仕事をしています。
職種は違いますが、KYOさんのようにポリシーや誠実な対応をされている経営者の方が存在してくださるのは、フリーの人間にとっては、大きな希望です☆
信頼関係で仕事をすると、理屈では説明できない素晴らしい仕事(ミラクルが宿るような仕事)が出来るときがあります。
私は、フリーという立場ですが、関わった方々とはチームだという意識でお仕事させて頂いています。
今回のご判断、素晴らしいと思います。
何かを手放すと、もっと違う良いものが入ってくる・・・と聞いたことがあります。
KYOさんや関わる皆様方の益々のご活躍をお祈りしています。
mamiさん、コメントどうもありがとうございます。
返信削除なんかこう、お仕事をお断りしてしまったあとで、やっぱり正しかったのだろうか、なんて思って、この記事は考えを整理するために書いたんですけれども、書いたあとで、なんとなく熱く「オレ語り」してるのが恥ずかしくなり(写真もないし)、こそっと、教えていただいた東京ガスのCMと一緒にアップしたんです(笑)。
あ、でも、時間が経つにつれ、やっぱりお断りしてよかったなって思いました。
イエイエ、私のほうが、mamiさんにはインスパイアされっぱなしですよ、ほんと。来月の定例会の場所、探しておきますから~。これからもよろしくお願いします。
まうみさん~、こちらにもコメントいただき、どうもありがとうございます!!!
返信削除やっぱり、アメリカも同じような状況があるんですね。なんか、ヤダなーって思いますよね。そういう人の足元を見るような。
なんか、ほんとにありがたいことなんですけど、私の周りの人たちって、お仕事で決して手抜きをしない人たちばっかりなんです。ギャラがいいとか悪いとか関係なく、いいものを作るために、常に自らのスタンダードで仕事をしてくれるプロなんですよね。身が引き締まる思いですよ、ほんと。私のほうがそういうエネルギーをいただいてます。
まうみさん、応援してくださって、ありがとう。なんだか海の向こう側からパワーが来るようで、元気が出ました。どうもありがとう!!
tetoさん、初めまして!! コメントを残してくださって、ありがとうございます。
返信削除tetoさんは、フリーランスなんですね。私も法人化する前の5年間はフリーランスでした。フリーランスの立場から、チームとして仕事ができるのって、素晴らしいですよね。いつもいつもというわけではなかったっですが、ときどきそういうお仕事が入ってくると、終わるのが惜しいような、旅の終わりのような気分になることもありました。
「クオリティのないクライアントを失うことを恐れるな」と教えてくれたのは、いつもお世話になりっぱなしの会計士さんなんです。法人化して1年ちょっとの間は、なんだか必死で、どんなお仕事でもこぼさず取っていかなくちゃ、って思って馬車馬のように働けど、全然会社が健全にならなくて。今なら、当然だよなーと思うんですが、ちょっとは、私も学習したといいますか。
tetoさんも、きっと、私の周りの人たちのように、まじめにプロフェッショナルにお仕事をされる人なんだろうなぁ~とお見受けしました。フリーランスのお仕事は大変なこともあると思いますけれども、ともにがんばって参りましょう!
KYOさま
返信削除ご無沙汰しております。
やっぱりKYOさんは素敵です。
漸く余裕ができたので、近いうち、KYOさんとお会いしたいですー。KYOさんお忙しいんでしょうね。めげずにお誘いさせて下さい!
銀さん~、こちらこそ、ご無沙汰です。
返信削除アルバイトもロンドン生活も順調のようですね!!
ぜひぜひ、近々お会いしましょう~。
改めてメールしますね!!